『―――…部屋に入っていったわ。あのイーブイ達も眠そうにしていたからもう今日は部屋から出てくる事はないでしょう』

『そう、か。…彼女にはしっかり休んでもらおう。話はそれからだね』

『『『…………………』』』

「「「…………………」」」






ミリが出て行った事で、もっと静かになった互いの空間

全員が全員、暗い表情だった

向こうが何を考えているかは分からない。しかしミリが記憶喪失と聞いて確かな核心が芽生えたんだろう。けどミリの心中を聞いた彼等の表情は、やはり暗い






先程の泣き出しそうなミリの表情が頭から離れてくれない。深く溜め息を吐き出し、レンは前髪をかき上げた






「ミリ………」






自分がよかれと思っていた行動が、ミリの為を思ってやったのが……まさか裏目に出てしまい彼女の心を傷つけてしまっただなんて


全てはミリの笑顔が見たいから


心から本当に思っていた。今でも思い出す―――自分に記憶が無い事を明かしてくれた、あの日を。寂しそうに、辛そうに、諦めていた表情を浮かべたミリをどうにかして助けたかった。笑ってほしかった。…けれど、これは結局自分の自己満足でしかないのだ

ミリは一度も捜して欲しいだなんて言っていなければ、弱音さえも吐かなかった。強い女、けど繊細で脆い女だ。先程のミリを見て、初めて心中を明かせてくれたミリを見て改めてそう思った







『――――…ミリについて、詳しい話はまた別の機会にでも聞かせてもらう』

「…カツラが既にこの件について詳細を纏めている。直にそちらにも話は伝わってくるはずだ」

『!…何か分かったのか?』

「…個人情報が見つかった」

『『『『『!!』』』』』

「…が、同時に謎が増えた」

『謎?』

「…………今はまだはっきり言えない。とにかくカツラ達の連絡を待て。話はそれからだ」

『分かったわ。連絡がついたらすぐにジムリーダーを集めさせるわ』

「その時ナズナと白皇も同席させてくれないか?個人情報を見つけてくれたのは他でもない、ナズナ自身だ」

『『『『!!!』』』』

『ナズナさんが!?…分かったわ、是非来て頂戴。…私達はあなたを歓迎します、ナズナさん』

「あぁ、すまない」

『…で、ナズナさんはともかく何でレンまで?』

「白皇も白皇で情報を集めてくれた。コイツは情報屋でもあるからな。一体何を掴んでいるかは知らないが」

『分かったわ。レンガルス、あなたも歓迎するわ』

「あぁ…」






ナズナがハッキングし見つけ出した結果をカントーにいるカツラに渡してある

ナズナとカツラで連携してこの件の謎について調べている。カツラがシロナ達に連絡した時は盲目の聖蝶姫の謎が解き明かされるはず


そしてレンも情報を携えている

彼が何の情報を持っているかは、ゴウキの言う通りまだ明かされていない。しかしレンの情報が明かされた時、より深く真相に入ってくれるに違いない







「……………で?」

『で?』

「お前ら…まさかミリと一緒に暮らすとか、思ってねぇだろうなぁ…?」

『あはは、君は面白い事を言うねぇ






 当たり前じゃないか』









ピキッ…










「……………」

「……………」

「……………」

『あ、ちなみに皆はどうする?部屋は沢山あるからこの人数だったら余裕だよ』

『勿論私も暫く一緒に過ごすつもりよ!こんなにも沢山部屋があるのよ!使わなきゃ損よ損!それにミリと一緒に居たいし、此処からリーグに通った方が都合がいいのよねぇ〜』

『私も住まわせてもらうよ。此処から職場まで私のボーマンダで余裕で通えるし、やはりまたミリと一緒にあの頃の様に過ごしたいからね。それにミリのマイペース振りを見張らなくちゃいけないし、世話もしてあげないと』

『俺も俺も!此処すっげー良い場所だしな!それに俺もゲンさんと同じでミリの世話してやんねぇと。デンジ、お前もそうだろ?』

『あぁ。此処にはミリがいるし……まともな飯が食えそうだ』

『お前…カップラーメン食ってねぇでたまにはまともなモン食えよ』

『それじゃ部屋はどうしようか?僕は何処でもいいけど』

『ミリの隣の部屋は私よ。もうミリには伝えてあるし、ミリもOKもらったからね』

『…俺ミリの隣『の隣の部屋にしとけ自重しろ馬鹿』…チッ』




「「「……………」」」




『あ、朝ご飯どうしようか』

『朝ご飯くらい私が作るわ。あ、でも材料がなかったわね…朝ご飯遅くてよければ買い出しに行ってから作るわ』

『シロナ、私も手伝おう』

『僕も行くよ。他にも必要な物とかも買い出ししておこう。お金とか色々あるからね』

『もしかして…これからの生活費ってダイゴさんが払うつもりなのか?』

『そのつもりだよ。それにホウエンリーグからミリが貯めていた貯金分も預かっているし。あ、そんなに心配なら君達の給料分から引いてもらっても全然構わないよ?』

『『お世話になります』』

『もつべき者は友だよね』

『有り難いわダイゴ』

『ははっ、どう致しまして。とにかく明日は大変になりそうだね』

『だな。おいオーバ、お前明日暇か?俺の代わりにジムリーダーやってくれ。俺はその間ミリとのんびり過ごす』

『テメェふざけんな』

『と、言うわけだから僕達一緒に住むからミリについては全然安心してもらっても構わないから』























ブチッ











「ははっ、そうか。お前らがいるなら安心……


 



 …出来るかボケェエエエーーーーーーッッ!!!!」










キレました





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