「それじゃ行こうか。ミリが暫く住む場所に案内しないとね」

「ポケモンセンターですね?」

「違うよ。ポケモンセンターだと君の存在がバレやすいから違う場所で、僕が一番お勧めする場所だよ。既に君が住めるように用意は万端さ」

「……なんだか申し訳ないっていうか…私ごときの為にそんn(ムグッ」

「これは僕が好きでやった事だ。君からもらった恩と比べるとまだまださ。気にしないでくれ」

「でも、」

「…相変わらず君の口癖は記憶が無くなっても変わらないのか。君らしいけどあまりその言葉は好きじゃない」

「……………」

「遠慮なんて要らないさ。特にこのメンツに今更遠慮されても寂しいものがあるし。君はドーンと構えてくれればいい。いいね?」

「…はーい」

「ところでその場所の事なんだけど、」

「はい」

「リゾートエリアにある僕の別荘で過ごしてもらう事になるから」

「―――……、うん?」









空がもうじきオレンジ色に差し掛かる時間帯。ダイゴのメタグロス(二体)とゲンのボーマンダでナギサシティを経ったミリ達

ダイゴのメタグロスは磁力で空を飛ぶ事が可能になっている。ダイゴとミリで一体に、飛行タイプを持っていないデンジとオーバで一体、そしてボーマンダの背にはゲンとシロナの姿がそれぞれあった


向かう方向はナギサシティからまっすぐ北に進んでいる。このまま進めばリーグ協会が見え、大きな滝が行く手を阻むのだろう。が、三匹はリーグを越え、もっと北へまっすぐ進んで行った







それから二時間後、

空が暗くなり始めた時間帯に、彼等はリゾートエリアに到着した








「別荘…?」

「別荘」

「別荘って、これ…?」

「そうだね、これだね」

「…マジで?」

「うん、マジ」

「………嘘だろぉおおお!!!???」






ミリを待ち受けていたのは、それはそれは綺麗でデカいリッチな別荘が盛大に鎮座していた

ミリの開いた口が塞がらない

他にもいつでも水遊びが出来るプール、木の実や花を育てられるガーデニングなどポケモンにとっても人間にとっても快適で過ごしやすい遊具が揃っていた。ライトアップがされている為、綺麗なイルミネーションがミリ達を迎えている

ミリは開いた口が塞がらない






「ちょっとちょっとぉおおお!!!!これ別荘!?別荘!?ドーンと構えろって言われたけど逆に押し潰されそうだよ!!こんなでっかくてリッチな別荘だなんて1ミクロンも思っていなかったんだけどぉおおお!!!!」

「…分かるよ叫んでしまうその気持ち。流石の私もあまりのデカさに叫んでしまったものだよ…」

「やだちょっとミリ良かったじゃないの!こんな大きな別荘とか普通手に入らないわよ!」

「流石リゾートエリアの別荘…俺初めてリゾートの別荘見たぜ」

「違ぇよ馬鹿、そもそもダイゴさんがパネェんだよ」

「ねえねえミリ!さっそく中に入ってみましょうよ!きっと中も凄い事になっているに違いないわ!」

「ちなみに中はこんな感じ」



ガチャッ



「キャアアアァアアァァアアッ!!すっごく素敵じゃないのーー!」

「ギャアアアァアアァァアアッ!!素敵過ぎて眩しいぃいいいッ!」








中も中でそれはそれは一言で言い表わせられないくらい広くて綺麗でリッチなものだった

ミリは気が遠くなるのを感じた

中に入れば大理石な玄関だったりなんか金持ちしか手に入らない代物な家具や飾り物などなどなどなど。シロナは瞳を輝かせテンションを上げて部屋を探索をしに行き、ゲンはシロナの姿と固まるミリに苦笑を漏らす。オーバとデンジは流石に綺麗すぎる内装に引いたらしく、「金持ちってよくわからねぇ…!」「金持ちマジパネェ」と明後日の方向を向いていた。対する別荘の所有権を持つダイゴはニコニコと固まるミリを引っ張って部屋を案内し、「ミリが過ごしやすいように家具も色々考えたんだ」と楽しそうに言った。かなりのご機嫌の様子だ







そして別荘に来てから約数時間後

ミリはソファーに座っていた(どことなく疲れているのは気のせいじゃない








「…ほ、本当にこの別荘で暮らす、あ、いや…暮らしてもいいのです…?」

「勿論!特にこの場所はリゾートエリアの中であまり人目に入らない恰好の場所でもあるから有意義に過ごせるはずだ。お気に召してくれたかな?」

「想像以上の衝撃に着いて行けません…!でも気に入りましたありがとうございますぅぅぅ」

「ハハッ、良かった良かった。ならもう一つ、良い事を教えてあげるよ」

「?」

「この別荘の所有権は君のものだ」

「Σゴフッッッッ!!!!!!」







爽やかな笑顔でサラリと言ったダイゴに、ゲンに淹れてもらった紅茶を盛大に噴き出した






「あはは、動揺してる動揺してる」

「ゲホッ、ゴホッ…!!」

「ダイゴ…君という人は。…あぁ、ほらミリ。これで口を拭くんだ」

「あらダイゴ、それ本当なの?良かったじゃないのミリ!」

「分からねぇ…!俺金持ちが分からねぇ…!むしろダイゴさんが分からねぇ…!」

「言うなオーバ、寛大な心を持つんだ。むしろ諦めろ」






流石は御曹司、誰もが羨ましがる別荘をアッサリと他人に献上するなんて

そもそもこの別荘自体ミリという存在が無かったら使われる事なく後処理に困っていたものだ。ダイゴにとって、処分するより誰かに使われた方がいいに決まっている。その相手がミリなら尚更だ。なんの問題は無い


だがしかし、ミリにとってかなりの問題だ







「スズラン大会が終わるまでとはいえ、こんな綺麗な場所に住むだけで有り難いのに、さ、流石に別荘までは頂けませんよ…!」

「だから気にしないでくれって言っているじゃないか。こう言ってしまうとアレだけど、正直処分に困っていたんだよ。君に使ってもらった方が僕とすれば嬉しいんだよ」

「(アレかプラチナイベントなのか!?プラチナイベントでオッさんに押しつけて去って行ったあのプラチナイベントか!?)」

「ミリ…諦めろ。ダイゴさんの前に常識はもはや通じないと思え」

「そうだぞミリ、寛大な心を持って受け止めるんだ!大丈夫だ、俺達も慣れるのに苦労した」

「二人とも酷いなぁ」







あぁ、誰か助けて欲しい

それよりもまさかシンオウに来てすぐにリゾートエリアの別荘に来る事になって、しかも所有権は君のものさ☆発言に色んな意味で着いて行けない


とりあえず、






「…ととと、と、りあえず…この別荘、とりあえず貸してもらう事でいいですか…?なんだか恐れ多すぎて判断に困るなぁー、みたいな…うん」

「気にしなくてもいいのに。…分かったよ、とりあえず君にこの別荘を貸すよ。でもゆくゆくは君に別荘を渡すつもりでいるからそのつもりでいてね」

「(Nooooooo…!!!)」










金持ちの感覚を疑った瞬間





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