「――――…あー、なるほどなぁ。やっぱお前ら無免許運転じゃねーの。お前らなぁ?免許持ってからブイブイ走らすのは分かるけど無免許は駄目だろー」

「「「「「はい…」」」」」

「まーあ?俺も若かった時は無免許でブイブイ走らせていたからお前らの気持ちは痛いほど分かるぞ?楽しいもんな、こんだけキラキラゴテゴテブルンブルンな馬持っていりゃあもんならカッ飛ばしたくなるの分かるわ〜。これマジ凄いなキラッキラのゴテッゴテじゃんね」

「そーなんすよ!俺のサラマンダーはマジパネェっすよ!やっぱアンタは分かってくれますか〜!」

「あー!ずるいぞ俺のキャサリンだってマジすげーんだぞキラキラのゴッテゴテでブルジョワなんだぞ〜!」

「ブルジョワってなんだよブルジョワって(笑)まー俺のジョセフィーヌもそんじょそこらの馬とは全然違うんだけどなー!」

「先輩らのバイクはマジパネェっすよ!」

「尊敬もんっすよ!」

「おーそうかそうか。だがなー、人生そんなに甘くねーからなぁ〜。つーわけでお前らそのまま署までいってらっさーい」

「「「「「「卑怯者ぉおおおおお」」」」」」





ズルズルズルズル…








「おー、今日も一仕事したってもんだぜ〜」







ナギサロードで無事に暴走族を取っ捕まえ、ナギサ署の仲間に暴走族の奴等を任せたセキは大満足だとばかりに未だ叫ぶ暴走族達の後ろ姿を見送った


今日も俺ちょー頑張った

いやー今日もちょー楽しかった


昔は仲間の補導やらに心を痛めた事は何度かあったが、それはもう昔の話。今となれば「暴走族キラー」と言われるほどルンルンと暴走族を狩りまくっている。自称だけど

そんなこんなで昨日も今日もお勤めを果たしたセキ。あー今日帰ったらビールでも飲むかー、と言いながら固くなった肩を腕を回してほぐす。ゴキゴキ言っていた







「さってと。ちゃちゃっと帰って一人寂しく晩酌すっかー」








独り身って辛いぜ、そんな事をぼやきながらセキは先程大活躍した白バイに跨がった

アクセルを回して発動させれば白バイはブルル…と起動を開始した。セキはヘルメットを装着し、ストッパーを解除した







黒い影がいた

黒い影は、笑っていた








足を放せばバイクは動き出した

セキは上機嫌に鼻歌を歌いながら帰路に戻った



この後起きる事も、この後自分に何が起きるかなんて何も知らずに、次に来る明日を当たり前の様に思っていながら








黒い影は、三日月に笑った


























それが、午後21時の出来事だった




















赤いランプが光っていた

数台の車が止まっていた

沢山の人間がいた




黒い影は、野次馬の中にいた




黄色いテープが一般人の行く手を塞いだ

救急車が赤いランプを照らした

救護員が忙しなく走っていた




黒い影は闇に溶け込んでいた





白バイが粉々に砕かれていた

モンスターボールが、割れていた

赤い血が―――たまっていた













黒い影は、三日月に嘲笑い


野次馬の中から、溶け込んで消えていった

















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