「なんかすみません…こんなにたくさん頂いてしまって。ありがとう御座います。大事にします」 「喜んでくれたようで私は嬉しいですよ」 「…えらい張り切ったな。一体その中身は何が入っているんだ?」 「私の喫茶店から持ってきた紅茶の茶葉から始まって、自慢のお菓子だったりと、まぁ色々です。その中でも貴女に見合った可愛らしいプレゼントも用意させて頂きましたよ。気に入ってくれたら嬉しいんですが」 「なら早速中身を…」 ガサッ ―――パタン 「…(。_。)」 「(^_^)ニコニコ」 「…(゜_゜)」 「(^_^)ニコニコ」 「…(゜_゜)」 「(^_^)ニコニコ」 中身は、一体…!? ―――――――――― ――――――― ―――― ― 彼女の笑みは全ての罪を洗い流してくれる女神が浮かべる微笑と同等な力を持っていて、気を抜けばその優しくも全てを許してくれる微笑にすがりついたくなる 「ブイブイ!」 「ブーイブイ!」 「早速ジンさんから頂いた紅茶を淹れてきたわよ〜。良かったわねぇミリ、ジンさん所の喫茶店はかなり有名だからこんな茶葉なんて手に入らないのよ?」 「そうなんですか?ならこの茶葉は貴重ですね!皆が帰ってきたら提供してあげないといけませんね」 「その時は美味しいケーキも用意しないとね」 しかし忘れてはならないのは、彼女が知っている以上に、否、この場にいる彼等が知らないくらいに、自分達は償うべき罪を背負っている これは、自分達の口からは言えない真実 闇に葬られた真実を知り、蠢く謎を知っていながらも、自分達は何も出来なかった。否、何もしなかった。彼女の為、など正当化にするだけだ。自分達は蠢く謎に知っていても、彼女が深く傷ついていても、自分達は何もしなかった それが、自分達の罪 傍観し、目を背けたこそ、してはならない最大の業 「余談ですがストレートティーにラムネいれるとレモンティーに変わるらしいですよ。他にもストレートティーにまんじゅうを入れると美味しいお汁粉に大変身するんですって。斬新ですね!」 「ミリ、まさか実際に試したわけじゃないよね?」 「えー?」 彼女は今、笑っている 綺麗な笑みで、太陽の笑みで 六年前、最後に顔を合わせた時の彼女は、静かに輝く月の笑みを浮かべていた 月の笑みでもあり、仮面の笑み 彼女をそうさせてしまったのは、何を隠そう、あの忌々しい悲しい事件がきっかけで 気付いたら、彼女は仮面をつけ、眩しい笑顔を隠し、心まで隠してしまっていた 「「ブイブイ!」」 「あ…!すみませんクッキーがいつの間に、」 「余程美味しかったのよ。よかったわね〜黒恋、白亜」 「「ブイ!」」 「ハハッ、口の回りが大変な事になっているね。拭いてあげるよ」 「「ブーイ」」 あの事件を知り、謎の存在を知っているのは、自分達しかいない 此処にいるシロナもダイゴも、あの事件の存在も何も知らずにいる 勿論、彼女も何も知らない 知らなくていい、知らなくていいんだ 記憶を無くしてしまったのなら、また初めからやり直せば良い。あの忌々しく悲しい事件の存在なんて、本当に無かった事にすればいい この笑顔を、存在を、 もう、悲しませてはいけない 「ご馳走さまでした。美味しかったです!」 「「ブイブイ!」」 もし、事の真相が明らかにされた時 嗚呼、彼女は、泣いてしまうのだろうか 今回も、自分達は傍観する 一人の人間に全てを託した今、その人間に全てを任せるしかない 嗚呼、結局私達は愚かで無力だ → |