自由気儘に、ゆったりと

マイペースを貫く橙色の蝶


フワリと飛ぶ気紛れな蝶

今日も蝶は何処へ飛ぶ?











Jewel.17













《―――――…いたいた!もう、こんな所まで飛んじゃってるなんて!探す僕の苦労を少しは分かってよねー!》







此処は、シンジ湖

外はまだ日が昇っているのに、森の中だけは薄暗いその中に、フワリフワリと紅い光が宙を舞う

紅い光の先には、橙色をした光

橙色の光は樹の幹に羽を休めていた。そこの一部分だけ樹々の木漏れ日が差し、ポカポカと陽気が差していた。気持ち良さそうに羽をパタパタさせ、日光浴を楽しんでいる橙色の光―――橙色のアゲハントの風彩に、紅色のセレビィの時杜が隣に降り立った






「ふりぃ〜」

《いやいや、おはよー、じゃないよ風彩…もうお昼だよ午後だよお天様真上だよ》

「りぃー、ふりぃ〜」

《細かい事は気にするな〜、って…とりあえず起きようよ風彩、ミリ様がそろそろ戻ってきてって言ってるよ!》

「ふぅー?」

《えー、じゃない!》








さっきまでお昼寝でもしていたに違いない。マイペースでお昼寝が好きな風彩にはこの木漏れ日が気持ち良かったのだろう

ブーブー文句を垂れる風彩を余所に、時杜はペシペシと風彩のおケツを叩いて立ち上がらせる。渋々といった様子で羽を震わせ飛び上がる風彩に、時杜も続いて羽を震わせ飛び立つ







「ふりぃ〜?」

《ミリ様は今湖の岸辺にいるよ。蒼華と水姫とエムリットも一緒さ。刹那はどこかに修行している闇夜と朱翔を呼びに行ったよ》

「ふりぃ〜」

《そうそう、毎度の如く君を探すのは僕の役目なんだからね。何故か。頼むから目の届く場所に居てくれなきゃミリ様も心配するんだよ?》

「ふりふり〜」








フワリフワリと紅い光と橙の鱗粉を散らせながら、二匹は飛ぶ

淡い光と鱗粉が降り懸かったその場所は、みるみる内に新しい芽吹きを開かせ、花を咲かせる。中には大きな実、つまりは木の実にへと成長させ、近くにいた野生のポケモン達は嬉しそうに木の実の成長を喜んだ

ありがとう、と熟れた木の実を手にした野生のポケモン達は二匹に向かってお礼の一鳴きを上げる。どう致しまして、時杜と風彩は手を振って帰路に戻る








―――――橙色のアゲハント、その名を風彩

手持ちのパーティの中で一番マイペースで一番自由気儘な彼。本当の蝶の様に縛られる事なく自由に飛び回る男の子。好きな事はお昼寝と日光浴、好奇心旺盛な彼は気付けば何処かへ姿を眩ます

誰かさんによく似ている、ともしミリの素性をよく知る者達がいたら同じ台詞を口にするだろう。飼い主によく似る、とも言ってもいい。似た様な雰囲気を持つ二人は波長も合うらしく、そのマイペースっぷりに手持ちのポケモン同様に人間もしばし巻き込まる姿を見掛ける

彼はどちらかと言えばコンテスト派で、出場する種目は専ら賢さコンテスト。今一緒に飛んでいる時杜とタッグを組んで圧勝を決めている。普段はマイペースで自由過ぎる彼だが、バトルやコンテストに関しては目を張るくらい鋭さと頼もしさを感じさせてくれる。本当に主そっくりだ








突然ミリ達の元へ現れ、勝手にボールの中に入って手持ちの仲間入りを果たした風彩。彼が何故、自分の意思で手持ちになってくれたのかは今もなお分からない

しかしいつか明かされる時が来るだろう。何せ彼はマイペースで気紛れで、自由奔放。それが一体何時になるかは分からないけれど













「ふりぃ〜」

《風彩、寄り道はしないからね》

「ふりぃ〜」












さて、それでは皆さんにだけ明かしましょう

彼が何故、仲間になったのか

どんな出会いだったのかを―――







(君は何を考えている?)


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