爆発音と爆風が押し寄せる中、最後に視界に入ったのは呑気な顔をして海原をピョンピョン跳ねていたタマンタがいた…―――――



今日はとてもよい天気だ







「………楽しみで楽しみでとうとうこの日がやってたぜうっひょーとウキウキルンルン気分でいざシンオウに来てみりゃ大の大人四人のオニイサン達に何故か追い掛けられ、挙句の果てにはポケモンの技繰り出されて吹っ飛ばされて海の中ボッチャーン!一体何なんなの初っ端からこの仕打ち。何これ。おねーさん流石にプチッ☆イラッ☆カッチーンしちゃうんですけどー」

「だからさっきから謝ってるだろ。お前が軽過ぎなんだよ」

「いい加減機嫌直してくれよ」

「折角新調した服も私の気持ちも全てにおいて悲惨なんですけど。ていうか貴方達何なんですか。やっていい事とやっちゃいけない事があるの分かってます?あ?」

「まだ髪が濡れているじゃないか。…ほら、新しいバスタオルだ。風邪を引く前にしっかり拭くんだよ。君の髪は長いからね」

「Σわふっ。ちょっと帽子のオニイサン自分でやりますから!やりますから気持ちだけ有り難く受け取るから!」

「機嫌直しにトムさんお手製のチョコレートパフェ食べる?」

「ちょっとちょっとスーツのオニイサン私の機嫌をそんなチョコレートパフェで何とかさせるなんて考えがまるでなってませんね!生クリームたっぷりお願いします!」







容赦ない攻撃になんとか避ける事が出来たミリだったが、爆風で身体が海の方に吹っ飛ばされ、瞬時に白亜と黒恋を濡れさせない為にメタグロスのサイコキネシスに当てさせるもそのまま海の中へドッボーン。海の中にいたケイコウオとご対面した

新調した服は勿論、身体は海の海水でずぶ濡れ。怒りフツフツ浮かぶ最中、まさか海の中に入ったと思わなかった彼等(サイコキネシスにイーブイだけが浮かんでいてびっくりしたらしい)は慌ててミリを引き上げて(サイコキネシスで)、あれよあれよと引っ張られ着いた場所が何処かの喫茶店だった


とりあえずシャワーを借りてさっぱりと潮水を流したミリ(白亜と黒恋はボールの中へ)服も洗濯機で洗ってもらい、予備の服を着てなんとか現状を打破出来たのだが…






「駄目だ。髪はしっかりと拭かないと本当に風邪をひいてしまうぞ。シンオウの風、いやナギサの海から吹く風は冷たいから頭冷やして風邪を引く。まぁ君の事だから知っていると思うけど。とにかくミリ、黙って拭かれていなさい」

「えー「えー、じゃない」あ、はい、すんません」

「ミリ、髪が乾いてパフェ食ったらナギサシティを回るぞ。俺が手によりをかけた発電所の展望台の眺めは最高だぜ?」

「ナギサも前と比べてかなり変わったんだぜ?久々に色んな所回ろうぜ!ミリ!」

「え、うん…?」

「出来たぞ」

「ほらミリ、トムさんお手製のチョコレートパフェが出てきたよ。いやー美味しそうだ。僕も少し貰おうかな」

「あ、はぁ…(ってそれ間接キスになんじゃね!?)」







ミリはすっごく違和感を覚えていた

何でこの人達は私の名前を知っているのだろうか、と


何時自分の名前を公言したのかと疑問が浮かぶも、そもそもこの人達は自分に用があってあの場所にいたわけで必然的に自分の名前を知っている理由になれる

しかし、一番疑問に思う事が一つあった








「ふぅ、やっぱり一生懸命走った後の甘い物は格別だ」

「喫茶店から見えていたぞ。お前らいい歳して彼女を追い掛けていたんだろ?一体何してそうなったんだ」

「いい歳して…ってちょっとトムさん俺達まだまだイケる歳だぜ?違ェーよミリが勝手に逃げたんだよ!」

「…ミリ、お前足が速かったんだな。ナギサで鬼ごっこなんざ餓鬼の頃以来だぜ」

「チャリがありゃ俺がブイブイ走って捕まえたのになぁ」

「けどゲンが居てくれたお蔭でミリの場所が掴めたから助かったよ」

「ハハッ、最後は浜辺で鬼ごっこするとは思わなかったけど」

「つーかミリ、何であん時逃げたんだよ?追い掛けんのマジ大変だったんだぜ?」

「…………パフェうめぇー」

「オイコラそこ。パフェ食うな取り上げるぞ」

「相変わらずマイペースだな、ミリ」



「…………(相変わらず、ねぇ…)」










帽子の男が慣れた手付きで髪を拭き

スーツの男は自分のパフェをさも普通につっつき

アフロの男と金髪の男は輝かしい笑顔で自分の肩を抱いてはバシバシと背中を叩く



…フレンドリー過ぎではないか?




この四人の名前は既に把握済みだ

何せ彼等はゲームのキャラクターで、一位二位を争う人気を誇っていて、勿論ゲームクリアしているミリにとってこの人達が誰なのかなんて船を降りる時にはもう分かっていた。もう一人の金髪美人の女の人はかの有名なチャンピオンに間違ない。週刊誌にデカデカと載せられていたから間違うはずは無い



初対面のはずだ

絶対に



なのに何故、ずっと昔から居たような当たり前の口調で話し掛けてくるのだろうか

ちなみに逃げ出した理由はその場のノリ←









「やはり髪の毛はドライヤーで乾かしたほうがいいな…オーバ君、君のブースターを貸してくれ。ねっぷうで髪を乾かしたい」

「お?いいぜー」

「(ブースター!?ドライヤー!!??)」

「中々いいアイディアだな。節電だな節電。いい事だな。ミリ、大丈夫かも知れないがお前も節電こまめにやれよ?」

「その言葉、今一番に俺が言ってやりたい」

「ミリ、一緒にココア飲もうか。あぁ、安心してくれ僕の奢りだからしっかり飲んでね」

「乾いたよ。これなら風邪を引かずにすむよ」

「あ、ありがとうございます…」

「やだなぁ他人行儀みたいな言い方!これは僕が勝手にやっている事だから気にしなくてもいいっていつも言っているのに」

「あぁ、そうだ。…まぁ私の場合は勝手に身体が動いてしまうんだけどね…」

「ゲン、まるで君はミリの母親みたいだよ」

「Σ母親…!?」








本当に、分からない


この人達は一体誰と自分を被せて見ているんだろう





と、その時だった












――――バァアンッッ!!!!










「ミリを無事捕まえたって!!??」

「「「「「Σ!!!???」」」」」

「二度目のいらっしゃい、だな」








今度は金髪美人がやってきた





×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -