「ブーイ!」
「ブイブイ!」

「よかったねー仲良くさせてもらって!分かるよ〜皆さんイケメンに美人さんだもんねードッキューンだもんね〜。白亜ちゃん良い人ゲットしたねーうふふ!とうとう黒恋ちゃんも春が来ちゃった感じでおねーさん嬉しいようで寂しいけど嬉しいよー、よしよし」

「「ブ〜イVvv」」

「でもお兄ちゃんとお姉ちゃん達これから用事があるみたいだからそろそろ降りようかー勿体ないけどー。んで私達もそろそろナギサブラリ旅始めちゃいましょーね〜。おいでー」

「「ブーイ」」





艶やかで綺麗な漆黒の髪、彼女を象徴する鮮やかなオレンジ色をした服。細い肢体。優しいまなざし。光ある漆黒の瞳。落ち着いていて、何処かあどけない陽気な、ずっとずっと聞きたかった声

時間が止まっている感覚。全員が全員、動けなかった。目の前、そう目の前に自分達が焦がれ続けた相手が、ずっと探してきた相手がいるのだ。会いたかった、ずっとずっと会いたかった。今まで何処にいたんだ。生きていてくれてよかった。てか相変わらずマイペースなんだな。言いたい事が沢山ある。でも口が動けない。喉が声を発せようとしてもヒュッと空気が出るだけ


彼等の様子構わずに女は鈴の鳴る含み笑いを零しながら腕を広げる。まるで聖母の女神が優しく腕を広げ全てを包み込もんとしている錯覚を覚えさせられる。ダイゴとシロナの腕に抱かれていたイーブイ達はすんなりと抜け出し、彼女の胸の中に飛び込んだ。錯覚なんかじゃない、優しく抱き留めた彼女はまさに女神だ。この表情は知っている。ずっと前から知っている。彼女の胸に抱かれたイーブイ達はいそいそと頭と腕の中に納まり、それを確認した彼女はこちらを振り向き




「ではでは失礼しましたー」





と、陽気な声で手を振り

物凄い速さでその場から逃げ出した












「…………………」

「…………………」

「…………………」

「…………………」

「…………………」









………………………。

















「――――――って、あああああっ!アイツ逃げやがった!!!!つーかすっげー速くね!?あれマジ速くね!?ドギューンッて行っちまったぞおい!!」

「やっべぇとにかく追い掛けるぞ!見失ったら何の為に先回りしたか分からなくなる!」

「シロナさん、後は僕らに任せて君はタマランゼ会長の元へ!」

「あああああっ!そういえば忘れてたわ!やだちょっと早く会わないと!……皆!何がなんでも捕まえるのよ!」

「任せてくれ!」








全員駆け出した!






* * * * * *











一方、シロガネヤマでは







「ったく一体何処にあるんだか。ポーゲギーアちゃーんでーておいでーやゴルァア」

「ポケギアは自分で歩かないぞ」

「んもーお姉様ったら本当にシロガネヤマに吹っ飛ばしたのかしら?手前に落ちたりしてないでしょーね!」








超危険区域指定場所

かの有名なあのシロガネヤマに、十人の少年少女の姿があった








「シロガネヤマは広いし深いしポケモンも多いですからね…此所でレッドさん達修業したんですよね?」

「まぁなー。土地勘には詳しいつもりなんだけど…」

「無理もないですよポケギアなんて小さい物すぐに見つかるなんて普通は無理ですって」

「…そんな場所で捜す事自体が馬鹿げていると俺は思うが」

「まあまあグリーン、そう言うなって。たまにはこういうのもいいよな!」







昨日からゴールドとシルバーとクリスの三人でミリが吹っ飛ばしてお空となった哀れなポケギアの捜索に勤しんでいたものの、あまりの危険やあまりの広さやらで結局その日に見つかる事が出来ず、次の日の今日この日に図鑑所有者全員で捜索する事になったのだ

呼ばれた(むしろ召喚された)理由は全員暇だから。ルビーとサファイアとエメラルドは観光と避難、つまり暇。ブルーもイエローも特別する事がないから該当する。レッドとグリーンもリーグ集会が無事に終わり休暇をもらっているから、と言う事で全員仲良くシロガネヤマにやってきた!という事になる


シロガネヤマは何度も言う通り、超危険区域指定場所。普通なら許可を得られないと通れない。でも彼等には博士の後ろ盾があるから、そこらへんは大丈夫だったりする








「シロガネヤマ……初めて入ったけど、本当に他の山と全然違うよな」

「……まさか自分がこうしてシロガネヤマにいるなんて想像しなかったね…やっぱ山頂が雪山だからか少し寒いし……」

「あら、そういえばエメラルドとルビーはジョウトに住んでいたのよね?確かに…私もまさかポケギア捜しに来るとは思わなかったけど」

「…あれ、サファイアが居なくなってるぞ」

「あぁ、彼女ならきっと持ち前の野性児能力でどっかに行ってると思いま「おーい!みんなー!見つけたったい!」








ガサリッ

自分達がいる場所から少し離れた大きな岩の影から、ヒョコッとサファイアが現われた

腕に何かを抱き抱えてこちらに手を振っている。よく見ればそれはなんと野生のヨーギラスで、ヨーギラスがポケギアを抱えていた。遊ばれていたのかオレンジ色のポケギアが少し汚れている。そんな事構わずに、サファイアはピョーンと岩から降りてこちらに向かって満面の笑みで走ってくる







「ミリ姉ちゃんのポケギアこの子が転がして遊んでいたっちゃ!これでミリ姉ちゃんに渡せれるっちゃね!」

「よ…――」







良くやったサファイア!そうレッドが声を上げようとしたが――――ピシリとレッドは硬直した。それはレッドにだけと限らず、回りにいたサファイアを除いた全員が一点を見て固まっていた

ん?とサファイアは皆の様子がおかしい事に気付き、「どうしたっちゃ?」と頭を傾げた。「サファイア…うううう後ろ、」硬直したままルビーはなんとか言葉を繋ぎ、サファイアは何がなんだか分からずと言われた通り後ろを振り返った






―――そこには物凄く恐いオーラを出し凄い形相でこちらを見下ろしている、バンギラスがいた














シロガネヤマに悲鳴が響き渡った





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