Jewel.01



























ねぇ、教えて



此所は一体何処なの?

















暗い暗い、暗闇の世界


(この暗闇の中は嫌でも私は覚えている。暗闇はいつも私を付き纏い、逃げても逃げても私を逃がしてはくれない。受け入れた暗闇は、心の中でじわりじわりと広がっていく。ゆっくりと、確実に。それがやがて、唯一の光さえも奪ってしまう)










視界が利かない、私の世界


(前なら、しっかりと視えていた筈の世界が写らない。優しい色も、眩しい光も、皆の笑顔も、何もかも。理由なんて理解しているも、やっぱり暗闇に染まった自分が嫌に滑稽で、ずっと光りを求めている。あの光りがとても恋しい、美しい景色が、皆の笑顔が見たいのに、視界はどうしても言う事を聞いてくれやしない。あぁ、愚かめしい。暗闇は光を、視界をも奪っていくなんて)









手探りしても、何をしても

届かない、届けない



(暗闇に手を伸ばしても果てしない闇に何かが掴める訳が無いのに、何故私は何かに縋ろうとしているんだろう。まるで闇の先にある光が私を迎えてくれる様な錯覚さえ覚えてしまう

…くだらない。そんな光なんて私は知らない。知りたいのに、知りたくない。なら私はこの気持ちを押さえ込む。私には光なんて、無いのだから)









帰らないと


(何処に?私に帰る場所なんてあったっけ?いや、無いはずだ。私に、帰る場所なんて、見つけられないし、存在しないのだから)









戻らないと


(どうして?なんで戻らなくちゃいけないの?戻る理由なんて、あったかしら?無いはずだよ、戻る以前に、戻る場所すら、私には無いんだから)











思い出せない

思い出せれない










どうして、何故、

今までの事が思い出せないの?








今までの私は、何をしていた?

今までの私達は、何処にいた?



(思い出そうとしても、頭の中が霧状で包まれている様な感覚に襲われる。しまいには激痛までやってくるのだから嫌になる。でも、おかしい、おかしいのだ。自分の事なのにどうして思い出してくれないかなんて、しかも最近あった出来事が、思い出してはくれない)









分からない

分からない



(大切な記憶なのは、理解している。大切な何かが失った様な、焦燥感にくれてしまう。ポッカリと心に穴が空いたのが分かる。でも何故、それが失っているのかが理解できない。何故、どうして、)










分からない ―――――

























「思い出せないのなら、旅をしよう。分らなかったら、原点に戻ろう。私達は何故、どうして、"此所"にいるのかを―――捜す旅に、赴きましょうか」












橙色の蝶の隣に並ぶ、三匹のポケモン


水色のスイクン

紅色のセレビィ

緑色のミュウツー




(彼らの事は覚えている。大切な、大切な、大切な仲間。でも彼らも私と同じで分らなかった。自分達がどうして此所にいて、何故忘れてしまっているのかも)









橙色の蝶は微笑む





(視えない瞳は光が無くとも

変わりに彼等が、世界を視るから

何も恐いモノは、無いよ)










「行こっか、皆」












橙色の蝶は、世界を舞う

探し物を見つける為に



自分が帰る場所を、見つける為に













その先が、どんなに茨の道だとしても












Jewelly flower -4-

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(さようなら、昔の私よ)


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