「お前達がどういう経緯で彼等の事を調べ始めたかは敢えて聞きませんが―――彼等はお前達が手を組み、調べを進め始めたその日から、お前達の存在を知っていたそうですよ。だからこそ彼等は怪電波を敢えて発動させ、お前達に存在を認知させたのです。お前達に気付かれてもあちらには何の支障も無い…むしろ随分と楽しまれていたみたいですよ?お前達がどこまで自分達の存在に気付くかと、ね…」 「「「――――!!!」」」 衝撃が三人を襲った まさか、自分達の存在に気付いていただなんて 一体、どうやって、否、まさか今までの行動が全て筒抜けで―――しかも自分達は奴等の手の内で転がされていただなんて 愕然と驚愕する三人の様子を、アポロは目を細めて面白そうに笑った 「お前達の事を随分と評価をしていましたよ。長年ひっそり活動してきた我々の存在に唯一気付けたのだから、と。…特にナズナ様、貴方には大層気に入られていましたよ。貴方が居なければきっと気付けなかっただろう、とね」 「……っ」 「勿論、お前達も評価されていましたよ。鉄壁の剛腕、お前は解決された過去の事件を掘り起こし、白銀の麗皇は怪電波による影響に気付けた。だからこそこんなくだらない調子を誰にも気付かれずに行っていた。主に電波や電気が通る場所を重点にして。違いますか?」 「「っ……!」」 聖蝶姫の件から順を辿って辿り着いた犯罪組織『彼岸花』。ゴウキが聖蝶姫に起こった一連の事件から発覚したからこそ、事件性をみて誰にも頼らず自分達で調べあげようとした―――まさか、まさかその日の内から自分達は見透かされていたというのか 「やれやれあの方も大層悪い人だ。そして残酷な方だ。しかも場を盛り上がらせる為に最後の一手を降した。どんな一手だったかは興味が無かったので聞きませんでしたがね」 「ッ……それは、セキの事を言っているのか!」 「名前すらも興味ありませんよ、犠牲になった人間なんてね。…まぁ、お前らしくない今の様子を見る限り、あの一手は効果あったみたいですね」 「貴様…!!」 またもや聞かされた衝撃は、常に冷静であろうと必死になっていたゴウキの我慢を刺激した セキ―――彼こそは六年前聖蝶姫に降り懸かった猥褻暴行及び殺人未遂事件に関わっていた最後の刑事。そして、まさにゴウキ達が『彼岸花』の存在に気付いた最中に起きた不慮の事故で命を落としてしまった、ゴウキの門下生だった男… ――――彼は『彼岸花』の存在を確定する為だけに、殺されてしまった 「……過去の事件、と言ったな。…俺の両親を殺したのは、やはりテメェら『彼岸花』か?」 「さて、どうでしょうね。一々過去の話など聞きませんから。ですがお前の中では核心しているのでしょう?だったら私があれこれ言う必要はありませんよ」 「…………テメェら絶対に許さねぇ…ぶちのめしてやる!」 調査を進めていく内にフツフツと宿していく―――ミリを守りたい一心とは違った別の感情 それは、復讐心だった 大切な家族を失った喪失感と絶望。長年の月日に渡って発覚した、両親を陥れた存在…まさにレンの中にぐるぐると復讐心が募っていっていた。しかもこうして目の前に『彼岸花』の一味(ロケット団だが)が現れ、次々と告げられる衝撃的な事実…――― 今すぐ殺してやりたい ピジョンブラッドの瞳は憤怒と憎しみで黒く歪んでしまっていた 「――――…ぶちのめしてやる、ですか。お伝えしときますよ、ですが…無理でしょうね」 「何だと…?」 「彼等の存在は愚か、アジトへさえもお前達は見つけ出す事が出来ない。…どんなに電波を探っても、どれだけの力を駆使しても、ね。所詮は無駄な足掻きなんですよ。お前達には何も、見えやしない」 「……だったらテメェの口から吐いて貰おうじゃねーか!ハッサム!アイツを捕らえろ!」 「キノガッサ!マッハパンチ!」 「…アリアドス、くものいと!」 三人の言葉と同時にハッサムとキノガッサがそれぞれの腕を光らせ駆け出し、アリアドスは口から勢い良く糸を吐き出した。二匹の腕は真っ直ぐにアポロを、アリアドスの糸は彼の足下を狙い逃げ場を失わせた しかし、眼前に敵が迫ってきても彼の余裕の笑みは一瞬も変わらない ハッサムとキノガッサの腕が、アポロの頭上から振り降ろされた。避けなければ確実に脳天直撃の威力がある二匹の技。今にも二匹の腕がアポロの頭蓋に直撃しようとした ―――その時、二匹の身体が大きな衝撃と共に吹き飛ばされた 「!?ハッサム!」 「キノガッサ!」 「―――――…どうやら話に夢中になって回りの状態に気付けなかった様ですね」 「!!」 「なっ…!?」 「っこれは…!」 「お前達にはもう、逃げ場はありませんよ。―――…残念ですが、警告とは別に与えられた私の使命を全うさせてもらいます 此処で、死んでもらいましょうか」 気付けば数多のポケモンに囲まれていた → |