「白銀の麗皇かぁ…」

《きになりますか?》

「まぁ、ね。レンったら、勿体ぶった様に切り上げるんだもん、気にならない方がおかしいって。普通は白銀の麗皇って言われても気にならないけど…刹那の言う事もあるから、中々見過ごす訳にはいかないから、ね」

《なら僕らの仲間に情報収集をしてもらえればいいと思いますよ。そうですね…瑠璃なんか結構色々な所を渡っていますから詳しい筈ですよ。僕の力があれば瑠璃を呼ぶ事も可能ですし》

「…なんでもありなんだね…」








―――――――
――――
――










「なんかもう、時杜の力は素晴らしい!ってか万歳!ってかワンダフル!って言うのはこの事を言うよねー…」






明朝

むしろ早朝。眠い



朝日が昇りそうな昇らなさそうなそんな瀬戸際に、私達はうずまきじまの最深部にいた

時杜の力を使い、まるで某猫型ロボットの十八番のドアを使った様にうずまきじまにやってきた私達を待っていたのは、大きな滝と馴染みのある昨日会った緑色のミュウツーの刹那に、目を張る様な大きな巨体をした――――まさかのルギアが歓迎してくれた






《ルギア、久し振りだね。元気そうで良かった!》

「…」

「「ブ、ブイィイイ(怯」」

「ルギャー」







…まさかだよねー

まさか目の前にルギアがいるとは思わなかったよねー

デ、デケー

ヤベェこの子マジデカい。やっぱ伝説級は迫力が違うなー






「ギャー」





しかもなんか私すごく懐かれてんですけど〜。なんだよこの子めっちゃ可愛いんだけど。デカい図体して私にすり寄ってきたよ。いやん可愛いなぁチクショウニヤニヤニヤニヤ!

近づいてきた大きな頭を撫でてあげれば、鋭い眼光の目がニコニコと破顔するルギア。そこには伝説と謳われたルギアの姿ではなく、とても愛らしい存在で。威厳なんて感じないルギアに私は苦笑しながらもっと撫でてあげる。そういえば記憶にある中には確かこの子もいて、真面目な正確で昼寝が大好きな子だったんだよね






《聖燐の舞姫、その者が記憶の光の欠片を守ってくれていた》






ルギアの頬を撫でていたら、近くに刹那が近付いてきた

球体の手には一つの淡い光があった。私はルギアから手を離し、刹那に近付いていく。手を伸ばしソレを受け取り、刹那は光に触れれば光はビー玉に変化してポトリと手中の中に収まり、コロリと転がった

私はキュッと拳を握り、手を開く。そこにあったビー玉は無くなり、私はふぅっと息を吐くとルギアを見上げた






「ありがとう、ルギア」

「ギャーギャー」

「時杜、」

《はい!…ある日突然降って来た物を、我はただ人間やこの海の同胞に奪われない様にしたまで。刹那が来て、なおかつ我が真の主人もやって来るとは思わなかった》

「ギャアア」

《ミュウ…いや、瑠璃からは真の主人が帰って来た事は話しに聞いていた。逢えて光栄だ、我らが真の主人よ》

「ルギア、私も貴方に逢えた事を光栄に思っている。私の名前はミリ、【異界の万人】が十代目」

「ギャーー」

《我も含め、他の仲間も真の主人に変わらずの忠誠を誓おう。真の主人よ、是非我にも名を与えて貰いたい。…瑠璃が自慢をしてきてな、少し羨ましいのだ》

「あぁ、瑠璃が…フフッ、そっか…あの子らしいよ。…なら、君に名前を与えます。――深怜<シンレイ>。ルギア、これから貴方の事は深怜と呼ばせて貰います」

「ギャアア!」

《良い名だ、気に入った。礼を言う、我らが主人よ。……良かったね、ルギア。いや、深怜!》

「「ブイブイ!」」






通訳を終わらせた時杜はルギアの周りを飛び回る。下にいる白亜と黒恋は楽しそうにピョンピョン飛び跳ね、蒼華と刹那はお互いに目を合わせルギア…深怜を見る

深怜は嬉しそうに咆哮を上げ、大きな水飛沫を上げ滝の中に消えて行った

私達はしばらく深怜が消えて行った姿を見送った後、私は刹那に振り返った






「刹那、」

《私はまた光を捜しに行く。新たに見つかったらそちらに向かう》

「待ってるよ。その時は美味しい食べ物を用意しておくから、楽しみにしていてね」

《あぁ、楽しみにしている》

「「ブイブイ」」
「…」
《またね、刹那》

《あぁ、お前達も元気でな》






足元でピョンピョン跳ねる白亜と黒恋の頭を撫でて、一言蒼華と言葉を交わし、宙に浮く時杜にも言葉を交わし、最後に私に視線を合わせるとスーッとその姿を消していった


私達はまた刹那が消えていった姿を見届けて、そして今後は全員に振り返った







「帰ろっか、皆」

「「ブイ!」」
「…」
《はい!》







光が眩き、静寂が広がった






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