おかしいと思い始めたのは寝起きのあの時と、病院から帰って来た日から。始め感じたのは、頻繁に起きる震え

私が血だらけで倒れたあの光景を見ると震えが起きてしまうらしく、震えが起きる途端、私を抱き締めるか手を握ってくる(しかもキスの嵐まで降って来るから心臓にガチで悪い)。しばらくすると震えが収まってくれるけど、その後のレンは精神が何処か不安定で――しばらく私を離してくれない日々が続いた(いや、私は全然構わないんだけどね!)(恥ずかしいんだよぉおお!

時杜を通じてエルレイド達に聞こうとするが、エルレイドもレンの容態に正直驚きを隠せないでいた。レンに大丈夫かと聞いてもレンはただ「大丈夫だ」と言う一点張り


おかしい、と思わない奴は誰もいない。いたとすれば相当な馬鹿な人だけ


ジョーイさんにも相談すれば、ジョーイさんもレンの様子はおかしいと前々から感じ取っていたらしい。野放しにしちゃいけない、と早く旅に出たがり嫌がるレン(子供か!)を皆で手分けして引きずって病院の先生に診てもらった所、驚く結果が出た





―――心的外傷後ストレス障害





災害、事故、暴行、傷害、脅迫など、耐えられないような心のストレスを受けた後に特異的な症状が現れることがあり、これを心的外傷後ストレス障害という

その時感じた感情や風景が、夢のみならず、起きている時にも再現される。このフラッシュバックと呼ばれる発作はそれを連想させる刺激に誘引され、または自動的に生じ、発作のたびに苦痛を再体験することになるので、不安定になってしまう


レンの場合、目の前の血塗れの光景を見た後、自分の不甲斐なさに自分を追い詰めてしまった。そのせいで不眠が続き、食欲も減ってしまった。私が目覚めた後も安心するはいいがやはりフラッシュバックが起こってしまうらしい



それに―――






「(レンは淋しがり屋。私が居なくなって、本人が気付かない内にストレスを抱え込んでしまっていたんだと思う。……せっかく再会したのに、あんな事が起きてしまえば誰だって近い症状になっちゃうよね…)」






発症の出来事(ストレス因子)から三ヵ月以内に症状が現れることが多く、ストレス状態が解消されてから六ヵ月以上続くことはないとされているらしい

とりあえず治るものだから安心だ。それに医師から聞けばレンの症状はまだ軽い方らしい。むしろ"疑い"と言ってもいいとも言っていた。他の人はもっと症状が重い人がいる。軽いなら、すぐまでは言えないけど他の人よりは早くに治ってくれるはず




これが医師に言われた事と、自分が今まで得た知識をフル活用して分かった事である









「頭がパンクしそー」







センターのフロントにあるパソコンの前で額を押さえながらうなだれる

目の前にあるのは普通専用パソコン。心的外傷後ストレス障害について詳しく書かれているインターネットのページ(まさかあるとは思わなかった)が映し出され、医師から話を聞いた時にメモった紙が置かれている

先程レンの検査が終わり、レンが先にジョーイさんと一緒に部屋に戻ってから、かれこれ一時間位パソコンの前にがじりついている私。むっちゃ迷惑になっているのはこの際気にしない←





「ブイ〜」

《大丈夫ですか?ミリ様》

「あー、うん。平気平気」






私の膝の上には黒恋がひょっこり顔を覗かせて、時杜はふよふよと浮かびながらパソコンを覗いている

私は溜め息を吐きながら膝の上にいる黒恋を抱き上げてギュッと抱き締める。嬉しそうに尻尾を振る黒恋にキュンキュンだ(←)。ちなみに白亜はレンの後を追い、蒼華は白亜の後を追って行った。なんだろう、親子に見えt(ry

きっと白亜はレンの膝の上で堪能してんだろうなぁ〜、と笑いながらまた私はマウスを手にする






《レンさんは大丈夫なんでしょうか…》

「心的外傷後ストレス障害がまだ軽い方なら大丈夫。でも心に傷を負った事には変わりはない。…治すのは、レン次第。気持ちの問題だから」









辛い気持ちは、痛い程分かる



私も…似た様な症状に、なっちゃうから










「…兎は淋しいと死んじゃうって言われるのは、あながち間違っていないみたいだね…」

「ブイ?」








私は笑い、頭を抱えた








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