嫌な予感がする

この日常が、崩される予感が






「ゲンさん、さっきから険しい顔していますがどうかしたんですか?」

「そうデスよ!せっかくのパーティなんデスから、もっと楽しまなければいけまセンよ!」

「そうだぞぉゲン!俺はまたアイツと組み手が出来ると思うと嬉しくてたまらんぞ!」

「ゲン、何か気掛かりな事があるのか?」




「……すまない、先に行ってくれ。少々、いや…嫌な予感が止まらないんだ」











頼む、気のせいであってくれ


―――――――――
――――――
―――












突如轟いた爆音は大地を震わせ、空まで響いた。大きな爆発音に驚いた鳥ポケモンが一斉に飛び立ち、平穏に暮らしていた野生のポケモン達は慌ててその場から逃げていく。爆発した方向に視線を見上げれば―――真っ黒い煙が、もくもくと天に向かって真っ直ぐたちこめていた






「「ミリッ!!!」」






血相を変えて叫ぶシロナとダイゴ

それもそのはず、あの別荘の中にはミリが居たのだ。しかも深く眠りについていた。簡単には目が覚めないくらい眠っていたから身動きは簡単に出来ない。それに白亜と黒恋がミリの元に辿り着けたとしても、爆発から逃れるには時間が間に合わない―――


サッと、血の気が引いた







「ククッ…あの二匹が無事に辿り着いて逃げ出せても、我々の仲間がいる。彼女に逃げ場はありませんよ」

「ミリ…!」

「っ…ミリ…そんな、嘘よ!は、早く…早く助けに行かないと!」






もはや二人に動揺を隠せる心の余裕なんて無かった

もくもくとたちこめる黒い煙が二人の動揺を引き立て、冷静さをどんどん失わせる。二人にはあの煙しか見えなかった。嫌な予感が止まらない。止まれない。嘘であって欲しい。信じたくない気持ちがシロナの身体に表れ、カタカタと震え出し、ジワリと涙さえも浮かべた

こんな事になるなんて

誰か嘘だと言ってくれ






「ミリ!今…今助けに行くわ!ダイゴ!」

「っ、あぁ!」

「おっと、此処から先へは行かせませんよ」

「「っ!!」」

「私の事を忘れられては困りますよ、お二方。認めたくありませんが、私がどんなに戦術を駆使しても貴方達二人に勝つ事は出来ません。ですが足止め位は出来ます。なので、









―――…全てが終わるまで、此処でこのポケモン達と仲良くしてもらいましょう」

「ふざけるな!」

「っ邪魔よ!そこを退きなさい!」

「退けと言われて退く馬鹿はいませんよ。…さて、私もそろそろ退きましょうか。このポケモン達もじきに動けなくなるでしょうが、十分です」






帽子を被り直したランスは、唾の下で冷たくも歪んだ表情で笑う

キラリと光るのは帽子に付けられた赤いブローチ。彼岸花のブローチが、不気味に輝いた








「それではチャンピオン、御機嫌よう。さあお前達、後の事は任せましたよ」

「「「「グオオオォォオ゛オオッッ!!!」」」」






その言葉を最後に、ランスは手持ちのゴルバットの足を掴み、空の彼方へ消えていく

途端に雄叫びを上げだす回りのポケモン

瀕死だった身体を無理矢理駆使されたその身体は既にボロボロで、いつ倒れてもおかしくないのにまだ歯向かってくる。一体このポケモン達の身体はどうなってしまったというんだ


















纏う空気が変わった

それは強者が纏う、威圧

先程の動揺とは打って変わって真剣な表情、鋭い眼で眼前に立ち塞がる敵を見据えていた。今此処にいるのはただのシロナとダイゴではない。チャンピオンとして上に立つ―――強者の姿






「―――…シロナさん、本気で戦おう。今はそれしかない」

「…えぇ、そうね。…――――さっさと終わらせましょう、ダイゴ」

「あぁ」







雄叫びが上がる

地面が震える、空気が震える


二人は全てのボールを天へ投げ付けた










ミリ、少し待っててくれ

これが終わったら―――すぐに助けに行くから












爆発音がまた、響いた







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