『聞いてくれナギ!このヘタレ御曹司は未だミリに告白すら出来ていない!ナギからも一言言ってやってくれ!』

『…ダイゴ、お前という人は…ミクリでも私に告白出来たんだぞ!ミクリが出来てお前が出来ないなんて…それでもホウエンチャンピオンか!?だからお前はヘタレ御曹司大誤算って言われるんだぞ!回りに示しが付かないぞ!』

「ナギさん、頼むからそれ以上僕の心にダメージ与えないでくれ……」

『ほら見ろダイゴ!ナギもこう言っているんだ!さっさと告白してヘタレ御曹司大誤算の名誉を挽回するんだ!』

『頑張れダイゴ!ミリの心を掴むんだ!』

「だから距離を置いていた君達には言われたくないんだよーーーッッ!!」










ナギにまで言われるなんて大誤算!




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シンオウ地方コトブキ警察庁


そこは今回の事件、「シンオウ怪電波事件」として警察庁は警察関係者が入り乱れていた


警察庁の上はヘリコプターが飛び回り、下は白バイとパトカーが走り回り、建物の中は人間が動き回る

この状況を誰もが見たら、事態は凄く深刻なのだろうと思わざるおえない。「ポケモン凶暴走化現象」、リーグだけではなく警察もこの現象を深刻に捉えているのだろう。そう、コトブキシティの住民達を始めとした人々は、警察を信頼していた


勿論、警察はポケモン凶暴走化現象も視野に入れている



―――むしろ、警察が主に動いているのは、別の件だった







「―――元『彼岸花』の団員の調査、刑務所に行って話を聞いてきましたが………最悪です。全員が既に亡くなっていました」

「……シラクモだけではなく、他の団員までもが?」

「えぇ。歳も歳、持病が悪化した人間ならまだしも…持病を持っていない、至って健康な人間でさえも亡くなっていました。死因は心不全…怪しいですね。意図的に殺されたとしか思えません」

「他の団員が刑務所を仮出所した話とかは?」

「仮出所した者はいません。なので外との繋がりを持った者の目星もつきません。家族も親族にも訪ねたのですが…シロでした。空振りです」

「………」






―――急遽作られた、犯罪組織『彼岸花』対策室の一室

沢山の刑事や特殊部隊の人間が入り交じる中、彼等の中にゴウキの姿があった



ミリが行方不明になり、また『彼岸花』復活が確定された次の日から、彼等警察と『彼岸花』の戦いが始まった。否、正確には警察とリーグ協会VS『彼岸花』だが

あれから一週間が経った。一週間経ったが、未だ彼等の足取りを掴めていなければ、証拠も何も掴めていないのが現状だった。一週間といえど、されど一週間。テロ行為と同等のレベルを持つ奴等相手に、長期戦はかなり危険が伴う。警察がこんなにも動いているのに何も掴めていない現状は、士気にも影響が及ぶ

彼等警察は絶対に、この事件を解決しなければいけない

警察の名誉にもかけて、そして―――






「…セキの件は?」

「交通事故から、殺人事件へ再調査になりました。貴方の言葉でセキ刑事…いえ、セキ警部補の殺人事件とこの事件を合同という形になりました」

「…そうか。セキも報われるだろうな」

「えぇ、彼の事件は証拠不十分でしたから…私達もセキ警部補の為にもこの事件は負けられない戦いです」







数週間前に殉職した、仲間のセキの為にも


セキは刑事だった。しかし彼が殉職した事で階級が上がり、警部補の地位に上がった。暴走族上りがよくもまあ警部補に上がれたものだと拍手を送りたいものだったが、まさかこんな形で階級が上がってしまうなんて、セキ本人も予想としなかっただろう

セキの事件は『彼岸花』の捜索と同時進行で行われている。これも長期戦になっていくのは間違いないだろう。しかし、負けられない。そう、負けられないのだ

セキの為にも、このシンオウの為にも―――






ゴウキの銀灰色の瞳が小さく揺らいだ









「それから、アイツは…」

「………いえ、残念ながら…今も…」

「…………そうか」






また警察も、極秘裏でミリの捜索を続けている

ミリの捜索はチャンピオン達等リーグ側の人間を中心に行われている為、捜索メンバーは少ない。彼等は今もなお、この場所を離れてミリの捜索に打ち込んでいるだろう

―――しかし、残念ながらミリを発見した報告はされていない



一週間経っても見つからないとなると

無傷の生還は、望めないだろう







「(――――舞姫………)」







太陽の様に、向日葵の様に

キラキラ輝くミリの姿


眩しい笑顔で、こちらに振り向く







「――――ゴウキさん!」












「また来る。後は任せた」

「はい、お待ちしています」










生きている事をひたすら信じる







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