それから私とシルバーはコガネシティの喫茶店(アカネに紹介されたあの喫茶店)に入り、私の奢りで夕飯を食べながら(マツバさんには申し訳ないけど今日は無理と連絡を入れた)今まであったシルバーの話を聞いた

話に聞くと、今は再会したサカキさんと入退院を繰り返しながら生活をしているらしい。しかしシルバーはサカキさんとは実質上共に生活をしていなく、サカキさんの入退院を手伝ったりしてちょくちょく顔を出しているみたい(なんて親孝行なんだ)。サカキさん自身の容態は精神的に良好になりつつあるみたいで、私は安堵の息をつく。スペでなんかヤバかった様な記憶があったから。そのサカキさんが、シルバーに私に会って来いと言った程だから、これから先彼は大丈夫なはず

彼はシルバーを愛していたあまりに、シルバーを捜したいが為にロケット団という悪に染まった。でも、今彼には最愛のシルバーがいる。染まってしまった悪は取り除く事が出来ないけど、シルバーがいる事で光に向かって行けば良い






「彼はシルバーにすっごく手を焼いていてね、ジムの経営をしつつ暇を見つければ帰って来てシルバーに会っていたの。アレは面白かったなぁ、抜け出したみたいでジムトレーナーに引きずられて戻っていた姿もあったり、シルバーと隠れんぼしていたらシルバーがあまりにも隠れるのが上手かったからヘロヘロになって捜しまくっていたり。二人して同じポーズで昼寝したり二人して嫌いな食べ物を残していたり……」

「……父さんも、普通の父さんだったんだね…。あまり想像出来ない…」

「…黒い服着た中々良い風格を持ったオッさんが息子を追いかけてヘロヘロになる姿は結構見物だったよ」






アレはもう歳だよ、歳

もう本当に懐かしい。そしてアレには本当に笑わせてくれた(もちろん怒られたけどね)。まだあの時はロケット団じゃなくてジムリーダーだったサカキさん。それだけでもあの姿は想像出来なくて、あの人も、結局お父さんなんだと…しみじみ思った事があった






「姉さんは、どうして…」

「家族でもジムトレーナーでも何でもないのに、自分の世話をしてくれたか?って言いたいんだよね」

「…うん」

「簡単な話だよ。トキワの森で迷子になっていたシルバーを私が助けたの。その時シルバーに懐かれたのがきっかけ。丁度行き場のなかった私にあの人が少しの間衣食住を提供する変わりにシルバーの姉になって欲しいって言われたのが始まり」






面白くて妙な出会いだった気がする。森で迷ったシルバーとは、本当に偶然出会った。怖くて涙で顔を濡らすシルバーを慰めて抱き上げて、しばらく一緒に居たら(てか遊んでいたら)スピアーと一緒に現れたサカキさん。必死そうな顔をしていたあの人は私の腕の中にいたシルバーを見てかなり安心し表情を崩していた。まさか此所であのサカキさんと会うとは思わなく、とりあえずシルバーを返そうとサカキさんに渡そうと思ったら……小さな手が私の服を掴んで、離さなかった

アレには驚いた(もちろん彼も)

それから家に案内されて、されるがままにシルバーと遊んで、夕方になってサカキさんが私を家まで送ってくれて家に向かったは良いけど……何故か家が何処にも無く、途方に暮れていた私をサカキさんはあの提案をして、私はそれを受け入れてしばらく厄介になる事になった

家を留守するサカキさんの変わりに家事全般をしながらシルバーと遊び、ジムでシルバーと一緒にサカキさんを応援しながら、大地のサカキと言われる技術を色々見て盗ませてもらった。もちろんサカキさん直々に色々教えて貰ったりもして、結構充実した二か月を送った

………今考えれば、初めてトキワの森に訪れたあの時……出会いは摩訶不思議で、その後ポケモン達は私を歓迎してくれた。というか、"森"自身が私を歓迎してくれていて…初めて来た時ポケモン達が流していた涙は、アレは多分"森"の影響じゃないかと思う











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