ふわっふわな毛並み

もっこもこな尻尾

うるるんとした瞳

小さくて愛らしい存在





「かかかかか、かわ、可愛いいいいいいい…!」





やはり本物は格別

生きていてよかった

私は目の前のモノをぎゅぅぅっと抱き締めた





―――――――
――――
――







とある場所に、一つの輝きが現れた

その淡い輝きは空間を歪ませ、"あるモノ"がその空間から落下して地面に叩き付けられた




どすん!





「あたァッ!?」






色気も何も無い声が木霊する

受け身も取る暇もなくペイッと放り出された私は呆気なくお尻を強打してしまう事に

フレイリといいさっきの空間といい私の扱いちょっと雑過ぎやしませんか、そんな悪態をしつつ強打したお尻を擦りながら私は立ち上がる






「いたたたた…






 …はい残念!また森!」






森を抜ける為の空間かと思ったのに!

また森が私の行く手を阻むなんて!

また歩くのか私は!疲れたよ!←





「…と、いけないいけない」





私は辺りを見渡す

私の周りは謎の空間を渡っても相変わらず森だらけ。しかしさっきの森とは違い、聖地みたいな清らかさは感じない。むしろ色々な気配を感じる辺り、名前も知らないただの生き物が生息する森に移動させられたわけになる

芝生と言ってもおかしくない、そんな草むらの上に私は立っている。少し目線を外せば砂利道が伸びている。…落ちてきた場所が砂利の上じゃなくて本当によかった…

見上げた空は先程の森と同じ晴天、微かに聞こえる小鳥の囀りが、心地良く鼓膜を揺らす

少なくても今言える事は、この場所は何処にでもある普通の森の中だった






「うーん、聖地の澄み具合と比べちゃいけないけど…自然はいいよ。落ち着くし、新鮮な空気が一番だよ






 ―――――……、ん?」






深呼吸して新鮮な空気を堪能していた私の目線の先に、私はあるモノを見付ける






「……丸い…、物?」






木の下、草むらの影に隠れている、ソレ

此処から見てソレは丸いモノだと確認出来た

丸いモノは二つあった。一つは赤色で、もう一つは白色だ

…なんだろう





「落とし物、かな?」





にしたって随分と分かりやすいモノを落としていったよね。本来ならあまりそういうのには手を出したくないけど、この世界を生きる為にもちょーっと頂いちゃいますよってね

そんな事を言い訳しつつも、何気なく私はその丸いモノが落ちている木の下まで歩み寄り、何気なくソレを広い上げて…

驚いた






「モ、モモモ、モンスターボールゥウウッ!?」






私の手に収まるモノ

まさかのモンスターボール、でした!


………と、いう事は






「此処…ポケモンの世界!?」






私は驚いた

いやもう、驚くしかない。マジで


私はボールをまじまじと眺める

赤と白の、二つのボール。それぞれ単色の色かと思っていたソレは、二つとも二色の同じ色をしていた。それは私が一番よく知っているものだった。ゲームでは野生のポケモンを捕まえるモノに使っている、コレが無かったら何も始まらない―――必要不可欠な道具

へー、意外にモンスターボールってアニメの大きさと同じくらいじゃない?お、真ん中押すと小さくなった!ハイテクじゃないか!


…って呑気に関心している場合じゃなくて!

バッと辺りを見渡した






「…嘘でしょォオオオ!」






よくよく、周りの景色を見てみると…


私の頭上を飛び去る、ポッポの大群

大樹の密を求めて群がるへラクロスの大群

所々気配を見つけて岩影や木陰を見てみれば…コラッタとかハネッコとかモンジャラとか、とっても見た事あるモノが、私の視界を横切るのですが………



―――ふと思い出す、昨日の夜の事






「あー、もう毎度毎度何十年と学生していないでそろそろ社会人になってもいいと思うしでもでも毎度毎度会社のパーティーとかめんどくさいし社会人の荒波に呑まれたくないというか………もうアレだ、私はポケモントレーナーになりたい。可愛い可愛いポケモン達に囲まれて癒されて最強なポケモントレーナーに、私はなりたい!」













おーっと


昨日の願望(自我放棄)が叶っちゃいましたよ!









×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -