「回線が切れてしまったな。…麗皇、どうする?」








一方的に話を進められ、挙句の果てには宣戦布告に近い言葉まで言われ強制的に切られてしまった電話回線

ブツリと切られ、鮮明に映し出されていた画面が一気に暗くなった。沈黙が広がり、暗くなった画面には自分達の姿が映し出された

………歪んだ笑みを浮かばす一人の男が不気味に映し出されていた(敢えて誰かは言わない






「………ナズナ、逆探知だ。今の回線を辿って奴等の居所を見つけ出せ。見つけ次第、俺に報告しろ。……ブっ飛ばしてやる

「…白皇、禍々しい気を出すな」

「俺は俺でミリの居所を探す。ゴウキ、お前もリーグでミリの居所を探れ。……そうだ、ゴウキお前時間あるか?時間があったら俺に付き合え。一緒に地獄を見せてやろうぜ

「(どうしようもないな…バトルするのは大いに構わないが)」

「(死人が出ないか心配だな)」






クツクツと喉の奥で笑いを噛み殺すレンの姿は、異様。むしろ恐怖の塊だ。顔を覗かなくても分かる――歪んだ笑みを浮かべた悪人顔だ。本場の悪人も尻尾を巻いて逃げる勢いだ


…まぁ、あんな事を言われ強制的にブッチされてしまえばこうなる事は目に見えていたわけで。まともにミリと会話が叶わず、しかも「テメェなんかにミリを渡すかよ!」発言に色々ブッチしてしまうのはしょうがないとしか言えない

勿論ゴウキもナズナも先程の彼等の行いをよしとして見ていない。レンの気持ちはよく分かる。が、二人が妙に落ち着いているのは気持ちの持ち様が違うからだ。恋人か、恋人じゃないかと観点は違ってくる。あくまで仮定だが、もしミリがレンではなく二人のうちどちらかだったら、色々と違ってくるはず。…それもそれで恐いものがあるが←








「フッ、待ってろよミリ……絶対に助けてやるからな…!」







もはやミリに言ってやった言葉の主旨と真逆な事を言っているレン

ゴウキとナズナは静かに荒れまくっているレンを見て、やれやれと小さく溜め息を着いたのだった







* * * * * *











回線をぶちぎった俺達の行動は速かった








「さて、これからどうしようか」

「最優先にするのはミリの安全よ。スズラン大会まで暫く身を潜めて貰う事については変わらないわ」

「仕事がない人はなるべくミリと一緒にいる事。それか僕らが目の届く場所にいてもらいたいね」

「幹部長と副幹部にはお忍びで来てもらいましょう。他の皆もね。ゴウキに知られるとレンも着いて来られちゃうかもしれないから、あそこら辺にバレない様にしないと」

「あぁ。アイツは情報屋でもあるし、鋭い。鋭いのはゴウキさんだってそうだ」

「…なんかあの二人が道場破り並な勢いで来そうな予感がするんだけど……」

「その時は返り討ちにするまでだ」

「ダイゴ、此処の回線はセキュリティ諸々逆探知とかされない仕組みになっているかい?もしかしたらナズナさんがこちらに調べてくる可能性もあるぞ」

「それもそうだね。ならもう少しセキュリティを高くしてもらえる様にしておくよ。彼がどれくらいの実力者かは分からないけど、そう簡単に見つけ出せないはず」






ミリを手放さない

その気持ちは全員同じだ


いくら相手がレンやゴウキさんでも、俺達はお前らなんかに負けたりはしない






レンとゴウキさんは知らない




お前らの味方は、いない







皆、そう皆だ

ジムリーダーや四天王、幹部長達も俺達の味方だ

ミリを失いたくない、その気持ちは全員一緒













「全てはミリの為だ」










結局これは自分達の自己満足でしかない事を、俺達はまだ気付かない






(絶対に、渡さない)



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