何か恥ずかしい会話が聞こえてきて、とりあえずまたもう一度寝ようと瞳を閉じてから数十分

大きな騒音を出しながら戦う三人に軽く安眠妨害される中頑張って寝ようとした矢先、最後のドカーンとした音で辺りは静かになった。やっと眠れる、そう思いまた寝ようとしたらもう目は覚めてしまっていた。しょうがない起きてやるかとモゾモゾと布団から顔を出したその時だった





「……、あれ?これは一体どうなってんの…?」





私の寝ていた敷き布団以外、戦いの痕跡が荒く残っていて、部屋が部屋じゃ無くなっているほどかなり崩壊していた

これには完璧目が覚めてしまった私は慌てて起き上がり(しかし布団をくるまったまま)、廊下に顔を出した







「え、ちょ…ええええ!?マママママツバさぁあああん!?ミナキさぁあああん!?これは一体何事ーーー!?」






そこには無惨にもボロボロで力尽きて倒れているポケモンと、同じく力尽きて庭の木にぶるさがっているミナキさんに(どうやって!?)、ポケモン達に重なる様に押し潰されているマツバさんの姿があった(えええええ!?)


むっちゃカオス過ぎる

そして見たくなかった光景!←









「―――あぁ、ミリ。起きたのか…悪かったな、煩くして」

「!?」








庭の真ん中には荒い息を吐きながら疲れ切っているエルレイドとアブソル、そしてトレーナーのレンの姿があっt……うわーめっちゃオーラがドス黒い…


想像はすぐについた

レンが二人を殺し…ゴホン倒したんだろう。しかしオーラが黒過ぎて近寄りたくても近寄れない…!黒い!果てしなくトレーナーが黒くてポケモン達も感染する!←

何があったんだ私が寝ている間に!






「あのー、レンさん。これは一体何があったのでしょうか…?」

「…聞きたいか?」

「すみませんやっぱり聞きません」







笑っている様で笑っていないその瞳に悪寒を感じてしょうがないんだぜ←







「ミリ、目が覚めたならさっさと此所から出て行くぞ」

「は!?え、ちょっといきなり過ぎるでしょ!?それに私寝起きだから髪の毛がボサボサだしそれにあの二人をあんな状態でほっとく訳にはいかな…………わっ!」






突然の言葉に慌てふためく私につかつかと歩み寄って来たレン。私の言葉を遮ると、布団にくるまう私をそのまま抱き上げたじゃないか!いきなり身体が宙に浮いたと思ったら目の前にはレンの顔があり、なんだかまたデジャブに思えてしょうがない

レンは抱き上げた私をそのままつかつかと庭に出る。抱き上げたまま腰に手を伸ばしてボールを取り出して投げればそこにはスイクンが現れた。丁度良いタイミングか、エルレイドが私達の靴を玄関から取って来てくれ、アブソルは二人分の荷物を咥えて戻って来ていた。手際の良さに目が点になる私にレンは私をスイクンの背に乗せて、二匹から荷物を受け取りボールに戻した。自分の靴を履き、荷物を肩に掛け、同じ様にスイクンの背に跨がった

未だにぽかんとする私に、此所にきてレンはニヤリと笑った






「まずはコガネシティの喫茶店だな。朝飯食ってないし、もうじき昼だから丁度いいだろう」

「いや、あの、レンさん?」

「その後はアザギに行ってタンバに行くか、もしくはチョウジに行っていかりのみずうみに行くかどっちかだな」

「もしもーし?」

「効率が良いっつったら…やっぱアザギに行ってタンバに行くルートか。けど最近出来たポケスロンってやつも気になるな…なぁ、お前はどっちが良い?」

「ちょ、周りは悲惨な状態なのにどうしてそんな穏やかな笑顔…!?」

「ん?」

「近い近い近い近い…!もうなんでもいいですとりあえずお腹空いているんで食べ物入れたいですそれ以降は何処でもいいですから近い近い近い…!」

「よし、ならまずはコガネシティだ」







満足そうに笑う(しかし有無を言わせない威圧感に)レンに何があったかなんて聞くにも聞けなく

私はレンの温もりを感じながら、マツバさんとミナキさんに合掌するしかなかった














「(そういえば、さっき見ていた夢……何だったっけ?)」









(紫の瞳が、頭から離れない)



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