「…で、最悪なのがこれだ」





ピピッ、とまた新たに画面が現れる

また現れた画面は、先程のシンオウ地方を映している事は変わらないのだが、赤色の点滅をした箇所を中心に、広範囲に色がグラデーションの様になっている。しかも波打っている

これは一体、二人は訝しげに画面を注視する中、ナズナは眉間に皺を寄せながら言葉を繋げる







「この映像は今現在のシンオウを映している。…見ろ、赤色の箇所から色が広範囲に変わっていくのを」

「だな。緑、黄緑、水色、青……何なんだこれは」

「現在、怪電波が発生している事を示している」

「「!!?」」

「色で分かる通り、今発生されている怪電波は微量だ。これ位の量なら人間にとって大した害にもならないが、ポケモンにとって微量であれど多少の影響が出ている筈だ」







赤色の点滅だった場所を中心とし、寒色が掛かったグラデーション

図の隣りには数ヶ所の電波指数を表した分析が絶え間なく計算されている。どの場所も危険とはかけ離れている発生量だ







「人工衛星を利用し、過去の映像を溯って調べ直してみたが、この様な状況になったのは今から約三年前だ。しかも電波は発生している時と発生していない時とまばらにある。まだ調べきれていない為、どの様な基準で発生を止めているかはまだ把握しきれていないが………」






しかし予想外だ、とナズナは苦虫を潰した様に苦々しく呟く

何せ自分が潰した集団がまた復活していて、しかも自分が気付かない内に潜伏していたのだから

前まではハッキングばかりしていたから、些細な事でさえも気付き、隠蔽されている機密事項さえも目を配らせていた。シンオウはナズナの縄張りだと言ってもいいくらいに、ナズナに知らないものは無かったから



煮え切らない思いを抱きながら、またナズナは小さく溜め息を零した










「……つまり、仮に『彼岸花』が復活したとしても、簡単に居場所は特定されないって訳か」

「奴等の事だ、もう同じ目に遭わない様に対策でも立てるに違いない。ま、そこはハッキングで全てさらけ出してやるつもりでいる」

「フッ、頼もしい限りだな」

「だが、『彼岸花』の主犯の男はまだ刑務所の中にいるはず。刑務所の中から犯行を企てるとは考えられない」







そう、忘れてはならないのは『彼岸花』の主犯シラクモその他団員は全員刑務所の中にいる

実刑共に執行猶予を考えても、まだまだ刑務所の中だ。警備も整っている檻の中からまた大それた犯行を企てるなんて、少し考えられない









「……今一度、シラクモの事について調べ直した方がいいな。奴等が復活したと分かれば、いくら刑務所の中にいようが関係ない」

「なら俺は刑務所の方へ問い合わせ、奴がまだ刑務所の中に入っているのかを聞いてこよう。他にも仲間から当時の話を聞かせてもらってくる」

「俺は事件簿をもう一度見させてもらうぜ。きっと何か俺達が見落としている点があるかもしれねぇからな」

「俺は分析を進める。……徹夜三昧になる事を覚悟したほうがいい」





































「彼岸花……【私達】にとって、あの紅い花は忌ましめの花。彼岸花こそ、【私達】の罪を深く深く赤に染め上げていく、とても恐ろしい花…」




だって彼岸花は、不吉だから





「【私達】にとって彼岸花は万人の罪の意識を主張するものであり、宿命を思い出させるもの…そして、彼岸花は【私達】にとって死の恐怖を与えるもの。―――だから、私はこの世の花で一番彼岸花が嫌い。なにせ彼岸花は、仮初の夢さえも見せてくれないのだから……」









赤い赤い、不吉な花

赤い花は、猛毒だ―――




(赤い花は真実を惑わす)



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