「アンズちゃん。手始めにクナイ持って一度死合いに洒落こもうじゃないか!」 「ミリ殿いきなり死合うとか駄目で御座るよ!?」 「あ!もしかしてアンズちゃん…私を初心者だからって馬鹿にしてるでしょ?ふっふっふ…自慢じゃないけど私、これでもそっちの道に関しては熟知済みなのさッ!変化分身変わり身なんてちょちょいのちょいさ!」 「それはいくらミリ殿でも無理な技で「変化の術!」 ボフンッ 「 Σ(゜Д゜;)」 「見て見て!どう?凄いでしょー!んでもって次は分身の術!」 ボフンッ! 「 Σ(゜Д゜;)!!」 「わーお可愛いアンズちゃんがいっぱい!…刹那!私に向かってサイコカッター!」 《分かった》 ザシュッッ ボフンッ 「 ゜ ゜(Д ;;)」 「アンズちゃん一号が殺られた!…と思ったらそこには何故か可愛いらしいピッピ人形が!(術を解く)さーてアンズちゃん、私の実力を分かってくれたかな?」 「本当にミリ殿は何者…!?」 「やっだなぁーそこら辺にいるちょっと忍術が出来る一般ピーポーニートだよ!至って普通の常識人だよ!どこもおかしくないよ」 「常識をもう越えてますから!そして弟子にして下さい!」 誰かコイツに常識のネジを閉めてあげて ――――――――― ―――――― ――― ― 『とうとう、行くんだね』 「はい」 此所は、クチバシティ ポケモンセンターにあるお馴染みの映像付公衆電話の前で私はいた 『一ヶ月、早かったね』 「あっという間でしたね」 『この一ヶ月の間、何度か私の研究所に遊びに来てくれる所か手伝いまでしてくれて本当に助かった。お陰様で寂しくなかったよ。ありがとう』 「いえいえ、カツラさんには日頃お世話になっていますから!こちらこそありがとうございます、カツラさん」 目の前の画像に映っているのはふたごじまに居るカツラさん 一ヶ月経ってもスキンヘッドにサングラスと髭は変わらずに健全だ。カツラさん本人も全然変わっていないも、やっぱりリーグ集会の関係で疲労が見え隠れしているのがこちらから見てもよく分かった それもそのはず、 『…本当だったら私も見送りたい所だったが…生憎まさか今日がリーグ集会でそちらに行けそうにもないんだ。ミリ君、すまない』 「いえ、気にしないで下さい。その為にも電話でお時間頂いていますから。お気持ちだけでも私は十分です」 私がシンオウを出発する今日が、北東西南のリーグ集会の日 聞けば時間も私が出航する時間と開始する時間が大体同じらしく、見事に被ってしまっていた 忙しいジムリーダーの皆さんにわざわざ大変な思いまでしてもらい、しかも遅刻だなんてしてもらっても困る訳で。ちょっと早めにクチバシティのポケモンセンターにやって来て、手持ち達のコンディションを整えている最中を使って皆に電話を掛けた。想像通り、やっぱり皆忙しそうにしていたり寝不足になっていたりと様々な表情が見れた。けれど皆は、見送りに行けないという謝罪はともかく、最後に「いってらっしゃい」と声を掛けてくれた。カツラさんはその最後の人物となる ちなみに 『お兄ちゃんはミリちゃんの帰りを待っているからね!ちゃんと無事にちゃんと怪我無くちゃんと生きて帰ってくるんだよ!』 「この人今"ちゃんと"三回言った!」 『いくらリーグで忙しくても可愛い妹のミリちゃんの為ならゲンガーを影に忍ばせて守ってあげるし僕の千里眼でいつでも君を視ているから安心してね!』 「(安心出来ねぇええええッ!!!)」 彼は最後まで相変わらずだった 『向こうに着いて無事レン達に再会したらよろしくと伝えて欲しい。ナズナとは二週間前の連絡が最後だからね、ちらほら二人の様子は聞いていたから元気なのも大体想像が着く。きっとナズナもレンもゴウキ君もシンオウで君を待っている』 「あはーそうですねー」 『連絡は来たかい?ナズナから聞いたんだが、ゴウキ君がそっちに連絡をするつもりだと聞いていたけれど、彼ら元気にしていたかい?』 「…………へぇー(^_^)」 『…え、ミリ君?』 「ふーん、へぇー(^_^)」 『………まさか、連絡来ていないのかい?』 「うふふふ、昨日一昨日ずっと待っていても連絡が来なくって悲しみ切なさ憤りにプッツンしてポケギアぶっ飛ばしちゃった!だなんて私そんな事一言も言ってませんよ〜(^_^)」 『(な ん だ と )』 新事実発覚 どうやら彼らは私に連絡を入れるつもりだとカツラさんには言っていたらしい(正確にはナズナさんが、だけど ふーん、そうなんだね連絡入れようとしていたんだね〜へぇーそうなんだふーん← 『…ポケギア、今は何処に?』 「うっふ〜多分野生のリングマの下敷きになって機能を失っていて欲しいですねー(・v・)」 『(怒ってる…この子顔だけニコニコしていても言っている事が…)』 「ヤッダなぁカツラさん、私全然怒ってなんていませんよ〜」 『(Σ心読まれた!!!???)』 「三人の髪の毛バッサリ切ってやりたいとか思ってないですってば〜」 『(確実に思っていない事まで…!?切りたいのか、切りたいのかあの三人の髪を!?)』 「リア充爆発すればいいのに〜」 『(使い方違う!!!!)』 よーくね、よーぉおおッく考えてみればね、三人は忙しい身だしわざわざ私ごときにそんな時間を使ってくれるわけがないのに ……そうだよね、最初っから気付いていたのに私馬鹿だよね。自惚れるにも程があるし、なんだろう…一回は連絡来るって一言も聞いていなかったのに期待していた私が馬鹿だったっていうか、さ 「まぁ、私がちょっとプッツン☆しているのは自分の身勝手でもやもやしているだけなんで気にしないで下さい」 『…後で彼らに連絡して怒っておくよ』 「怒る…なんだかカツラさんが怒るのって想像付かないなぁ。怒らなくていいですよ。レンにはレン、ゴウキさんはゴウキさん、ナズナさんはナズナさんです。私ごときの人間が三人の生活や活動に文句を言える立場じゃないんです」 『………………』 「………分かっていても、私も女の子ですからね……一回でもいいから、レン本人じゃなくても三人の内誰か一人でも連絡が来てくれたら、嬉しかったなって思うんです。でもこれは私の我が儘でしかありませんから」 『…ミリ君……』 「………と!まぁこんな事つらつら愚痴ってもしょうがないですからね〜。だからカツラさん、私は大丈夫ですからね」 画面の先で何とも言い難いと表情を曇らすカツラさんに、私は苦笑を零して言う 何度も言う様に彼らは彼ら、私は私で彼らの中に私が入れる隙間は無い。いくらレンと私が所謂恋人同士であっても…やっぱり男は男っていうオーラがあって三人の中に入り辛いのが本音だったりするけれど(この際気にしていないけどね!)。それに冷静に考えてみれば、単に私に連絡を寄越すのを忘れていたのか、もしくは別の理由で連絡が出来ないのか……頭では分かっていても、やっぱり私も女の子。感情的になりやすいのも女の特徴だから、たかが一本の電話が来なかっただけでプッツンしちゃうとかはしょうがないとしても それに私達には新たに別の理由でシンオウに足を踏み入れるんだ。一々くよくよしてはいられない 『(大丈夫、か……)』 「ジム職で忙しいカツラさんには申し訳ないけど、私達はシンオウの旅を満喫してきますからね!帰って来る時はちゃんとシンオウのお土産を持って帰って来ますからね〜!楽しみにして下さいね!」 『あぁ、楽しんで行ってくるんだよ。無事にレンを見つけられる事を願っている』 「はい!」 行ってきます、カツラさん → |