「―――…アスランさん、今日は何処かお出かけですか?今日は一段と上機嫌でいらっしゃいますから」

「おぉ、チトセ君!そうなのだよ、今日は知り合いが開くパーティに参加しに行くのだよ。いやぁ、楽しみな事を前にすると予定時間よりも早く準備をしてしまうのが年寄りの悪い癖さ。今はジン君の迎えを待っているんだよ」

「パーティ、ですか」

「此処より少し遠い場所で行われるんだよ。私にはそこまでいく足も無ければポケモンも持っていないからね。つくづくジン君にはいつも世話を掛けてしまっているよ」

「そうで御座いましたか。ではオーナーが到着する間にに自慢のブレンドティーをどうぞ。――――……楽しいパーティに、なると良いですね」








チトセは、笑った



―――――――――
――――――
―――












晴れ晴れとした真っ青な晴天も

ゆっくりと色を変え、薄暗く変化していった







―――――此処は、サバイバルエリアの喫茶店












「――――…すごいね、まさかこんなに凄くなっているなんて」

「サボったヒョウタは後片付け頑張ってもらうからそのつもりでいてね〜」

「ええええそんな…」

「おおっ!これはまた豪勢だな!」

「豪華なパーティデスネ!」

「二人とも…まさかその恰好のまま飛んできたんですか…?」

「愚問デスよ!パーティといえばドレス!これがワタクシの通常運転デスよ!」

「マキシマァアアアムッッ!今からアイツとの組み手が楽しみだーーーッ!」

「おや?料理はまだなのか?」

「スモモのつまみ食い防止の為に冷蔵庫の中に閉まってありますよ」

「(Σ私!?)」

「つーか腹減ったー」

「たりぃ」

「ジュース飲んじゃ駄目?」

「スズナさーんこれ溶けかかっているんだけど」

「Σちょっとオーバさん!ミリさんの氷像溶かさないで下さいよ!」

「俺のせいかよっ!」






サバイバルエリアにある、誰も知らない隠れた喫茶店。別名、勝負所と言われる気兼ねなくバトルを楽しみながらゆっくり出来るトレーナーにとってうってつけの穴場に、また数人の人間が扉を開いた

仕事や副職の都合で準備に参加出来なく遅れて登場した彼等は、あまりの変わり様に驚きと感嘆の言葉を各自漏らしていく


花をモチーフとした、如何にも彼女を連想させる装飾品。ホワイトボートに描かれる「おかえりなさい、ミリさん!」という文字


ジムリーダー達の隠れた名店でもある勝負所の中は、昼間よりもまた一段と華やかな内装に変貌していた







「――――…おや、トウガンさんにマキシさんにメリッサさんにヒョウタ君。残りの方々も到着しましたか」

「すまないゴヨウ、本来なら私達年輩者が指揮を取らなければならない所、君に押し付ける事になってしまって。若い連中を纏めるの大変だっただろう?」

「フフッ」

「否定ぐらいして下さいよゴヨウさん」

「他に来る方々は元ホウエン幹部長を務めていらしたアスランさんという方々と、副幹部長が来ます。コウダイ幹部長も途中から参加すると連絡を頂きました」

「ナチュラルにスルーしやがったぞ…」

「こちらの準備はこの通りです。後はシロナさんとダイゴさん、そしてミリさんを待つだけです」






約束の時間は、夜の六時

壁に設置してある時計の針は、もうじき六時を指そうとしていた


ミリを歓迎会する為に二週間も掛けて練りに練ったパーティ。皆の予定と都合を合わせてやっとこさ開く事が叶った歓迎会パーティ。楽しみなあまり準備が予定より早まり結果暇を持て余す事になってしまうも、時刻は着々と過ぎていき、予定の時間を目前とした

今回参加する予定になっている人数は、ジムリーダーの八人と四天王三人、そしてチャンピオンの二人に顔馴染みである二名の計15人。そして、参加を希望したアスランとジンとコウダイの合計18人の人数で行われる事になっている。まだ此処に着ていないアスランとジンとコウダイは少し遅れる話になっている為、現時点で居なくてもさほど支障はない。きっと三人の事だ、パーティに出席する為のお土産やら服装などに時間をかけているんだろう


目で人数と出席名を照らし合わしていたゴヨウは、おや?と首を傾げた







「そういえばゲンさんの姿が見掛けませんが、彼はそちらと一緒に来る話では?」

「あ、確かにゲンさんの姿が見ませんね」

「実はゲンさんと途中で別れたんです。てっきりもう此処に着いているかと思っていたんですが…」






ミオシティで再会し、各地でそれぞれのジムリーダーと再会してからサバイバルエリアまで飛び立ったゲン達

途中まで、そう。ファイトエリアに辿り着きそうな時だった。突然ゲンは引き返したのだ。進む方向とは違う方向へ






「……すまない、先に行ってくれ。少々、いや…嫌な予感が止まらないんだ」











「ゲンさんは着てないぜ。もしかしたら別荘の方に一旦帰ったんじゃねーか?」

「……だったら、ゲンが顔を色を変えて別荘に戻る理由が分からない」

「嫌な予感がする、とも言っていましたネ」

「ゲンは勘が鋭いし、彼の予感は的中する。……そう考えると、」

「お、おいおいやめてくれよ!せっかくのパーティにこんな物騒な話とかやめよーぜ!」

「そ、そうですよ!それはあくまでゲンさんの予感ですよ!それにゲンさんが別荘に戻ったと限らないんですし!」

「しかし…」

「―――!あ、来ましたよゲンさん!」

「「「!」」」







丁度窓の外を見上げたスモモが、こちらに向かって来る飛行ポケモンを見つける

空は薄暗くも、アレが何のポケモンで、誰のポケモンかはすぐに分かった。全員、スモモの言葉に安堵するも―――スモモの隣りに並んで見上げたリョウが首を傾げた






「…?あれ?ゲンさんが乗ってませんよ」

「ボーマンダだけだな」

「しかもちょっと少し様子が変だぜ」

「…方向はリゾートエリアからか……とにかくボーマンダを出迎えましょう」






全員は一旦喫茶店から出てボーマンダを出迎えた
















混沌が、始まる







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