美しい肢体、黄金の輝き

全てを魅力させる麗しの存在



心穏やかな、優しい艶姫








Jewel.15













目の前に広がる壮大な湖は此処、シンオウ地方三大湖の一つ。太陽光の光で反射されキラキラ輝く水面から、湖の中に住む野生のポケモン達が仲良く遊んでいる姿があった

此所はシンジ湖

広い湖のとある岸際に、パシャリと音を立てながら優雅に水浴びをする―――黄金輝く美しい光があった






「水姫、気持ちいい?」

「ミロー!」

「そっか。私も気持ちがいいよ」

「…」






湖の中に半身を浸かり、気持ち良さそうに水浴びをする黄金のミロカロス、水姫。岸際に座り足を漬けて水の気持ち良さを堪能しているのはミリで、彼女の後ろには水色のスイクン、蒼華が腰を落ち着かせていた

そしてもう一匹





「リュ〜ン」

「此処の湖はいい場所だね、エムリット」

「ミロー」

「…」

「リュ〜ン!リュー!」

「あはは、エムリットくすぐったいよ〜」







シンジ湖の主、エムリット

湖の中央部にある小さな住家の地下深く眠っていたエムリットは、ミリの存在を感知したらしく、久方振りに外の世界に顔を出したらしい。小柄な身体を楽しげに震わせ、広い空間を気持ち良く飛び回っている


現在、ミオシティに向かうミリ達御一考はシンジ湖で休憩を取っていた。此処に居るのはミリと蒼華と水姫、他にいる仲間は違う場所で各々の事でもやっているに違いない。先程収集を掛けたから、その内全員戻って来るだろう







「ミロー」

「リュ〜ン、リュ?リュ〜」

「ミロ?ロー、ミロー」

「…」

「ミロ!?////…ミロー…ロー////」

「あらあら、水姫顔真っ赤(笑)」

「ミロォォォ!!!!」






エムリットが水姫に何かを言って、蒼華が何かしら付け加えて言った言葉に照れる要素でもあったのだろう。通訳の役目を持つ時杜が此処に居ない為、会話が聞けないのが非常に残念である

ちょっと茶茶を入れてニヤニヤとからかってあげれば、顔をボッ!と真っ赤にする。ブンブン!と尻尾を振ってバシャバシャと水を跳ねさせ、照れまくっている水姫の様子にミリは生暖かい目で見守る。まるで好きな人を前にするイマドキの女の子のウブな反応だ。エムリットもニヤニヤと笑って茶茶を入れてやれば、水姫は「ミロオオオッ!」と叫んでエムリットと追い掛けっこを始める

美しい容姿と一辺した女の子な姿、バシャバシャと水を立てながらエムリットを追って離れていく水姫にミリはクスクスと笑いを堪えながら、しかしニヤニヤと後ろにいる蒼華に顔を向ける







「…」

「蒼華ちゃーん、君も罪な人だねー」

「…」(ペチッ

「あたっ。いやでも本当にそうだよ蒼華ちゃん、いたいけな可愛い女の子の心を奪い去った罪は重いよー?責任はちゃーんと取らないとねぇー?(ニヤニヤ」

「…」(ギュッ

「…うぐっ!?ちょ、蒼華ちゃん首絞まってる絞まってる絞まってる…!」








先程の反応から分かる通り、水姫は蒼華に淡い恋心を抱いている。かなり分かりやすい恋心を

蒼華と水姫は同じ水タイプで、コンテストなどでよくタッグを組んで大会に出場するのが殆ど。その中から恋心が芽生えしまうのも、無理はないだろう。蒼華というスイクンは一番美しいポケモン、他のポケモンから見ても彼は美しいと誰もが口を揃えて答えるだろう。そして蒼華は外見も良ければ中身も良い。まぁちょっと過保護過ぎるのもどうかと思うが(それはミリ限定)。これはあくまでも人間から見た主観な為、ポケモン達が彼をどう見ているかまでは流石に解らない。でも確実に言えるのは、彼が人間だったら恋に落ちるのも無理はないなぁ、とミリは頷きながらしみじみと思う


対する蒼華とは言えば―――…残念ながら、片時もミリのそばを離れない様子から分かる通り、ミリ至上主義で忠実で過保護で微ツンデレ(ミリ談)。そういった恋心というものは無く、無論水姫には抱いてもいない。強いて言えば水姫の事は、仲間、同胞等……年輩者故の余裕さで逆に水姫を見守る蒼華にミリは「水姫、想い続ければいつか叶うよ。多分」と小さく合掌。全然報われない









「でも本当、あの子は立派に成長したよ」

「…」









ミロカロスという美しい種族になっても、周りから受けた苛めによって全てに対する自信が無かった水姫。仲間に加わった時も、やはり「嫌われたらどうしよう」と低姿勢でおどおどしていた彼女。今はもう自分にも自信が持ててくれた様で、今はあの様に元気良くはしゃぎ回っている。良い事だ(※からかわれている

ミロカロスの水姫――――このパーティの中ではコンテスト要員でもある彼女。黄金煌めく身体を持つ美しい存在の水姫は、一部の人間から【艶姫】と呼ばれている

心優しい、仲間想いの彼女

そんな輝かしい彼女の裏側に潜む暗闇の過去――――ミリは小さく、悲しそうに眉を顰めて溜め息を吐いた








「――――…何処の世界にもいるんだね。人間でもポケモン関係ない、同じ種族でもちょっと色が違うだけで迫害して、忌み嫌うんだなんて」

「…」









此処にはいない黒銀色のダークライも朱色のルカリオの朱翔と同様に、水姫も色違いだからと疎遠され、忌み嫌われた者の一人

彼等が受けた傷は計り知れない。心の傷は治る事は出来ない。しかし変わりたいと思えば、環境一つで人もポケモンも変わってくれる


少なくても、水姫は変わった。心の傷を負うも、その分優しい心を持ってくれた。自分にも自信を持ち、今や立派な演技者だ。とても、立派に成長してくれたと思うばかり









「リュ〜!」

「ミロォォォオオオッ!」


「あはは、仲がいいねー」

「…」














優しい心を持つ艶姫

人の痛みが分かる優しい子

君は、どんな痛みを受けた?






(語ってもらいましょう、君の過去を)


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