《聖燐の舞姫。ちゃんと奴の記憶の欠片を持っているな?》

「えぇ、勿論」





団子を食べ終え皆とポフィンを分け与えてから数分後。時杜を頭に乗せ、尻尾に黒恋を乗せ、膝の上に白亜を乗せた刹那が私に問い掛ける(なんだろう、この面白い光景)。私は頷くと、パチンと指を鳴らした(あぁあああ手首が痛い…!←

手の平から淡い光と共に現れたソレ

私はパシッと手に取って、刹那達に見える様に差し出した。私の手の中には、ビー玉位の大きさの記憶の光の欠片が――三つあった






「一つは初めて出会ったふたごじま。二つは再会したつながりのどうくつに、三つはスリバチやまの最深部…」

「「ブイブイ!」」
《大変だった!》

「…」
《お前が来たと言う事は、新たな欠片が見つかったと言うんだな》

《あぁ、そうだ》






この一か月何度か刹那と再会し、刹那に導かれる様に記憶の光の欠片を見つけ出して来た

始めはふたごじまで手に入れた欠片が導いてくれるのかと思ったけど、実はそうじゃなかった事には流石に笑っちゃったかな←

手の平に転がるビー玉は、月光の光でキラリと輝く。三つあるソレは光の反射で私の顔が写し出される。刹那の膝の上にいる白亜は興味津々な顔でそれを触ろうと腕を伸ばしている(可愛いなぁ






「次は何処にあるの?」

《うずまきじまだ》

《うずまきじまって、ルギアが居る所ですね!懐かしいなぁ、彼は元気かな蒼華》

「…」
《どうせ寝てるだろうな》

「「ブイブイ?」」
《ルギアって?》

「海の神様って言われているポケモンだよ。…へぇ、次はうずまきじまかぁ。ルギア、一度見てみたかったんだよね」





こうやって刹那は次の欠片の居場所を教えてくれる。教えるより持って来いよと思うが、どうやらそれが出来ないらしい。欠片をビー玉に変える事は出来てもその場所から持ち出す事が出来ない。だからこうしてわざわざ私の所にやって来ては場所を教えてくる。…まぁ大半の理由は食べ物目当てなんだと思うけど←

しかし、困った事がある





《明日、明朝にてうずまきじまで待っている》

「あぁ、その事なんだけど…」

《?都合でも悪いのか?》

《あぁ、レンさんの事ですね?》

「そうなんだよねー…」






私が一人にこだわった理由

こうした事が起きた時に自由に動けるからだ。誰の心配もいらずに、誰の心配も受けずにこうした真夜中だって行けてしまう。スリバチやまの最深部に行った時もこうした真夜中だったけど、皆寝てるから全然大丈夫だった


でも、今回は、確実に、レンがいる

しかも、明朝とかって…


……あぁああああああ←







「ブイブイ!」
《あんな奴ほっとこうよ!》

「ブイブイ!」
《駄目だよ仲間外れだよ!》

「…」
《しかしアイツがいると動き辛くなったのは確かだな》

《さっきミリ様を監察させるためにトゲキッスを使っていましたしね…》

「…………あー、どうしよう」






エンジュに帰って来て夕飯済ませてからあまりレンとは会話はしていない

だって気まずいし気まずいし気まずいし気まずいし気まずいし気まずいし(ry)

別に構わないんだけどね!構わないんだけどなんか憂鬱になってしょうがない…!あぁああああああ!←






《そうか、連れがいたのか》

「あー、まぁ、…うん。彼もナズナさんの事を捜している仲間みたいなものだけど…流石にこの事は言うにも言えないからねぇ。まぁ元々言うつもりも無いんだけど」

《その方がいいだろう。他の人間にとってこの話は複雑で厄介なものだからな》






そりゃそうだ、と私は苦笑を漏らす

こんな事、普通はあってはならない事だから






「…」
《言っていなくとも言っていようともどの道アイツは着いて来るのは確実だ》

「ですよねー」





やりかねないから困る←

あ、一匹喜んで一匹悔しがっている二匹が←←





《刹那》

《なんだ》

《僕ずっと思っていたんだけどそのビー玉を捜す役目はミリ様だけなの?》

《…と、言うと?》

「…」
《そのナズナという奴、主人以外で他に信用に足りる奴の事は言っていたかと言う事になるな》

《ミリ様だけじゃないよね?そのナズナさんが言っていたのって。全ての鍵になるのはミリ様だってカツラさんは言っていたけど、他にも誰かいるはずだよ》

「「ブイ」」
《うんうん》

「…それは確かにそうだね…。話に聞く限りはナズナさんって言う人は結構用心深い所がある。…刹那に私の事を言った余裕はあったんだ、他にも何か言ってもおかしくはないはず」

《………》






未だにナズナさんの人物は分からない

ジョウトに来る前にエリカの所に行ってまたナズナさんの写真を貰ってはきたけど(だってレンに渡して手元に無かったし)、写真見ても何も分からない






《…確かに言っていたな》

「お、やっぱり?」

《だがそれは、意味は反対だがな》

「……反対?」

《奴は言っていた。『自分を見つけ出せる鍵になるのは聖燐の舞姫だ』と》

「そうだろうね」

《『…しかし、ある奴は俺を捜さない方がいい。そいつが俺を見つけ出し真相を知ったら…そいつはきっと、絶望の淵に堕ちるだろう』とな》

「……絶望の淵に、堕ちる…か」






刹那の言葉が無感情に響き渡る

私達は静かに刹那の言葉を待つ






《そいつは、【白銀の麗皇】》

「……【白銀の麗皇】?」

《お前の聖燐の舞姫と同じ様な通り名だ。この地方ではあまり有名にはなっていないらしいな。それが救いなのかは、分からないが》

《白銀の麗皇…ならその人には、あまりこの件については触れさせない方がいいですね。…白銀の麗皇は一体どんな人なんでしょうね》

《奴から聞いた名だからな。詳しくは知らん》

「…」
《だがそいつとアイツは関係ないな》

「「ブイ〜」」
《そうだね〜》

「…白銀の、麗皇か」






綺麗な、通り名


麗しい皇と書いて、麗皇…

名前が渡る程だから、きっと強くて、「麗」という字があると言う事は綺麗な人なんだろう



けど、何でかな






「(どうして一瞬、レンが浮かんだんだろ…)」









その時、後ろから気配を感じた







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