太陽に重なる様に現れたソレは、こちらからは光の逆境で黒く見えた

ポケモンの背に乗った、二人の男女


一人は漆黒のマントをはためかせ、白銀の髪が太陽の光に反射され一際目立たせた。黒い影になっている顔には、何故かその赤より紅より深い赤い瞳が妖しく光を放っている様に見える。男はポケモンの背から飛び降りると、回りからは避難の声が上がる。しかしその声をもろともせず男――レンはフィンとリランの前に着地する

フィンの純白の服と対抗した、漆黒の服

純白のマントが風に靡き

同じ様に漆黒のマントが靡く






「よぉ、お望み通り来てやったぜ」






あの高い距離から飛び降りたにも関わらず平然と立ち二人に挑戦的な笑みを零すレン

漆黒の服を来ているせいかその白銀の髪はより一層引き立てられ、高く結われた髪はマントと同じく風に靡かれる



さながらフィンが光の王子様で、レンは闇の王子様だろうか



レンの登場で回りにいた観客の中から息を飲む声や、中には黄色い声が上がった。レンから発する威圧に近く神秘に近いオーラが辺りを緊張の渦に落とす

王子様と言うより、闇の騎士と言い換えてもいいだろうレンの格好は、見る人を釘付けにし、魅了させた






「待っていたぞ、レン。どうやら尻尾を撒いて逃げる事はしなかったみたいだな」

「フッ、大切な姫にちょっかい出されて黙る王子はいない筈だぜ?」

「違いないな」






笑うレンに、笑うフィン

二人の瞳は互いを写しあい、闘争心で燃えていた。レンの紅い目が、フィンの青い目が、対照的な瞳が互いに睨みをきかす

その二人を見て、リランは楽しそうに口元に笑みを浮かべた






「凛々しい方は登場してくれた。――そろそろ貴女も高みの見物なんてしないで、降りて下さらないかしら?」






リランは空を見上げる


今もなお地上に降りない飛行ポケモン――の背中にいる一人の女

リランも挑戦的な笑みを口元に浮かべながら見上げ、女も口元に笑みを浮かべながらリランを見返す





「トゲキッス、」





レンが空を見上げ声を掛けると、ポケモン――トゲキッスはゆっくりと優雅に降下をする

愛くるしい顔をし、堂々と降りて来るトゲキッスにレンは近付く。降りて来たのを見計らって――レンは、背中に乗る女に手を差し出した






「お手をどうぞ、漆黒の姫よ」

「ありがとう、漆黒の王子様」







レンの手を取り、地に降り立つ女――ミリ

カツンとヒールの音が心地良く響き、フワッとドレスが靡く






「待っていたわ、聖燐の舞姫――いえ、闇の姫よ。それは私達に対する対抗心?」

「フフッ、さぁ…どうでしょうね。でもお互い中々絵になると思わないかしら?」

「私、その考えは嫌いじゃないわ。むしろ大好きよ」

「それは良かった」






リランと対照的で、レンと同じ漆黒のドレスを身に纏ったミリに回りの集団は息を飲む。漆黒の服と同じ漆黒の髪はウエーブがかかり、それがまた艶があり美しさを魅せる。黒のベールに顔を覆い頭には小さな冠が飾られていた。手には服と同じ扇を持ち、口元に持っていきフフッと笑えばその妖艶さに回りの皆は目を奪われる

ミリの手を取ったレンはミリの前に跪く。黒く肘まである手袋の上から軽くキスを落とせば、周りからは黄色い声などが上がり周りを盛り上がらせる





リランが光のお姫様だとすれば、ミリは闇のお姫様だろうか





まさに、そう





光の王子様とお姫様に

闇の王子様とお姫様



白と黒

純白と、漆黒







「私とリランが光の使者だとすれば、お前達は私達を遮る闇の使者と言うべきか」

「ラスボスとでも言いたいのか?フッ、笑わせてくれる。ならお望み通り、俺達はお前らの前に立ち塞がる壁にでもなってやってもいいんだぜ?」

「貴女達が互いに手を組んだら負けない、と言う様に私達も中々一筋縄には勝てない。私とレンのタッグに…どう立ち向かいますか?」

「面白い冗談ね。そっちこそ私達にどう立ち向かって来るか見物ね。この私を失望させないで欲しいわ!」







四人は同時に動くと、それぞれの手にボールを持つ

そしてまた同時にそのボールを高らかに振り投げた。四つのボールは空を目指し弧を描き、中から光が現れた。その光はそれぞれ四つ地面に現れ、物体を作り上げる



現れたポケモンはリランのキレイハナとフィンのチルットに、ミリの白いイーブイの白亜とレンのアブソル



その四匹でバトル――かと思ったら、四匹の内二匹の身体が急に光り出した。光りを放ち出したのはチルットと白亜で――光りが収まりそこに居たのはチルタリスと真っ白いリーフィア

おぉっ!とまた観客から歓声が上がった。フィンはチルットからチルタリスに進化したのを見て満足そうな笑みを浮かべ、ミリはフフッと笑った。レンもフッと笑い、リランもチルタリスに進化した姿を見て嬉しそうに笑った







「勝負はさっき言った通り!私とリラン、レンと麗しいミリ姫とのタッグバトル。使用ポケモンは互いに一匹、二匹が戦闘不能になったら試合は終了だ。依存はないな?」

「あぁ」

「はい」

「フフッ、なら始めましょう――光と闇の、決戦を!」








観客の声援がまた上がった






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