「ゴウキ君聞いたわよ〜【鉄壁の剛腕】って名前!とうとうゴウキ君も有名人になったのね!今日は赤飯よ赤飯!」 「何言ってんのさ。ゴウキが異名付けられるのは当たり前じゃないかい。そんないちいち赤飯赤飯…赤飯はねぇ、ゴウキが嫁さん連れてきてから炊くってもんさ!」 「あらアンナ、褒める事も教育の一つなのよ?うちのレンにもしっかりと赤飯炊いといたんだからねぇ」 「そういえばレン君の名前、【白銀の麗皇】らしいじゃないか。こちらまで噂は届いているぞ。やはりお互い息子の成長は誇らしいな」 「ハハッ、そうですね。でもゴウキくんの異名は如何にも!って感じですがレンのは……ぷっ」 「よーしそこのうっかり親父覚悟しやがれ」 そんな、昔に交わした 懐かしい、優しい思い出…――― 「「おめでとうゴウキ君!」」 二人はもう、いない * * * * * * 普通、過去の事件資料の持ち出しは原則禁じられている。資料を必要とするなら、情報管理部の人間に手続きを行なって借出すか、帳簿の内容をコピーするかのどちらかだ しかしゴウキは特別だった 上層部と知り合いで数々の事件に貢献しただけであって、優遇されている。管理を担当していた人間が自分の知り合いでもあった為、顔一つで簡単に借りる事が出来た 普通なら出来ない事だ 「ではゴウキさん、三日間の貸し出しになりますが、宜しいですか?」 「あぁ、手間を掛けさせたな」 「いえいえ。資料は以上になりますか?」 「いや…あと一つ拝借したい物がある。構わないか?」 「えぇ、構いませんよ」 先程レンの両親の帳簿を黙読していた最中に、自分のポケギアから一本の電話があった それは自分の兄ナズナからだった ナズナからの頼み事。突然言われたソレにいかさか疑問を持つも、きっと何かがあるだろうと思い、承諾をした ナズナは先程のレンの両親の死の謎の同様、些細な疑問が思わぬキーワードに繋がる サスペンス物語が好きでよく読んでいたのもあるが、彼の冴え渡る勘には度々お世話になっていた事があった。事実、彼の助言で事件解決に繋がる事もあったのだ。ゴウキの活躍は、ナズナの活躍でもある ゴウキが"動"で、ナズナが"静" ゴウキが"体"なら、ナズナは"脳"だ そんな彼が真剣な声色を含めて言うんだ、きっと全て繋がってくるに違いない 「では私がその資料を持ってきますので、その事件の名前を教えて下さい」 「それは――――」 → |