「ご馳走さま、美味しかった!ごめんね、奢って貰っちゃって」

「構わないさ。…そういうのは、ありがとうって言うモンじゃないか?」

「…ありがとう、レン」

「上出来だ」





喫茶店を出て、お腹一杯になった私達はコガネの大通りを歩いていた

人通りは相変わらず多く、日光は燦々と照らしている。コガネデパートやラジオ塔やゲームコーナが大通りに向かい入れ、人々を歓迎する。リニアの線路が上を通っていて、そこにはもうスピードでリニアが発車している。道端ではポケモンのプチ披露宴なんかで行き交う人々を魅了させている






「すっごい…可愛いなぁあのマリルリ。…へぇ、あの人達ホウエンからやってきたコーディネーターなんだね。あんな風に魅了出来るバトルとかしてみたいよ」

「お前のバトル、充分魅了しているんじゃないか?コーディネーターを目指すのもアリかもな」

「あはは」





しばらくショーを見て、色々堪能させて貰ってから私達は足を運ばせる

人込みが多く、立っているだけでも人にぶつかりそうな勢いがあり、私はなるべくぶつからない様に人込みを避けながらレンの隣りに並ぶ。しっかし今日は偉い騒ぎだよね、前来た時はこれほどまでじゃなかったのに





「人が多いな…」

「…前はこんなにはいなかったのに」

「…よし、デパートにでも入るか。中にさえ入ればまだこんな人込み程じゃないだろうし」

「そうだね」





人込みもあれば日光もあるからね。こんな中いたら倒れちまうって(特に私が)(熱を持つ私にはキツ過ぎる)



レンの言葉に賛成し、目の前にそびえたつ大きなデパートに向かおうとした時だった









「もしもし、そこのお二方」






後ろから、声を掛けられた

一瞬誰に声を掛けたか分からなく、でもそれはすぐに私達に声を掛けられたと気付き、私とレンは後ろを振り返った

そこにいたのは二人の男女

一人はキレイハナを従えた、綺麗な純白のドレスを着た色っぽそうな金髪の女性に、もう一人はチルットを肩に乗せたどっかの王子様が着ていそうな同じ色をした純白の服を身に包んだ優しそうで紳士そうな茶髪の男性。一瞬見ただけでなんかそれっぽい道にいそうな(どんな道だ)雰囲気を持っている。二人とも見た目からしてレンと同い年かそれ以上位か。金髪の女性は勝気そうな笑みを浮かばせ、茶髪の男性はニコニコとした笑みを浮かばせるが、若干見下している様な目線を…レンに向けていた

すぐに茶髪の男性の視線に気付いたレンは眉間に皺を寄せると、その人を見返す。金髪の女性は私を見てレンを見返して…クスリと笑う

その視線は馬鹿にしている様な気がして、表情は変えずとも心の中では「んだこいつ」と笑顔で毒付く。品調べをされている気分だ。レンを見ればレンも丁度こちらに視線を向けてきた。指図めその視線の意味は「関わるな。無視するぞ」なーんて言っているに違いない

まぁ、とりあえず








「何か御用で?」

「俺達に何か用か?」








初対面からなんだよこいつらむちゃくちゃムカつくなぁオイ

と思いつつもあまり相手を刺激しない様に言葉を掛ける。すると向こうはいきなり二人共クスクスと笑い出してきたもんだから、流石にイラッとした(あぁ、レンも絶対そうだ






「駄目じゃないの、フィン。第一印象から決めないといけないのにこれでは台無しでしょう?」

「そっちこそ駄目じゃないかリラン。あまり二人を刺激してしまうと返って怒りに変わってしまう」






どうやら金髪の女性がリラン、茶髪の男性がフィンと言う名前らしい

正直どうでもいいから退散させて(切実に)…あわわ周りに野次馬が増え始めた…!






「あの、用が無いなら行きますけど…」

「あぁ、そう言わないでくれたまえレディー。麗しく綺麗なお方よ、眩しくも儚げに見えるそのお姿……貴女に巡り逢えたのも、何かの運命でしょうか?」







………えーーーっと?






「…行くぞミリ。こんな奴等無視だ無視」

「ああんそんなことを言わないでプリンス!その綺麗で鋭い瞳に凛々しいそのお姿…やっぱりこれも、運命なのでしょうか…!」

「………」






あらー、

あのリランって言う人、レンに色仕掛けかけたよすごいね

しかもレン、表情は変わっていないけど…なんだかかなり嫌そうだ。なんだかじゃないね嫌そうだよオーラが訴えてるよ。なんだろうね、この人達。普通に邪魔なんですけど

その時、フィンと言う男はいきなり私の目の前に跪くと、私の手を取ってきた。驚く私にフィンはフフッと笑った






「私の名前はフィンと言います。麗しい方よ…以後お見知りおきを」

「Σっ…!?」






言葉の最後には、手に温かい何かとリップ音

私は彼に驚き凝視し、隣りにいるレンもフィンを見て驚き凝視した。顔をあげたフィンはフフッと、それでいて勝ち誇った笑みを浮かばせていた(レンがそれ見てピキッとくる)







「まぁ!フィンったら大胆なんだから!……フフッ、なら次は私ね!凛々しい方よ、私の名前はリランと申します。以後お見知りおきを」

「…っ」

「(Σあ)」







リランは腕を伸ばし、レンの頬に触れると近づけてー―――レンの頬に、キスを落とした

リップ音がやけに強く耳に残り、やられた方のレンもそれを見た私も驚き固まった。リランは私達の反応をクスクスと笑い、しかも勝ち誇った笑みでこっちを見てきたから

何だか、無性に、腹が立った














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