数時間後、ミリは秘密裏に病院からセンターに移された。案内された部屋は、ゴールドカード保持者が使いそうな立派な部屋でレンも過ごせれる部屋にもなっていた。部屋はリビングと、寝室が二つ。ポケモン達も全員出してもまだスペースがあるくらいの広い部屋だった

ベッドに寝かされたミリを置き、手持ち達を留守番させたレンはジョーイと一緒にフロントの受付にいた






「はい、ミリさんのポケモン達です」

「あぁ」





ジョーイから、トレーの上に置かれた四つのボールを受け取る

この四日間、ミリのポケモン達はジョーイの元に預かれていた。ジョーイからレンの手に渡った瞬間、カタカタと白と黒のボールが揺れ出した。控え気味に、赤いボールも揺れている。水色のボールは無反応だったが、かなり心配をしているのは目に見えていた


早く自分達の主に会いたいと、訴えていた






「何かありましたら内線を掛けて下さればすぐに駆け付けます」

「悪いな。なるべくそうならない様にする。ジョーイさんも忙しい身だ。…よく、ミリを引き取ってくれたな」

「ミリさんは私達姉妹に良くしてくれていました。そして、私自身にも」

「…理由はなんであれ、この事はミリの為、コイツらの為にもなった。礼を言う、ジョーイさん」

「はい」






微笑むジョーイに、レンはフッと笑う


ボールを受け取ったレンはジョーイに頭を下げ、後ろを向いた。このまま手持ち達が待つ部屋に戻ってミリとコイツらを再会させないと。足を進めたレンに、ジョーイはレンの背中に言葉をかける






「…それに、レンさん。あなたも少しは休まれた方がいいですよ。…でないとレンさんが倒れてしまいます。ミリさんを此所に運んだのは、レンさんの為でも…」

「気を使ってくれてサンキューな。…俺は、大丈夫だ」






ジョーイが心配そうに見る中、振り返る事をせずレンは手を振ってその場を去って行った








* * * * * *









「よぉ、待たせたなお前ら」






部屋に帰ったレンは、中に留守番していた自分のポケモン達に声を掛ける

レンが帰って来た事に気付いたポケモン達は一斉にレンに振り返る。全員ミリのベッドの回りにいた。全員心配そうにミリの顔を覗いていた(トゲキッスはミリの腹に乗っていた)らしく、レンの登場に全員が駆け寄った






「エル」

「あぁ。ミリのポケモンを受け取って来た。…ミリは?」

「ハッピー…」
「ミル…」

「…そうか」





頭をフルフルと振るハピナスとミルタンクに、レンは二匹の頭に手を置く

ハピナスとミルタンクを含め、全員ミリを心配していて、今か今かとミリの目覚めを願っていた


それと同時に…







「フー」

「アブソル、心配するな。俺は平気だ」

「キッス!」

「仮眠は取れている。心配し過ぎだぞお前ら。……さて、そろそろミリのポケモンでも出してやるか」

「…」






四つのボールを持ってミリの部屋に足を運ばすレンの姿を、心配そうに見るエルレイド達


レンは回りから見る程、エルレイド達が見る程に、無理をしている様に見えた。むしろ弱まっている様にも見える

…何かあれば、すぐにぶっ倒れてしまう様な危険さも漂わせていた








「だから、そんな顔をするな。俺は大丈夫だから」








エルレイド達に笑い掛けるその笑みも、無理をしている様にも見えてしょうがなかった











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