大切な仲間

大切な絆


仲間が、増えてくれました











Jewel.12













彼女の存在は瞬く間に世間にその名を広めていった。ミリ、またの名を盲目の聖蝶姫―――それはコーディネーターのライバルでありジムリーダーでもあるメリッサの命名から生まれた異名。その麗しく美しく、清らかでまるで蝶の様に可憐で儚い姿を表して名付けられたその異名。しっくりくるその異名はいつしか彼女の名と定着していった。今となれば彼女の名前より先に聖蝶姫という名が口から出てしまうくらいに

他のポケモンとは違う色違い。色違いなのか、それとも伝説や幻なのか、彼女の隣にいるのかは分からない。気高く強く優雅で麗しい彼等にも、世間は目敏く注目した。勿論、見た事が無いポケモンがあの伝説で幻なポケモンだと分かれば尚更。彼等もまた異名を付けられた。聖蝶姫を守る強大な壁と評されて、【三強】と

メディアは彼女の後を追った。勿論熱烈なファンも彼女を追った。彼女の姿が見たいと彼女の行動を先読みして待ち伏せたり、会場で終始試合を応援したりと、若干ストーカー疑惑浮上フラグだが、それほどにまでミリは有名になっていった。無自覚か、ミリは嫌な顔をせずファンの声援に応えたり握手にも応え、メディアの取材にも応えていった事でその人気をより一層急増させていった


―――――まぁ本人とすればそれほど深く考えるつもりはなく、あくまでも普通に旅をしているつもりだった。あくまで、旅をしながら観光を楽しみつつ、目標の為にジム制覇だったりコンテスト制覇だったりと、少しずつ歩んでいたつもりだった。人気は後から着いてくる。正直な話ぶっちゃけると回りには興味ない彼女は他人からの評価なんてどうでもよかったりする。けれども自分の手持ち達がそうやって評価してくれるのは嬉しいけど















「今日も皆お疲れさま〜」







ヨスガシティのポケモンセンター

全員を回復させた後、案内された宿泊施設の一室にてミリは手持ち全員の前で嬉しそうに笑う

机の上に置いてあるリボンケースの中に光り輝くリボン。それは先程行われたコンテスト大会で無事勝利を勝ち取った「ビューティリボンウルトラ」。他にもクールリボン、ビューティリボン、キュートリボン、ジーニアスリボン、パワフルリボンなど各部門様々に勝ち得たリボンがキラリと輝いていた






「今日のコンテストも凄かったよ。ありがとう、お陰様でリボンもゲット出来たよ。大会に出る度にどんどん美しさが極まっておねーさんは嬉しいよ〜




――――蒼華、水姫」

「…」
「ミロー」








水色のスイクン、蒼華。ミリの隣に座る蒼華はただ静かにミリを見つめる。ミリは嬉しそうに蒼華のしなやかな空色の肢体を撫でる

長い身体を伸ばして照れ臭そうにも嬉しそうにミリに顔を近付ける、水姫と呼ばれたポケモン。ミリはそのポケモンにも惜しみ無く笑みを浮かべながら嬉しそうにその頬を撫でた

水姫、それは金色のミロカロス







「今日はゆっくり休んでもらったら、次はミオシティに向かうよ。ミオシティで小さなコンテストが開催するって聞いたし、そこにはジムがあるからジム戦を申し込まないとね〜」

《主、私が出よう》
《マスター、バトルならこの私が》

「勿論、お願いするよ。次のジム戦もよろしくね







―――――…闇夜、朱翔」








ミリの足下の影からのっそりと現れる光沢光る黒銀色のダークライ、闇夜。名乗りを上げるも、すぐに影の中に潜ってしまう。あらあら、とミリは苦笑を漏らす

そしてバトルだと聞いて我先にとミリの前で膝を付き頭を垂れる朱翔と呼ばれたポケモン。ミリに向けるその赤い眼はギラギラと闘志に燃えていた。頼もしそうに笑うミリは、頭を垂れたその頭に手を伸ばして一撫でする

朱翔、それは朱色のルカリオ







《主、そろそろおやつの時間だ》

「ふりぃ〜」

「フフッ、はいはい、解っているよ。今日は奮発しなきゃね〜」

《僕も手伝いますよ!》

「ありがとう、それじゃ早速おやつの準備しよっか







―――――…時杜、刹那、風彩」








ミリの眼の変わりとなって肩に座っていた紅色のセレビィ、時杜。フワリと宙に浮く時杜は立ち上がるミリのが転ばない様に最善の注意を払う

くぅぅぅ、と見た目によらず小さな腹の虫を鳴らす緑色のミュウツー、刹那。今日のおやつは何だろうとそわそわする刹那にミリはおかしそうに笑いながらその頬を撫でる

そして今までふらふらと宙を飛び、ポフンとミリの頭の上に乗った、風彩と呼ばれたポケモン。お腹減ったとばかりに羽を震わせ、触覚をゆらゆらと揺らすソレにミリはそれこそ笑って準備に取り掛かる

風彩、それは橙色のアゲハント







―――――…朱翔、水姫、風彩


彼等は旅先で出会った、今となれば大切な仲間
彼等もまた、ミリの下でその実力を奮い様々な分野で活躍する実力者でもあった









「次も頑張ろうね、皆」

「…」
《はい!》
《あぁ》
《勿論だ》
《御任せ下さい》
「ミロー」
「ふりぃ〜」













ミリは嬉しそうに笑った










(大切な、かけがえのない仲間)

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