何なんだ

一体何なんだ、この人達は!






「ッ…一体何するんですか!」

「……ッ」






私はキスされた手を押さえ

レンはキスされた頬を押さえる



私は顔を赤くし

レンは二人を睨み付ける



目の前の二人はニヤニヤと笑いながらこちらを見ている


不愉快極まりない!

マジなんだよこの二人は!






「フフッ、フィン。今の私達の挨拶、お気に召してくれなかったみたいね」

「うーん、そうみたいだな。英国だとこれが当たり前なんだけどな」






黙れやこの英国風情が!←

場所を選べ、場所を!←←






「…行くぞミリ。こんな奴等に時間を潰す必要は無ぇ。さっさとこの場を離れるぞ」

「おーっと、ちょっと待ちな。もしかして尻尾を撒いて逃げる気か?」

「んだと…?」






私の手を取り歩き出そうとするレンに、フィン(とチルット)が行く手を阻んで来た

不愉快だとフィンを睨み付けるレンにフィンはまたクスクスと笑うと、レンに近付き肩に手を置いて顔をレンの耳に近付けさせる








「―――そんなに意地になってカリカリしていると、本当にお前の元から去って行っちまうぜ?」

「ッ!余計なお世話だ!!」








バシン!とレンはいきなりフィンの手をはたき落とした。フィンを睨み付ける目は怒りを宿していてフィンはそんなレンにニヤニヤと、でもやれやれと肩を落とす

会話まで聞こえなかった私はそんなレンの姿に驚きを隠せない。いつも冷静な彼が、まさか初対面相手にこんな一面をみせるだなんて(なんだろう、)(てか今のでキレたなアレは)

対峙しているレンとフィンをマジマジ見ていたら、今度はリランが私にちょっかいを出してきた(うぜぇええ!)。私から二人を遮る様に仁王立ちをしてきたリランは、ニヤリと笑い私の腕を絡み(おーう胸がry)、耳元で言葉を繋ぐ







「鈍感でいられるのも今のうち」

「え…」

「それが逃げなのかはどうかとしても、貴女のやっている事は果たして彼の為になるのかしらねぇ…?」

「……!」






息を呑み目を張る私に、リランは得意そうにフフンと笑いスルリと腕から離れる

固まって動けずにいる私にリランはいきなりレンとフィンに振り返り……ガバッとレンの腕に抱き着いた







「凛々しいお方、あまりそうカッカしないで下さいな。せっかくの運命の出会いなんですから、もっと私達と仲良くして頂きません…?もちろん、貴方と私だけでも、ね?」






あ、なんかピッキーンってきた






「(…なんだろ、この敗北感…)」






初対面の人間に、なんだろ、この屈辱感

自分勝っているみたいなそんな目で見てくるし。…うわっ、自分の胸を腕に押しつけて…!アレされちゃって靡かない男はいないな絶対。おっぱいは正義っていうし?あ、言わない?まあいいや。まあ流石の私も見ていて気分はよくなくてだね。あぁあああなんかムカついてきたなんで無性にムカついてきたのかサッパリわっかんねー!きっとレンも満更じゃないんだろうなー!

あーあもう見てらんない。今、私…きっと顔が引きつっているよ。ヒクヒクいっているよ口元が!






「女、離しやがれ」

「いやん、そんなこと言わないで!でもそんな所もなんだかス・テ・キ…!」






同性相手故かは分からないけど今のは鳥肌が立ってしまったのはしょうがない事だよね







「おや、リラン。もうそんな事をして…なら私もリランに習ってみようかな」

「Σ!キャッ!」

「!!」






今度はフィンが私に近付いてきて私の肩を抱き自分に引き寄せてきた。リランに目がいっていてフィンの行動は予想外で、不意を突かれた私は簡単に体をフィンに預けてしまった

おぉ、意外に逞しいぞ…!←

自称王子様も伊達じゃないね

…Σじゃなくて!






「は、離してください!」

「フフッ。麗しい方よ、リランの言う通りせっかくの運命の出会いなのだから、是非私達と仲良くして頂きたい。……もちろん、個人的なお付き合いも、ね」







うわぁあああああ!

うっぜぇえええええ!(叫


(その時レンの怒りがピークに達した)







「いい加減にしやがれ!」

「キャッ!」

「いい加減にして下さい!」

「おっと」






パシッという音が響き、私達の声が上がったのも同時だった

レンは腕を絡ませるリランを突き放し、私は肩を抱くフィンの手をはたき落とす。リランはよろめき、フィンは勿体なさそうな素振りを見せる。リランのキレイハナは慌ててリランを支え、フィンのチルットははたかれた手をそのふわふわの手で撫で始める

私はフィンから離れ、レンの元へ行く。レンもリランから離れ私の元へ寄ると私を庇う様に前に出る






「さっきから何なんだお前らは。場違いな恰好なんかしやがって…故郷にさっさと帰りやがれ」

「おや、そうやってお前もさながら王子様気取りか?…王子様なら王子様らしく、しっかりその方を守る事が出来るんだったら話は違うけどな」

「んだとテメェ!」

「レン!相手の挑発に乗らないで!」

「あら?なら貴女はさながら王子様に守られている弱々しいお姫様って所かしら?嫌だわ、足手まといになるのを分かってそんなことをするなんて、ね」

「(カッチーン)…今の台詞、聞き捨てならないね。私が弱々しいって?冗談も大概にしてもらいたいものね」






カチャッとレンは腰からボールを取り出し、私は手からボールを出現させる

二人は想像していたのかニヤニヤとしてこちらを見ている(しかし私のボールの出し方に目を張っていたが)。私達の行動を見て、リランを守る様にキレイハナが、フィンを守る様にチルットが前に出る。






「最近の者達は短気なんだな。やれやれ、すぐにバトルで解決しようとするから困ったものだ」

「本当よね、フィン。弱い癖に私達に盾突こうだなんて笑い話だわ」

「弱い癖に、か…。ならその言葉、試してみるか?」

「そう言って大概の奴等は私達に負けていくのよ。滑稽な話だわ」

「あら?貴方達強いの?…へぇ、全然そんな風には見えないけどね」

「あぁ、全くだ」







チルットとかキレイハナとか正直強い気がしないしね←







「……おやおや、偏見で実力を勝手に決め付けないで頂きたいものだ」

「そっちこそ、勝手に俺達の実力を決め付けないで欲しいもんだ」






ニヤリとレンが笑い、今度はフィンが顔をしかめる

これはレンの挑発に、フィンが乗り出したという証拠






「んもうフィンたら。簡単に挑発に乗らないで頂戴!」

「弱い人程、そうやってバトルから逃げ出していくのよ?」

「…!」






私がフフッと笑えば、リランは私をキッとした目で睨み付ける

これはもう、決まったも同然







「いいだろう。そこまで言うならこのバトル、受けてたとうじゃないか」

「後悔するのね!私達はこれでもホウエン地方の有名なコーディネーターなんだから!」

「私は向こうで【風の奏者】と呼ばれている。リランは【華の踊り子】だ。…そんな私達のコンビネーションを、破られるか?」

















「風の奏者?華の踊り子?…レン、聞いた事ある?」

「聞いた事がない名前だな」


「「Σ!!??」」










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