グラエナが去ったが、未だにまだ怯えているイーブィ達

きっと私にも怯えているのだろう、目がとても怯えていた

何に対して怯えているかは分からなかったが、予測は出来た。きっと人間のせいだろう、私が近付くたびビクッと震え上がって後ろに下がっていく

なおかつ私の今の錬成を見たか…もあるだろう

…まぁあれは違う世界で必死こいて習得したやつだったからなぁ



私は苦笑いした






「私は大丈夫だよ?ほら、何もしないよ」





ジェスチャーで表してみるが、警戒は全然解けていない

見てみれば、黒いイーブイは白いイーブイを守る形で私を見ていた。多分黒い方は男の子で、白い方が女の子なんだろう。怯えていても女の子を守る勇ましさに感服するが、これでは傷の手当てもできない





「困ったなぁ〜」





私は頭をかきながら苦笑いした






「何かわかってくれればいいんだけど…」






と辺りを探して見たら、ふと私の耳にある声が聞こえた






《…い》






ん…?









《怖い…》

《人間怖い…》

《人間は僕たちを実験に使う》

《痛い。もう嫌だ》









「…………!?」






私は二匹を勢いよく見た

また二匹はビクッと震える





「……」





今のは…この子たちから?


耳から聞こえてくるんだけど、何処か曖昧で微かな声。むしろ空耳として捉えてもいいくらいの声



また、あの声が聞こえた






《この人、強い》

《でも怖い》

《早く現れて》







《【異界の万人】の主様…》









「……っ!!!」







私は息を飲んだ



今、【異界の万人】って言った…

この子達は何故【異界の万人】って事を知って…

そしてさっきの「実験」って…




…そうか

この子達は実験に使われたのか

きっとポケモンの世界だから…ロケット団か。そいつらのせいで、こんな深い傷を…

後さっきの言葉…【異界の万人】…


すぐに私は理解できた







「…怖いね。確かにあんなことされたら嫌になるよね」






私は話し出す

イーブイ達はまた身体を震わせ私を見上げた








「辛かったよね。あんな実験をされて、痛い思いをして…自分達は…





【異界の万人】を、待っているだけなのに」






イーブイ達は驚く

何故自分達が実験にあったことを知っているのか

何故【異界の万人】を知っているのか

きっと、後者の方だろう



私は立ち上がった

立ち上がって…二匹を見て、指を鳴らした



眩い光が、イーブイ達を包む

イーブイ達はまた驚いた



この眩い光は、あの祠の力と同じだったから―…‥


と思った瞬間、イーブイ達の傷は完璧になくなっていた


イーブイ達は私を見上げた




その目は、怯えから喜びに変わっていた












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