辿り着いた場所は、氷結され無惨な姿になったポケモン達の姿があった






「な…んだよ、これ…」

「これは…!」






ある筈も無い大きな岩が積み重なり、樹々や、地面が氷に覆われていた

氷から出る冷気が空気を凍らせ、ヒヤッと肌を撫でる


目の前にある光景は、普通なら有るはずもない光景






「一体此所で何が…」

「おい、人がいるぞ」






レンは氷結されカッチコッチになったポケモン達の近くで放心状態になっている三人のトレーナーを見つけた

一人は放心状態、もう一人は気絶、もう一人はガタガタと身体を震わせていた

フィンは慌てて身体を震わすトレーナーに駆け寄った





「どうしたんですか!?此所で何があったんですか!?」

「…くむ、だ…」

「え?」

「悪夢だ…!悪夢を見ている様だ…!アイツは一体何者なんだ…!」





ガタガタとそれ以上に身体を震わすトレーナーに、フィンとレンは眉を潜め顔を見合わす

一体、何があったんだ






「おおおお前らも気をつけろ!アイツは悪魔だ…!冷徹な悪魔だ…!!俺達は馬鹿な事をした…本当に馬鹿な事をした…!」

「おいお前、その悪魔って誰d」

「っあぁあああああああ!!!」





フィンの手を振り切り、すぐさま全員分のポケモンをボールに戻したトレーナーは放心状態のトレーナーの腕を掴み、気絶しているトレーナーを抱えると情けない声を上げながら逃げ出して行った


















「何なんだよ、一体…」







レンは眉を潜めながら回りを見渡す



氷結された樹々、地面

そしてポケモン達



レンには見覚えがあった



氷結され大きな結晶となったソレを、誰が忘れるものか






「…ミリ?」






一か月前に、最後のジム戦で見た光景

今目の前にある光景と、酷使していた







「まさかこれは全てミリが…」

「なん、だって…?」

「ミリッ…!」






腕にある、ミリから貰ったオレンジの腕輪


腕輪は淡く、強く光っている





「――――!!!」






レンは目を張った



――そこには、亀裂が走っていた









「う、そだろ…」





強く光る腕輪は今まで以上に光りを放つ。まるで命の燈火を燃え上がらす様に、そして命を絶つ亀裂が…真っ直ぐに、入っていた








「私達がどんなに遠くにいても、その腕輪があれば無事なのかが分かるし…生死の危険に遭ったりした時、その腕輪は壊れる仕組みになっている」















「ミリッ!!」






レンは血相を変えて叫ぶ


大きな岩が連なり氷結されたソレに駆け寄る。何故そこに駆け寄るか分からなかった。しかし此所にミリがいると自然と身体が動いていた。氷が反射し自分の顔が写し出されるが、レンは構わずに氷に向かって拳を振り上げた

ガッ!と凄い音が響き渡る。しかしビクともしない氷は傷一つも出さない。レンはすぐさま腰にあるボールを取り出してポケモンを出す





「エルレイド、ばくれつパンチ!」





ボールから勢い良く飛び出したエルレイドは自慢の拳で氷に向かって叩き付ける

ドガァアアアン!と凄まじい音と共に氷は簡単に砕け散る。氷は結構な層があり、それは奥まで続いていた

レンはエルレイドにもう一度ばくれつパンチを命じると、今度はスイクンを繰り出した。駆け寄ったフィンがスイクンを見て驚くのも関わらず、レンは命令を下す





「ハイドロポンプ!」





スイクンの口から大量の水が噴射され、エルレイドが壊した氷に容赦無く走る

水圧によって氷はピキピキッと亀裂が走っていき、やがて亀裂が大きくなっていく。それを見計らってレンはハイドロポンプを止めさせ、エルレイドにもう一度ばくれつパンチを命ずる

エルレイドのばくれつパンチが決まり、かなり深かった層が一気に奥まで届く様になった。レンは一息吐くとフィンに振り向く。フィンはレンに向かって頷くと、レンも答える様に頷く


二人が行き、二匹が中に入ろうとした


その時だった






「……フィン…?」






突如、リランの声が響いた


氷によって声がエコーになるそれは確実にリランそのもの。リランの声を聞きフィンは「リラン!」と中に駆け出して行く

レン達も後を追って駆け出す






「フィン…?フィンなの…?」

「リラン!!…………ッ!!?」





フィンは足を止めた


レン達もいきなり足を止めたフィンに習い足を止める






「…フィン、どうした?」

「……レン、君は見ない方がいい」

「…は?何を…」

「見るな!見ない方がいい!」






血相を変え、叫ぶフィン

氷がフィンの叫びを反響させ、ビシビシと氷を揺らす


いきなり自分に叫ぶフィンにレンは驚くも、すぐに眉を潜めた。こちらを振り向かないフィンに近付き、肩を掴みフィンを退した



フィンが言う見てはいけないものを見て――レンは驚愕した


そう、そこには―――












「っ、ぁ……う、そだろ…!?…ッ…ミリーーーーーーーッ!!!」







漆黒のドレスは切り刻まれ、肩や腕は物凄い赤で染まってしまった――リランの膝の上で眠る様に倒れている、ミリの姿

回りは既に血の池に近い状態だった。血の池の中央にいるリランの純白のドレスは真っ赤な色に染め上げられていた


この血は全て、ミリの血――








































救急車が自然公園にやって来て、一人の女が運ばれた

意識は不明

身体は麻痺状態を起こし、バトル時で巻き込まれたらしく切り刻まれた痕跡がありありと残っている。出血多量、しかし何処にも血が流れた跡は無かった。なのにどうしてこんなにも血が――人は頭を捻った

周辺の状況を見ると、どうやらバトルをしていたらしい。しかしトレーナーを巻き込まれている所を見るとポケモンバトルのルール違反に近いバトルをさせられていたらしい


一緒にいたもう一人の女の証言からは、どうやらチンピラに絡まれていたらしく自分を守って戦ってくれたと言う。確かに彼女の頬には殴られた後と突き飛ばされドレスが汚れ、しかも足を挫いたらしい

しかしこの氷の事を聞いてみるが「私は彼女に目を閉じる様に言われ、従ったからなんでこうなったかは分からない」と彼女は言う


どうしてこうなったか


それは彼女が目覚めない限り、分からない











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