「ねーねーオーバーさーん」

「だーかーらー、俺オーバーじゃなくてオ・オ・バ!何度言ったら分かるのかなこのお口ちゃんはよぉ」

「オーバーさんってアレでしょ、オーバーヒートでき「ねぇからな」…あるぇー?」

「オーバはアフロだからな」

「アフロ言うな馬鹿」

「……あ!分かった!オーバーさん、胸にこうして組んで〜、んで『オーバー』って言いながら腕を広げて下さい!」

「?おうよ」

「いい?いっくよー







 スイッチ・オーバー!」

「ってプ〇キュアかよ!!??」

「お前ラビリンスだったのか…!知らなかったぜ…」

「Σちげーし!ラビリンス総統メビュウス様のしもべとかじゃねーし!……っておいそこの三人腹押さえて笑ってんなy「我が名はオーバ!泣け喚け!我に仕えよ!」「ナケワメーケェェェェ」違ぇえええッ!!!!」








それだけがやりたかった←

(フレッ〇ュプ〇キュアネタ)


―――――――
―――――
―――









ミリが読んだ通りだった。彼等五人があの港に居たのはミリを迎える為だ。理由は騒動回避の為でもあるが、八割が騒動回避関係無く好意的行動でもある。聖燐の舞姫でもあり盲目の聖蝶姫でもあるミリ本人に早く再会したいが為に。そして彼女はやってきた。親友は生きていてくれた。しかし、生存の代償に記憶を犠牲にしての帰郷だった

盲目の聖蝶姫は今では国民的大スターだ。民間もポケモンも記憶が蘇っている。その中で容姿全てが同じな聖燐の舞姫が呑気に街中あるいていたら大騒動になっていく。ただでさえ忘れていた存在の記憶が浮上していて混乱している人達も多くいるのだ。記憶が蘇ってきてから半年、きっとシンオウ地方やホウエン地方の人達は全員盲目の聖蝶姫を思い出しているんだろう

もうじきスズラン大会が控えている。目の側に置いておきたい気持ちもあるが、リーグ協会の立場で今言えるのはまさに騒動回避の為。スズラン大会が終了するまで身を隠し、誰か一人付き人を付けて行動してほしい。彼等の主張にミリは眉を潜めるも、状況が状況な為仕方なく承諾をしたのだった









「おー、いい景色!」

「「ブイブイ!」」

「ミリ、アレ見ろよ。アレがナギサの街を繋ぐ通称ナギサロードだ。んでアレはエスカロード、年寄りが楽に道歩ける様にしてある。あ、そうそう真夜中にナギサロード歩くなよ?不審者が出たり暴走族がたまにかっ飛ばしやがってるからな。轢かれるぞ。俺も轢かれかけたからな、いい迷惑だぜ。お陰様でスーパーで買ったハー〇ンダッツがおじゃんになっちまいやがったし。いつかぶっ潰す」

「言葉に邪念が混じってるよデンジ君」

「分かるわ〜その気持ち。ハー〇ンダッツ高いもんね。おじゃんとか流石の私もルカリオのはどうだんしちゃうわ」

「え、そうかい?」

「…ダイゴ、あなたは絶対ハーゲンダッツの貴重さなんて到底理解出来ないでしょうね」

「ミリ、アレがデンジのナギサジムだ。此所からだとよく見えるだろー?聞いてくれよーコイツ、強い奴がいないからってずっとジム戦放棄しやがったんだぜ?」

「Σばっ!おいオーバ!」

「まぁそこは俺とサトシ君の活躍でなんとか根性叩き直してやったんだぜ?すげーだろ?しかもその日に運悪く…ナギサタワーが空を飛んだし」

「え、飛んだ?」

「あぁ…奴等のせいか。確かロケット団。つーかオーバ余計な事言うなアフロ剥すぞ」

「剥がすな!」

「ロケット団ってあの喋るニャースの?」

「そういえばいたなそんなニャース」

「あぁ…あのロケット団か。今思えば彼等一体こうてつじまに何しにきたんだろうか」

「喋るニャースのロケット団…あぁ、ムロの洞窟で悪事を働いた奴等か。何?奴等シンオウにきてるのかい?懲りないね」

「私も危うく他の子が取られそうになったのよね。しかも博物館の『しらたま』も奪いかけられたし、ギンガ団の本拠地にも何故かいたし…本当に懲りないわねぇ」

「(うわぁぁぁぁ…)」






一段落話が着いたので、ナギサの街を回るぞ!と張り切るデンジとオーバに引きずられて喫茶店を出たミリ達。丁度着ている服が落ち着いている服(水色の薄手のジャケットと黄色のロングワンピース)で眼鏡をかけて帽子を被ればどうにかなる格好だったので、自前の伊達眼鏡と(何故か)ゲンの帽子でナギサの街を回る事となった

ボールで昼寝をしていた白亜と黒恋を出し、デンジとオーバを先頭にして五人と二匹の大所帯でナギサの街を歩く彼等。二人は意気揚々とナギサを案内していくも、二人は既に鬼ごっこでミリが街を探索していた事に気付いているのだろうか(何も言わないミリは優しい奴

イケメンと美人に囲まれた白亜と黒恋のテンションは半端無く高いのはしょうがない。あまりの嬉しさに二匹はグルグル回りながら突っ走り、慌ててミリが追い掛けて、その姿をゲンが追い掛ける。そんな哀しきループに彼がお母さんポジションに確定したのは時間の問題。可愛いジュエリーショップを見つけたシロナはミリを引き込んだりダイゴは何処からか見つけた宝石の原石をミリに渡していたりとにかく濃いナギサ案内だったのは確か








一時間、ナギサの街を巡ったミリ達は休憩もかねてナギサシティ一番を誇る発電所、ナギサタワーの展望台に足を休めていた











「今はこうして活気ある綺麗な街になってるけど、前のナギサは結構荒れていたんだぜ?やっと俺が目指したナギサシティになってくれた。まだ改善しなくちゃいけない所がちらほらあるがな。…どうだミリ、俺が手掛けたナギサシティは?」

「素敵な場所ですよ。きっとデンジさんがいなかったら皆こうして笑顔になっていなかったと思いますよ?すれ違う人皆笑顔って事はそれほど街が生きているって事だから、それを手掛けたデンジさんは凄い人ですよ」

「そう言ってくれるとやり甲斐があったもんだ。…ありがとな」

「いえ」






窓ガラス一面に広がる広大な景色を見ながらデンジは静かに笑う

デンジは発電所を作り上げ、閑散としていたナギサシティを変えた張本人。様々なメディアから評価を受けているデンジだが、デンジが一番この景色を見せてやりたかった、褒められたかった相手がミリだったのだ。記憶を失っていても"誰かの為"という気持ちは六年間消える事はなかった

念願、そう念願のご披露にやっとデンジは見せたかった景色を見せる事が出来た。記憶を失ってしまっていても、ミリ本人に見てもらったという喜びはデンジの心を救った






「かと言って暗黒世界にしちゃいけないでしょ〜?」

「…お前、それを言ってくれるなよ…」

「停電王子痺れるナギサのスターニートデンジさんですもんね」

「ニートじゃねぇし」

「オーバーさんから聞きましたよ!無駄にジムとか改装して停電起こしていたんですってね!発電所作るのも凄いけど流石に電力食っちゃ駄目じゃないですか」

「……やっぱお前間違いなくミリだ。そうやって腰に手を当てて仁王立ちする辺り昔を見ている気分だぜ」

「…えー…」

「そんな顔するなって。…嬉しいんだよ、そうやって怒ってくれんの。なんだかな、やっとお前が帰って来てくれたって実感が湧いて来るんだ。不思議な話だ」







デンジは頭一個分下のミリの頭に手を置いて、サラリと撫でる。まさか自分の頭を撫でてくるとは思わなかったミリはビクリと身体を震わせた

目を張ってミリはデンジを見上げる。対するデンジもミリを見下げるも、「その反応も相変わらずだな」と言って苦笑を漏らした

何とも言えない表情を浮かべるミリに、もう一度頭を撫でたデンジは手を降ろして景色に視線を戻した。浮かべている表情は嬉しそうで、口元には小さく笑みが浮かんでいた















「デンジ君、時間も来たからそろそろ出たいんだけど、いいかい?」

「分かった。…行こうぜ、ミリ」

「…はーい」









空が少しずつオレンジ色になっていく





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