命が短い、短命の宿命

だったら自由に飛びましょう


自分の人生は、自分で決める













Jewel.18













――――――…ボクが何でミリのボールに入ったか、だって?うーん、特に深い意味は考えてなかったけど…敢えて言うなら、うん、面白そうだったからかな〜

なんて言うか、楽しそうだったから。キラキラ輝いていたんだ、ミリや他の皆。だからボク、ミリのポケモンになったらきっと毎日が楽しそうだなぁって思ったんだ。それにね、ミリの匂いが好きなんだ、ボク。分かるかなー、花の香り。人間が作った人工的な香り(香水)より、自然な香りで、キツくない香りがミリにあるんだ。こう、近くにいると安らぐっていうかさ、ホワーンってなるんだ。匂いで誘われたって感じかな〜、あの匂いボク好き。蜜があったら絶対に吸っていたくらい!あ、でもミリ吸ったら蜜じゃなくて血d(ry

まー、それからだねー行動に移したのは。丁度ミリがモンスターボールをバックの中から取り出している姿を見つけたからさー、まずはあの三匹にこんにちは〜って挨拶して、ミリにもこんにちは〜って挨拶した後に、ミリが持っていたボールにカチッって押してパァアッしてポゥゥ…、みたいな。いやぁーあの時の皆のすっとぼけた顔は面白かったなぁ〜あはは〜





あ、ボクの名前言っていなかったね。ボクは風彩。種族はアゲハントなんだ





でもボクはアゲハントだけど、他のアゲハントと違ってミリと同じミカン色をしてるんだ。あ、オレンジ?え、橙色?うーん、ニホンゴってよく分からないや

きっとボクの他にも色んな話聞いていると思うから前置きとか必要ないよねー、話すの大変だし、うん。それにボクは残念だけど皆みたいにナイーヴでドヨーンとした暗いお話とか無いからさぁ、ネタが無いから一体何を話せばいいのやらと…………皆って暗すぎるよね、昔の思い出。ボク話聞いた事ないから皆がどんな思いをしてきたかとか分からないからさー、まあミリがちゃんと分かっているならいいんじゃないかな




あ、ならこの調子でボクの昔のお話でも語っちゃおっかな



まーあまり期待しなくていいからね〜大した話じゃないからさ


ボクの身体は色違いじゃん?もちろん生まれつき色が違っていてね、ケムッソだった時の身体は…なんだろ、くすんだオレンジ?みたいな変な色をしていたんだよね。他の皆の色と似たかよったかなビミョーな色ってヤツ?色違いってさ、異端の色だからって嫌われるのが殆どでさ、きっと皆も嫌われた事があるかもしれないけど……ボクの方はさ、最初っからボク一人だけだったんだ。ほら、虫ポケモンってさ、ミツハニーみたいに団体行動する所があっても、ボク達アゲハントはそうじゃなかったんだ。あれだよあれ、放置出産。…え、なんか違う?でもだってあれ放置出産…………うーん、ニホンゴって難しい…

まぁ少なくともボクの所はそうだったんだ。だから母親とかきょうだいとかそういう存在は知らないし、生まれた場所が場所だから他のポケモンとのいざこざが無かった、むしろ他のポケモン自体居なかったから争い事が無かったんだ。つまりおんりーみーってやつ。だから皆の気持ちが正直分からないんだ。回りに人がいて、回りに苛められる気持ちが。他人という存在も仲間っていう存在も

虫の成長って早いってよく言うでしょ?まさにその通り!ボクはムシャムシャと木の実や葉っぱ食べてモリモリ食べた後は身体に糸巻き付けてカラサリスに進化して、暫く冬眠(惰眠)した後にアゲハントに進化したんだ〜。意外に呆気なくても進化は大変なんだからね!お陰様で羽も生えて、自由になれた!ボクは沢山色んな場所へ飛んで来たよー、もうびっくり!ボク以外にもたっくさんのポケモンや人間がいっっぱいいるの!他にも見た事ない木の実とかいっぱいあってさー、楽しかったなぁ〜

でもその分危険があった。ポケモンの縄張り争いに巻き込まれちゃうのは百歩譲ってしょうがないとしてもさ…よく人間に捕まりそうになったんだ。色が違うから。まーこれもよくある事だから気にしないで適当に攻撃して撒いたり逃げたりしてやり過ごしたりしてきたけれど。いやぁ〜それにしてもあの時の人間達の目ギッラギラ!捕まったボクの行く末が気になる所だよね!




ま、その後は人間達の手から逃げつつも、のーんびりと旅をしていたわけなんだ、ボク。一人旅もなかなか楽しいよー

それにね、ボク達虫ポケモンって寿命短いんだ。進化が早ければ、それこそね

だからボク、今のうちに楽しい思い出をいっぱい作ろうと思っているんだ。この人生に悔いが残らない、充実した毎日をね








「皆、今日も今日とて頑張ろー!」








あー、なるほどなるほど。こんな感じでミリの出会いに繋がるってわけね←

さっきも話した通りなんだよね。だから別に同じ事繰り返さなくてもいい気がするんだけど…ま、いっか


今日も今日とて一人ぶらり旅していたら、声が聞こえたんだ。声の後には、花の良い香りがしたから釣られる様にそっちに行ったらさ、ミリが居たんだ。三匹のポケモンに囲まれたミリが、元気よく笑っている姿を

一目見て分かったよ。ミリとあのポケモン達は何かが違う。後々になってあの三匹も色違いだって気付いて驚いたけどさ、何かこう…ビビッと感じたんだ。ミリ達は、強いって。強いけど、何だろ…ちょっと違和感を感じる様な存在ってやつ。皆は気付いているのかなぁ

キラキラ輝いていたよ。眩しかった。暫く様子見てたけど、皆が皆ミリと一緒に居れて心から嬉しいと笑っているし、ミリと一緒にいればきっと人生が楽しくなるんだろうなぁってさ。後はさっき言った通り、思い立ったら吉日!ってね。いいタイミングでミリが空のボールをバックから取り出していたからね!ボクは実行に移したわけさ!







「ふりぃ〜(こんにちは〜)」

《え?》
《?》
《なんだ?》

「ふりぃ〜(こんにちは〜)」

「…え?」

「ふりぃ〜(ではではさっそく)」





カチッ


パァアッ





「え、ちょ、まっ…」





ポゥゥ…









「……………」

《……………》
《……………》
《……………》

「……えっと…………………………………アゲハント、ゲットだぜ?」








ま、ざっとこんな感じかな

ね?言ったでしょ

ボクのお話って皆と違ってあまり面白い話はないよってさ








――――――
――――
――










いつも一人でいたから、仲間っていう存在がどんな存在なのかは今まで分からなかった。人と一緒に行動する事もなかったから、長く続くのかなぁって心配さえもしていたんだ、実は

でも、そうでもなかった。ミリ、ボクの事よくわかってくれててさ〜窮屈だなんて全然思わなかった。あー、でもちょっと時杜がうるさいけど。むしろ心地好かった。ミリの居場所も、仲間の存在も。こんな事初めてだった。仲間って、いいものなんだね

皆がミリを、仲間と居場所を頑固として守る気持ちがよくわかったよ







「あらあら、風彩ったら私の頭の上で気持ちよさそうにお昼寝〜?」







ミリはとっても優しい

居心地最高だし、ご飯も美味しいし、存在自体が温かいし。一回でもこの温かさを堪能しちゃったら、もう一人には戻れないくらいに

それにね、ボク、ミリの正体がなんであれ、気にしない事にしているんだ。ミリとボクは似ているところがあるからさ、なんとなく分かるんだ。だからボクはボクなりに、ミリを守ろうと思っている





「ふりぃ〜」

「フフッ、なら風彩ちゃんの為に子守歌歌ってあげるね〜」

「ふりぃ〜」








お陰様で今、短い人生を有意義に楽しんでいるんだ

バトルもコンテストも楽しいし、皆と一緒なら怖いものはないからね




あー、今日の夕飯なんだろうなぁ









(人生楽しまなきゃ損だよね)


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