逃げろ


逃げろ









走るんだ


走るんだ




遠い場所へ


遠い彼方へ







逃げろ、逃げろ



走れ、走れ










  知らせるんだ





教えるんだ










皆に






あの人達に







早く知らせなくちゃ





    早く




  早く    



は や く












「君達にお願いがあるんだ」













はやく   





   はやく



もっと、はやく













「このボールをポケモンセンターに持ってって欲しいの。なるべく遠く、もっと遠くへ。…ほら、こうすれば落とす事はないから大丈夫。ちょっと大変なお使いになると思うけど、ちゃーんと出来たらとびっきり美味しいおやつ作ってあげるから」












走れ 走れ



もっと早く

もっと遠くへ









「振り返ってはいけないよ。どんな事があっても、絶対振り返っちゃ駄目だから。そして、皆に伝えて欲しい。今日の事を、敵の事を…――――彼等にバレない為にも、今から君達を遠くに飛ばす」









捕まっちゃ駄目


捕まっちゃいけない






逃げろ      




    逃げろ





もっと遠くに









「またね――――…白亜、黒恋」











最後に見た笑顔

最後に見た大好きな主





主の為にも


伝えるんだ、皆に







壊れたボール

ボロボロな身体

数多の攻撃



それでも二匹は走った












逃げろ 逃げろ


走れ 走れ



皆を助けないと

皆に知らせないと







あるじ様が       



     あるじ様が




  あ る じ 様が      

















あぁ、でも





一体誰を信用して、


一体誰に伝えればいいんだろう
















  わからない




わか らな い






わから ない      








わ か ら な い
















白と黒のイーブイはひたすら走る

首にはひび割れた三つのボールが入った包みを巻き付けて






ただひたすらに、走るしかなかった












リーン―――…







鈴の音がまた一つ鳴った







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