「あ、そうだ。レン、ちょっと行かなくちゃいけない所があったから行ってくるね。センターで待っててくれるかな?」

「あぁ、分かった




 ………白亜、ちょっと来い」

「ブイ?」





テクテク…



ヒョイッ



ポフッ





「ブイ〜Vv」

「よし、行ってこい」

「ちょっと待って白亜を呼んで手中に収めたのはもしかして人質のつもり!?」





どんだけ信用ないんだ私は


―――――――
――――
――








此所は、コガネシティ


コガネシティの、喫茶店







「へぇ、中々美味いコーヒーだな。マスター、良い物を淹れているな?」

「それは企業秘密、ですよ。お気に召してくれて私は嬉しいです」

「都会で、人が混雑するコガネシティにこんな場所があったなんて盲点だった。雰囲気も良いし、コーヒーも美味いし、文句は無いな」

「ありがとうございます」






カウンター席でマスターと会話するレンは、フッと笑いまたコーヒーを口につける。私とレンとマスターしかいないこの喫茶店内は、穏やか雰囲気を醸し出していた。二人の姿を眺めながら、私もレンに習ってマスターから貰った紅茶に口をつける

隣りからブラックのコーヒーの香ばしい匂いがこちらにまで薫ってくる。…よくもまぁそんな砂糖も入っていない飲み物が飲めるもんだ。私なんて砂糖とミルクは欠かせないしむしろブラックなんて飲めない






「紅茶も美味しいですよ」

「ありがとうございます。当店自慢のブレンドティー、お気に召してくれて嬉しいです」

「フフッ、まろやかで美味しいですよ」






しかし数時間前の出来事は本当何だったんだろう

うずまきじまから帰って来た時、睡魔が一気に襲ってきたのは覚えている。それは浜辺で全力疾走した疲れからもきていたし、夜寝るのも遅かったから。しょうがないとは、思っている。布団がそのままで、空間移動で帰って来た途端に布団に倒れ込んだ、のも覚えている。皆のあわあわとした気配を感じていたけど、すぐに私は夢の中。途中息苦しかった記憶がまぁちらほらあったけど

目が覚めていたらとりあえずイケメンな顔があったのも覚えている。でも起きるのが正直怠くって、またもう一度寝たんだっけ…。今度は眠りが浅くって、(多分)レンの撫でる手が温かいと感じながら会話がちらほら聞こえて恥ずかしくて引きつったのも、覚えている。……でもその後すっごい騒音が聞こえてきて、目が覚めたら周りがカオスになっていて、かなりびっくりした(蒼白だよねアレは)

ミナキさんは木にぶら下がっているし、マツバさんはポケモン達に押し潰されているし、レンは犯罪者みたいに立っていたし………あぁあああ何があったかなんて怖くて聞けない!←

てかマジであの二人は…無事だろうかマジで(口から魂が出ていた気がする)(ちなみに布団はこっそりと時杜に頼んで返して貰った)







「そういえばミリさん、貴女が聖燐の舞姫としてその姿で此所に来るのは初めてですね。…もうあの姿で行動しなくても、平気なんですか?」

「あ、あはは…まぁ、はい」

「そうさ、あんな姿をしなくても別に良くなったんだよな?…永遠に。そうだろ?」

「そそそそ、そう、デスネ!」






有無を言わせない様な笑みでこちらを横目でニヤリと笑ってくるレンに私は全身に冷や汗だらけ←

影が差しているぞ、影が!

今レンの言った台詞で、勘の良いマスターは察したのか、コップを拭きながら苦笑を漏らした。うん、私も苦笑したいよ。したくても逃げたくても中々逃げる事が出来ないんだよ誰か助けて←





「二人は仲が宜しいみたいですね」

「あぁ、まあな」

「(……恥ずかしー…)」

「腕に付けている腕輪は、もしかしてペアルックか何かでしょうか?」

「目敏いな、良く分かったな」

「前此所に来て下さった時には付けていませんでしたからね」

「ははっ、そうか」







あぁあああレンさんお願いですからマスターの目の前で冗談でも顔を近づかないで…!!←



ていうかね、






「マスター、今日はえらい話しますねニヤニヤしていませんかむしろ私の反応を見て楽しんでませんか!?」

「心外ですね、私はいつも通りですよミリさん」

「そうだぜミリ、中々話の分かるマスターだぜこの人は」







いやいやだったら二人して同じ様な目で見ないで頂きたい←






「…なら、ミリさんが付けている右手の小指にある指輪も、貴方が?」

「!」

「……いや、それは最初っから付けていたやつで俺があげた訳じゃない」

「あぁ、そうでしたか。それは失礼な事を聞きました」

「…………」






右手の小指でキラリと輝くソレ

あの泉で、自ら私の指に入ってきた、小さなダイヤモンドが埋め込まれている小さなプラチナ指輪



左手で、隠す様にキュッと指輪を触る。あまりこれは見せ物じゃないんだと、警報を鳴らす様に。レンは気付いていないが、マスターは気付いた様で苦笑をまた零し、視線を逸らし話も逸らしてくれた


レンとマスターが話している間、私は指輪を見る







「(本当、この指輪は…)」







今まで触れてこなかった、指輪とあの泉

いずれはあの泉についても色々関わってくる筈。遠くない未来なのかもしれない





…もしかしたら全ての鍵は、私と聖地を繋ぐこの指輪…








「(しかし、あのネックレスも…何だろう)」






触れ様とした時、結界が張ってあり拒まれ触れる事が叶わなかった、パパラチャのネックレス

指輪は触れてもネックレスは駄目だった。…その意味は、一体何なんだろうか







「…、ミリ?急に黙って考え事か?」

「!いや、何でもないよ。ちょっとぼーっとね。……で、何だったっけ?」

「……いや、何でもないなら別に良い」

「?そう?」

「………………」









指輪と腕輪が、キラリと輝いた






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