「レン」

「何だ?」

「………帰りたい…」

「奇遇だな。俺も帰りたいと思っていた所だ」






此所にいてぐだぐだしてもしょうがないんで、私達はまたコガネシティに向かっていた

ヘロヘロな状態でまたコガネシティに戻るなんて正直面倒くさくて、二人してグッタリした表情で歩いていた。コガネシティに近付くにつれ人の密集が多くって、しかもコンテストショーがあるからもっと多くって……その中を潜り抜けるなんて気が遠くなりそうだ

疲れ過ぎて目に入ったクレープ屋さんが光輝いて見える←






「…白亜がさっきの頬チュー見てリランさんをギッタギタのボッコボコにしたいって張り切っているんだよねー」

「それこそ奇遇だな。俺のアブソルもさっきのアレ見て静かに闘争心燃やしてるぜ」

「あらー…」






異空間にある白亜のボールがすっごくカタカタ揺れていて、黒恋がすっごくビビっているのが分かる。手に出現してみれば手の平で答える様にめっちゃカタカタ揺れていて…それを見てレンは苦笑を漏らした(白亜がレンを気に入っている事をレンは知っている)。レンが白亜のボールに触ってみれば、カタカタがピタッと止まり…今後は嬉しそうに揺れ出したので、今後は私が苦笑を漏らした

レンも腰からボールを取り出して私に見せる様に差し出した。ボールは始めは揺れていなかったけど、私がチョンと触れてみると小さくカタカタ揺れ出した。レンのアブソルは結構私を気に入ってくれていたから…まぁ、言いたい事は分かる。ボールから見えるオーラは本当に白亜と似ているオーラだったから、これこそ私は苦笑しか出せれない

ははっと、二人してまた苦笑を零した






「…ま、これを見ると今回のダブルバトルはコイツらで決まったな」

「みたいだね。…白亜、私の代わりにリランさんをギッタギタのボッコボコにして頂戴ね」

「アブソル、俺の代わりにフィンって野郎の歪んだ顔をさらけ出してやれ」

「え、それちょっと酷くない?」

「それ位言わねーと俺の気が済まねぇ。……俺達にちょっかい出して来た事、後悔させてやる」

「(怖い怖いオーラが怖いって)」






喉の奥で笑い悪役に近い表情を浮かばすレンに私は引きつった笑みしか浮かんで来ない。しかも答える様にアブソルのボールも揺れ出したから笑えるにも笑えない(誰かぁあああ

…結構フィンっていう人にあのレンがキレまくっていたから…しかしそんなになるほどレンは一体何を言われたんだろう(き、聞くにも聞けない)(聞いたらそれこそ…!)(はわわわわ






「しかも【風の奏者】と【華の踊り子】っつったら結構腕が立つホウエン地方コーディネーター。…しかもトップに一番近い奴等だ。奴等はシングルよりダブルの方が有名で、シングルはともかくまだダブルで負けた事が無い無敗を突き通している」

「…あれ?レン、さっき知らないって言っていたよね?」

「あれは嘘だ。奴等をこちらの挑発に乗らせるための口実に過ぎない。…アイツらは無敗で無敵だからこそ、プライドが高い。自分達を知っていて当たり前、ってな。そんな奴等にあー言えば、食ってかかるのは目に見えていた」

「レン、君は将来俳優になれる素質があるよ。…そんなレンが頼もしく感じると同時に恐ろしく感じるよ…」

「それは俺を褒めていると受け取っても構わないよな?」

「近いですー!顔が近いですー!もう好きな様に受け取って下さいー!」






まさかあれが芝居だなんて

いやいやマジでレンはウオッチャー辞めて俳優になっちまえばいいんだ。そうすればレンの事だからかなり有名になれるよそうだそうだ俳優になってしまえ!私は遠くで見守ってあげるからさ!←

てかむしろなってしまえ←←

そうさレンは何考えているかある意味読めない所があるからマジでイケると思うよ本当。顔を近付けて来るレンにまた頬チューされないかマジで心配なんだけど本当に(役得だけどね!)

てか次またされたら発狂通り越して仕返ししてやるんだから!ほ、頬チュー位なら…!(おまっ

おっと話が逸れちゃった







「あの二人が実は凄い人達なのは分かった。けど…そんな二人が何でわざわざ私達にちょっかい出して来たのか、私にはサッパリわっかんない」

「大方、ああいう密集する中でどれだけコンテストショーの宣伝が出来るか…だな」

「…あぁ…つまり私達は使われたって事か…」

「声を掛ける奴等は誰だって良かったにしろ、その相手が【聖燐の舞姫】だとは気付かなかった。それが返って見ていた野次馬共を熱くさせたんだろう。……いい迷惑だ」

「………本当に…」






あの後本当に群衆の皆様方はぞろぞろとデパートに向かって行った。あの調子からして、コンテストショーを見終えた後は私達のバトルを観戦するんだろうね(迷惑


にしても






「(レンと一緒にいると、こうも大変な事になっちゃうなんて…でも面白くて楽しいって思っちゃうから、笑っちゃうよ…本当に)」







ある意味これも白亜達(つーか白亜)の刺激になってくれる

それにレンと一緒にいると確かに楽しい。楽しくて面白い。大変でヘロヘロになってしまうけど、充実感が自分の中にはあった。…こんな気持ち、本当はあまり持っちゃいけないのに…まぁ面白いものは面白いからもう開き直っているんだけど…それだと色々と自分に踏ん切りが出来なくなっていきそうで……



あぁ、つくづく自分は矛盾している











「…ねぇ、レン」

「何だ?」

「…あの二人のプライドをズタズタにしたいのなら、…良い提案がある」

「…、へぇ…?」

「……芝居が上手いレンにはもってこいな話なんだけど………乗る?」






人差し指を口元に持っていき、レンになるべく近付いて…静かにニヤリと口元を吊り上げる。レンの耳に口を近づけ、静かに言葉を繋ぐ


私もあんな挑発をされて黙っているほど心優しくない。やるんだったら、徹底的に。あの二人はこの勝負、勝つ気満々だろうけど…世の中そう簡単にいかない事を教えてあげた方が良さそうだ(歪んだ笑み←)あーゆう人達には、それなりのプライドの壊し方がある。それには多少の無理と時間が必要になる。…が、私がいれば問題はない



…ちょっと恥ずかしいけど













「その提案、乗らせて貰おうか」











レンも小さく、ニヤリと笑った








×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -