キラキラ光るのはリランの金髪

綺麗なウエーブがかかった髪はふんわりしている。純白のドレスには金がよく映えていて、服より先に目が髪にいってしまう

私の手を取る手は細く、それでもしっかりと私の手を離さずに走っている


されるがままの、私





「此所まで来れば大丈夫ね」





抵抗せずリランの引っ張られるがままに走り続ける事約数分

足を止めたのはレン達からかなり離れた場所。自然公園の中に居るのは変わらないけど、此所は人が少ないみたいで人の気配は無い。回りには木があるばかりで、唯一あるのは白いベンチしかない

ずっと走っていたので息を切らすリランは息を整えながら私をベンチに座らせる(ドレスのまま座っても大丈夫かな…)。私が座ったのを見てリランも隣りに座る

ちょっと疲れたわ、と零すリランに私は質問を投げ掛ける





「あの、リランさん。先程はありがとうございます。…ですがどうしてあそこから此所まで…?」

「…ちょっとあなたと話がしたくてね」





話がしたかったら、どうしてあの時"焦り"の感情が出ていたのだろうか

走るスピードも結構速かった。あれ位なら全然イケる私だけど、普通の人ならへばる位なのに、どうしてそこまでして離れなくちゃいけないのか

疑問を生じつつリランの横顔を見る私に視線に気付いたのか困った笑みを零す





「本当よ、嘘じゃないわ」

「…はぁ、そうですか」

「聖燐の舞姫とは本当に一度話してみたかったのよ。もちろんライバル心もあったけど、聖燐の舞姫がどんな人なのか拝見したかったのよ。私が此所にいる間までは」

「…わざわざホウエンから此所まで?」

「そう、このコガネデパートのコンテストショーの為だけにね。正直此所まで来るのが面倒くさかったわ。でもあなたに逢えて、凛々しいお方を拝見出来たからもう充分よ」





その後気を良くしたのかリランは語る

ホウエンで有名になった二人は向こうでコンテストでは無敗を突き通していた。しかしそれがマンネリ化してきて、次第につまらなくなってきた。バトルでも例外(ジムリーダー、四天王、チャンピオン)を除けば勝ち進んでしまい、自分達は一体何をしているんだろうと目標を失いつつあった

その時、ジョウトにあるコガネシティという場所でコンテストを披露してほしいと依頼をされた。それは他のコーディネーター達にも誘いがあった

始めは興味が無かったが、どうしてだろうか…気付けば二人はエントリーし、いつの間にかジョウトに来ていたという事らしい






「…この街に来た時、通り過ぎたトレーナー達の会話を耳にしてあなたの存在を知ったわ。聖燐の舞姫、あなたも無敗を突き通しているみたいね。…私と同じだと思ったわ」

「ですが、私だって一回は敗戦しているんですよ?…ただ、その人達が優しかったから事実上は勝てたようなものですが…」

「…そう。でも私は今あなたとこうして会話している間でも、やっぱり同じだと思ったわ。……ただ違うのは私は勝ちにこだわっていたけど、あなたは勝ちにこだわってはなく、楽しんでいるって所かしら?」

「そんな所ですよ」






フフッと笑えばリランも同じ様にフフッと笑う。先程の印象がかなり悪かったリランだったが、人は見掛けによらないのはこの事だよね

元々の性格は出会った時と同じかもしれないけど、根は優しい人なんだと、しみじみ感じた

そんな事を考えながら空を仰ぐ私に、「で、」とリランは話を切り出す





「あの凛々しいお方とあなたはどんな関係かしら?」

「Σ!?、関係…ですか?」

「そうよ、関係よ。……女が揃ってまず会話するのはこういう話でしょ?」

「(知らねぇええ!)」

「さぁ!答えなさい聖燐の舞姫!」

「いや、ちょっ…いきなり過ぎますって…」

「答えるのよ聖燐の舞姫!あなたが今彼をどう思っているのか簡潔に且つ明細に答えなさい!包み隠さず私に答えるのよ!彼とは何処で出会ったの!?あなたと彼の関係は!?…さぁさぁさぁさぁ!」

「えええええ!?」






一気にテンションが上がったリランがずいずいと近付いて来る。なんだかもうオーラが凄まじい(いつぞやのカスミやらアカネやら)ものがあったから私は引きつりながら後退していく






「ならまずフィンさんとリランさんはどんな関係なんですか…?」

「私とフィン?もちろん将来を誓いあった仲よ」

「Σえええええ!?」





サラッと言ったリランに私はマジマジと凝視する

リランの顔をガン見し、視線が徐々に下がっていき行き着いたのが左手。左手には肩位までの手袋がしてあり、リランは何の抵抗も無く手袋を取り外すと…薬指には綺麗な婚約指輪が






「そんな事誓いあった仲なのに初対面の私達にあんな事言っちゃったりあんな事しでかしたりしても良いんですか!?」

「それはそれ、これはこれよ。中々二人共良い反応してくれたからこっちは楽しかったわ」

「楽しまれていた!?」






ガーン!と若干ショックを受ける私をリランはケラケラと笑う。笑いながら左手にある指輪に軽く触れる

指輪を大事そうに触れているリランの顔はとても幸せそうな微笑を浮かばせていた






「…幸せ、なんですね」

「えぇ。幸せよ」






幸せそうな顔でこちらを向き笑うリランに、私も自然に口元に笑みを浮かべる


……あぁ、羨ましい





「ちなみにこの事言うのあなたが初めてよ。まだ他の人には言っていないのよ」

「なら今度是非二人の結婚式に呼んで下さいね。……もうその恰好ならいつでも結婚式出来るんじゃないですか?」

「それもそうね。なら今日やっちゃいましょうかな。此所に教会はあったかしら?」





そう言ってクスクス笑うリランに私もクスクスと笑う

キラリと光る婚約指輪と幸せそうに笑うリランが、私にはすっごく眩しく見えた







「…私の事はもう言ったから次はあなたの番よ!」

「Σえ!?」







そして軽く尋問されるハメに





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