暗闇の夜、静寂の空

空に浮かぶ、三日月の月光







「―――…さぁ、お仕事の時間だ」







三日月に笑う、口元

黒い影は、闇を走った





―――――――――
――――――
―――









時間は数時間前までに溯る...










ブルンブルンブルンブルン…






「――――こーらぁああああああそこのカラフル暴走族ぅうううううッッ!君達はぁあああああ既にぃいいいこのぉおおおおお俺にぃいいいロックオンされているぅううううーーーーッッ!!観念してお縄につきなさぁあああああッッッいよぉおおおおお!」

「来やがったな白バイ野郎が!白バイのくせに白バイじゃない白バイもどきのサツがやってきたぜぇえええッッ!」

「野郎共逃げろーーーーッッ!奴は白バイの皮を被った悪魔だ!白バイのくせに暴走族だった白バイ野郎だ!白バイなのに構わず突っ込んで来るぞーーーーッッ!」

「ハーーッハッハッハッハーッッ!!かつては暴走族だった俺も今では世間に認められる白バイだぜーーッ!バイク免許持っているプロフェッショナルなんだぜーー!テメェらどうせ無免許運転だろー!?怒らないから止まってくれたらそのまま署まで連れてってやるぜぇえええ!!」

「裏切り者ーーーー!お前には俺達に対する慈悲はないのかーーー!!?」

「慈悲なんか師範長に既に叩き潰されて微塵も残っちゃいねーぜぇえええ!覚悟しやがれハーーッハッハッハッハーッッ!」

「「「ギャアアアアアアッ!!」」」







ブルンブルンブルンブルン……









トバリシティとナギサシティとの間にある番道路で、暴走族集団を追う白バイの姿があった

耳を塞ぎたくなるマフラー音、眩しいくらいのライト音、バイクから吐き出される排気ガス、百キロ越のスピード。野生のポケモンの住家でもある野道でさえも、躊躇無くバイクは走り抜く。傍迷惑極まりない暴走族の後を追う白バイも、暴走族顔負けのスピードでしぶとく追いかけていく


白バイを操るのは、セキだった







「ハーーッハッハッハッハーッッ!白バイはいいぜー!?何をされてもこんなスピード出してもお前らを追いかける理由になっちまえばお咎め無しなんだからなーー!つまりお前らがいて俺の存在があるんだぜーー!!いつもありがとなぁああッ!」

「ずりぃ!なんかそれずりぃぞ!」

「卑怯だぞ白バイ!!」

「つーか今御礼言われた!?」

「お前らもバイクぶっ放したかったら警察になっちまえばいいのによぉ!シホウイン道場はいいぜー!俺みたいな奴でもあっちは容赦無く鍛えてくれるんだからなー!」

「俺達もしかして勧誘されてる!?」

「クソッ!誰がサツなんかに!!」

「ハッハッハッハッハーッ!どうやら相当しぶとい暴走族ったぁ腕が鳴るじゃねーの!いい子ちゃんにお縄につかないと……氷の女王様のご登場が拝めれるかもしれないぞーーー?」

「Σギャアアアアアその名を呼ぶなぁあああああッ!!」

「止めろぉおおおおお!!もうあの恐怖はごめんだぁああああッ!!」

「俺は聖蝶姫とはなー、お友達なんだよー、だからさー、お友達の耳の為にもー、お前らの命の為にもさー、大人しく捕まった方が身の為だと思わないかー?」

「友達!?女王と友達!?」

「マジで!?嘘だろ!?」

「あの女王と友達!?神だろ!」

「命の為!?俺達の命危ういの!?」

「言っていたなぁ〜、あまりに五月蠅かったからイラッとしてプチッとしてドッカーンしちゃったって〜。あの子もお茶目さんだからなー、うんうん」

「嘘だぁあああああッ!可愛らしく言っても内容はえげつなかったぞ!?」

「とりあえずお前ら、死にたくなければ止まりやがれ☆」

「「ヒィィィィィッッ」」

「ヤバいぞお前ら!こいつはやりかねない!ニコニコした顔で凄まじくしぶとく追いかけて来る奴はやりかねない!逃げるぞ!」

「逃がさねぇよぉおおおおお!」

「「「「ギャアアアアアッ!!!!」」」」








ブルンブルンブルンブルンブルンブルン…
















暴走族が通った後には排気ガスが充満した





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