「ポケモン凶暴走化現象」

それは名の通り、ポケモンが凶暴化し暴走している現象の事を言う



正確にはポケモンが何者かの手によって凶暴化し、暴走ではなく操られているのが正しい。しかも操られたポケモンは倒したところでゾンビの様に復活してしまうのが恐ろしい話だ。そんな凶暴ポケモン相手にやわなトレーナーが挑んだところで勝目など無ければ、余計に被害が生まれるだけ

何者かに操られ、ゾンビの様に復活する。この話は秘密になっている。流石にこの話まで住民が知ってしまったら、それこそ大混乱になってしまう事は目に見えていた。タイミング良く、ここ半年野生のポケモンが南に向けて涙を流す現象が度々目撃されていた為、このポケモン凶暴走化現象もその現象なのではないかと隠蔽する事に至った

ポケモン達はいつ暴走するかが分からない。被害を最小限に止どめ、命を最優先にする為に下したリーグ協会本部の決断が、シンオウ地方全土にある各街の規制から始まった

住民達には街から出ないように規制を掛け、野生のポケモンが生息している場所で旅をしているトレーナーはヘリコプター等で強制送還。野生のポケモンが生息するエリアを、なるべく人間がいない状態をつくる様に求めた。人が出払い、無事が確認されたら次はリーグ関係者や警察関係者、研究所関係者の出番。いち早くこの現象を突き止める為にも、彼等は最大限の人員と知恵と労働を、そして危険を覚悟でこの調査に取り組んだ




―――今もなお流れる怪電波が、一体何処を経由して流れているのか。そして、黒幕は一体何処で高見の見物をしているのか―――




ある少数のグループが既に動いてくれていたお陰もあってか、関係者の動きはスムーズだった為、今のところ被害の報告は上がっていない

野生のポケモンも凶暴化した話も出ていない。あの時だけの現象だったのかと疑問に思ったとしても、けして気を緩める事は出来ない

リーグ関係者、警察関係者、研究所関係者はこの現象の原因、黒幕の存在は知っている




―――14年前に壊滅した犯罪組織「彼岸花」





奴等は、脅威だ

けして許されるものではない

また、同時にロケット団の残党が組織復興の為に奴等と手を組んだ事も知らされている。このまま野放しにしておくわけにもいかない。奴等の思い通りになんてさせない。何を企んでいるかは分からないが、この脅威を自分達の手で解決しなければ

もう、少年少女図鑑所有者達の力を借りるわけにもいかない。勿論、危険な目に合わせるわけには絶対にさせられないのだから












「随分暇よねー」

「暇だなぁー」

「暇だニャー」





その、ロケット団残党であり、未だロケット団として活動している―――喋るニャースを連れたロケット団

この事件に関係あるようで全く関係ない無害の彼等はサトシ達がいるフタバタウンの離れの木にいた






「ジャリボーイ達も動かないとなったらこっちも動けられないじゃないの!もーなんなのよ!街に出たくても出られないじゃないの!」

「だよなぁ。まさかだよなぁー俺達の気球を攻撃してまで強制送還されるなんてさー」

「賠償請求してやるのニャ!」





キーキー言うムサシにため息を吐くコジロウ、悪どい顔をするニャース

彼等は、ポケモン凶暴走化現象の事はニュースや強制送還中に話を聞かされた程度で、ロケット団の残党が組織復興の為に動いている事は知らない

むしろロケット団は実は解散していた事すら知らなかったから…ある意味呑気なのか馬鹿なのか阿呆なのか馬鹿なのか←

確かにサトシ達の行く先々でロケット団としてピカチュウを狙いに色々と騒動起こしまくるも、一日でスピード解決され全く実績の無い彼等。めげずにひたすらピカチュウを狙いサカキの為に尽くすその忠誠心は素晴らしいものだと思うばかり。意味が無いのも知らずに

今回も全く無関係で無害な彼等は、裏で起きている騒動なんて露知らず

彼等もまた、ただの一般人として成す術は無い







「さっさと規制解除しなさいよねー」

「なぁ、そんな事よりもそろそろ新しいバイト探そうぜ。もうお金がスッカラカンだぜ?頼みの綱だったリーグ大会も延期になっちまったしさ」

「それはヤバいニャ、死活問題だニャ」

「あーもう!しょうがないわねぇ!」










今彼等が一番必要としているのは

ピカチュウでもなくロケット団貢献でもなく

自分達を、養うお金








相変わらず呑気で平和なロケット団だった






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