『………あら?何処かで聞き覚えのある声がk』

「気にするな。今のは幻聴だ気にしないでくれ。…(コソッ)……お前ら来るな近付くな会話を聞くな」

「あ?…んだよテメェ人がせっかくこっちまで顔だしてやったのにその台詞はねぇだろ」

「珍しいな、お前が動揺しているなんて。こんな場所で連絡取らなくても暖かい場所に移動すればいいじゃないか」

『やっぱり聞き覚えのある声が聞こ』

「えないからな。少し待っててくれ。…………気にしないでくれ二人は部屋に戻っていろ。…リーグの話だ」

「だったらそれを早く言えよ。ったく…あー、早くミリから連絡来ねぇかn『ゴウキさんのばーかばーかばーか』『ちょっとミリお口チャック』『むぎゅっ』………………………、…………………ミリ…?」

「(あぁ、色々と終わったな…)」







リビングからレンとナズナが興味津々とこちらに顔を覗かせ、レンに電話先の相手を悟らせない為にもさっさとあしらおうと思っていたゴウキであったが……あぁ、なんということだ、今日は本当についていないらしい

小さなポケギアから聞こえてきたゴウキを罵倒(なようなそうでないような幼稚なそれ)する声は、レンが一番耳にしたかった声。昨日の事もあり、軽く瞳と纏う気が死んでいた…まぁつまり傷心気味だったレンの瞳がミリの声を聞いた事で一気に復活した。すぐさまゴウキのポケギアを奪い、未だ野次馬の声が流れるポケギアを握り締め、小さく息を吐いたレンはゆっくりと口を開いた







「―――…ミリ、」

『ちょっとミリーそんなに馬鹿ばっか連発するとゴウキが怒っちゃうわよ?…………って、あら?ゴウキ?ゴウキー?ミリがあまりにも馬鹿連発しちゃったから拗ねちゃったとか?』

「…その声、シンオウチャンピオンか」

『あら!あなたレンガルスじゃないの!久し振りね!ちょっとみんなー!レンガルスが電話先にいるわよー!』



『なにぃ!?レンだと!!??』
『あれ、ゴウキ君に連絡していたんじゃなかったのかい?』
『にしても随分久しい名前を聞いたよ』
『アイツ本当に生きてやがったのか』



「―――…何故アイツらまでいるんだ。ミリを出せミリを」

「ミリさんが電話先にいるのか?」

「あぁ…(気が荒れだしたぞ…)」






ミリの声、シロナの声ならまだしもかなり聞き覚えのある声にレンのこめかみにキリリと何かが浮かんだ

状況が掴めなかったナズナもレンの台詞を聞いて瞬時に把握したようだ。しかし小首を傾げたナズナはレンの様子構わずにポケギアに声を掛けた






「…今の女性の声、もしや貴女はシロナさんか?」

『え?今度は違う声………ってあなたもしかしてナズナさん?え!どうしてナズナさんが電話先に?』

「聞いた事がある声が聞こえてな。…すまないがミリさんと一度会話がしたい。替わってはくれないだろうか?」

『えぇ、分かったわ。――――ミリ、ナズナさんがあなたにですって』

「後、そちらの回線は映像が映せるものか?だったら映像を回して会話がしたいのだが…」

『可能よ。そちらから一度掛け直してもらえるかしら?』

「分かった。すぐにでも掛け直そう」






ナズナとシロナは同じ考古学者の仲間だ。二人はナズナの父親の葬儀に参列した際に顔を合わせ、ナズナが正式に考古学者になった時も何度も仕事関係で顔を合わせていた。知り合いなのも頷ける



テンポ良く会話を進めさせ、ナズナはレンからポケギアを奪った後通話終了ボタンを押した。途端ポケギアから流れていた野次馬ならぬ騒音がプツリと消え、廊下は一瞬にして静まり返った

着信履歴を開き、表示された番号を把握したナズナはポケギアをゴウキに渡し、三人はすぐさまリビングにある映像付電話で掛け直した






回線はすぐに繋がった








「ミリ―――」


『うっわ本当にレンが映ってるじゃねーか!テメェ!レン!帰ってきてんなら連絡くらいしやがれよ!』
『何でお前がゴウキさんの所にいるんだよ。つーか何でミリと知り合いなんだよお前マジで死ね』
『レン、久し振りじゃないか。元気にしていたかい?』
『見てみればナズナさんもゴウキもレンも勢揃いじゃないか』




「―――だから何でミリじゃなくてテメェらが出て来るんだよ!!!!」








レンの怒りは頂点に達した





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