「さぁーってと!ちょっと遅い時間だけどスカッと爽快に盗んだバイクで走り出しちゃうぜ〜〜〜ッ!」 「あ、セキさん!これからパトロールですか?」 「おー、まあな〜!パトロールと評してカーリングしてくんぜー!白バイってマジ便利だよなぁー!白バイカッ飛ばす俺に恐いモノはないのさフハハハハッ!あー、でも師範長や署長にはナイショにしてくれよ?あの人達怖ェーからさー」 「分かってますって!特に師範長のめざましビンタはヤバいですからねぇ。お気をつけて下さいね、セキさん」 「おうよ!もし悪さしている連中がいたら持ってくるからなー」 セキは、笑った (笑った―――…) ―――――――― ――――― ――― ― 「お前ら…何度も言うが乱闘するなら余所でやれ余所で。何であんな場所で乱闘しているんだ」 「だからって近くにいたゴクリンぶん投げるなよ。ゴクリンが可哀相だろーが」 「「こぉぉ…」」 「知るか」 「「こお!?」」 「ナズナ、これは男の意地と意地の戦いだ。同じ男のお前ならきっと分かってくれるはず」 「意味が分からん」 またもや妙な理由で廊下でリアルファイトをしでかしたレンとゴウキ 研究所の中でパソコンを操作していたナズナの耳に、普通なら耳にしない騒音が聞こえ始め、一体全体どうしたんだとフーディンとヤドキングを従えて廊下に出て見たら――眼前の先に、リアルファイトしていた二人が視界に入ったじゃないか 呆れてモノが言えない むしろいい迷惑だ 目が慣れたあの光景、今の状況は非常事態でもあるのにリアルファイト。お前ら相変わらず元気だな、むしろお前らは馬鹿か。とにかくこんな場所でリアルファイトし続けたら色々と邪魔なわけで 相変わらず自分の頭の上で寛ぐゴクリンを掴み、ヤドキングの甲羅に挟まっているゴクリンをまた掴み、ナズナは掴んだゴクリンを力一杯にぶん投げたのだ 二匹は面白く吹っ飛んだ 二匹は二人の顔面に命中した ナイスコントロールだった 「全く…こんな時にくだらない理由で乱闘起こされ巻き込まれる俺の身にもなれ。寿命が縮む」 「フー」 「ヤドー」 「「こぉ」」 「知るか。第一これには正当な理由があるんだ。誰が何を言おうと譲るつもりはない」 「ほう、ならそのお前達が言う正当な理由とやらを聞かせてもらおうか」 「「ミリ(舞姫)は俺が救う」」 「…………聞いた俺が馬鹿だった」 すごく、今更 見事綺麗にハモった事でまた火花を散らす二人にナズナは心底呆れた 麗皇、お前本当にミリさんの事になると口煩いな つーかそもそもゴウキ、お前…開き直った? そんな事を思いながら遠めで睨み合う二人を見つめるナズナだった 「……まぁいい(気持ちは共感できるが乱闘になる事ではないだろ…)。ゴウキ、例のモノは持ってきてくれたか?」 「勿論、言われたモノを一通り拝借した。受け取れ」 「すまない。…麗皇、お前も持ってきてくれたか?」 「あぁ」 早速二人は持参した資料が入った袋を、中身を取り出してテーブルの上に並べた レンが持ってきたのは、ファイリングに閉じた様々な資料の束や、アルフォンスが記入しただろう数枚のノート、そして例の日記。ゴウキが持ってきたのは、当時のハードマウンテン変死体事件簿と、ナズナに頼まれた例の事件簿各種。テーブルにどんどん並べられた記帳資料にナズナは感嘆の声を上げる 「普通ならこんなに資料は手に入らないものだが…やはり二人に頼んで正解だったな」 「おいゴウキ、その事件簿…」 「ナズナに頼まれたものだ」 「へぇ」 「しかし少々量が多いな……二人共、少し時間をくれ。一通り読ませてもらう」 「構わねーぜ。おいゴウキ、その間俺達は俺達でさっきの続きをするぞ。完封亡きまで叩き潰してやるぜ」 「フッ、笑止。寝言は寝て言うんだな白皇。二倍返しに返してくれようぞ」 「乱 闘 は 余 所 で や れ」 とりあえず二人には暫くゴクリンに埋もれてもらった → |