元々、レンとゴウキが知り合ったキッカケは、自分達の母親の紹介からだった

アンナとレンの母は、知り合いだった。アンナがバトルガール、レンの母はエリートトレーナーとして。所謂ライバル同士だったのだ。二人の友好関係は元より、互いに成長をし、結婚をして、愛息子を産み、あの時の若いトレーナーではなく一次の母として。アンナがシンオウへ嫁いだ時、偶然レンの母と再会を果たす。それからライバルではなく子を持つ母として改めて仲良くなり、自分達の息子を紹介し合おうという話が持ち上がった

やはり自分の息子は可愛いし、友の息子も気になる。歳が近い事からもきっと仲良くなってくれるだろう





「アンナ、この子が私の息子よ。名前はレン、レンガルスって言うの」





彼女がそう言って紹介したのがレンだった。髪は父親譲りの白銀色、目はピジョンブラッドの瞳、顔立ちはハッキリとしている。所謂イケメンだ(そういえばこの子はクォーターだった)子供なんだけど何処か大人引いていて、でも自信満々に笑う顔は彼女に似ているなと改めてそう思った





「レンって言うのね。アンタに良く似ているよその自信に満ちた顔!」

「ちょっとそれどういう意味よ」

「細かい事は気にしない。レン、よろしくね。…で、こっちはゴウキって言うのさ。よろしくしてやって頂戴な」

「あら〜アンナと違って物静かな子ね!あの頃のアンナと全然違うわ」

「言ってくれるじゃないかい」






当時レンとゴウキはトレーナーの駆け出しと言っても良かった

ゴウキは14歳、レンは12歳

駆け出しのトレーナーとして、あの出会いは二人にとって良い刺激だっただろう







「名はゴウキ」

「俺はレンガルス」


「「よろしく」」






そうして、二人は出会った












レンの母から色々息子の自慢話を良く聞かされたり、実際に接点を持って会話してきた事によって、アンナの中でレンの像が出来上がっていた




レンは、一匹狼だ


他人とは一線を置き、その一線を超えようとはしなかったし、超えさせようとはしなかった。一線を置いて、彼は全ての物事を冷静に判断をしていた。自分から輪の中に入る事はあっても、一人を好み、何故かそれ以上の関係を拒み続けていた。そして彼は強さと情報を求めていた。焦っている様にも見えた


それこそ恋沙汰なんて見向きもしなかっただろうし、そんな話は一切聞かなかった。それは自分の息子達にも言えた話だが。エレベスト並に一線の壁が高いレンに女が出来るなんて、誰が想像したか。親友だって「あの子はきっと独身のままね…」と寂しい事を口走っていた、あのレンが!






「良かった…本当に良かった…!これで私もあの子の墓前で言えるわ!『レンはちゃんと彼女が出来ました』って!良かった…本当に良かった…」

「…そんなに喜ぶもんか?」

「当たり前じゃないかい!アンタの母さんはアンタを色々と心配していたし私は当時のアンタを知っているんだよ!」

「…………」

「…"ユリ"と"アルフォンス"さんが死んでアンタは見ていられなかった。アレはしょうがないさ、そうなってもおかしくない。…そしたら急に行方不明になっていて、再会してみればウォッチャーになっていた。アンタに何があったかは聞かないさ。……ユリの親友として、母として、私は嬉しいんだ。アンタが、こうして笑ってくれているのを。天国にいる二人も、喜んでくれるはずさ」

「…そう、だな」






親友でもあり、レンの母であるユリ

その夫のアルフォンス(愛称アル)






「……まさか義母さんと麗皇の母親にそんな繋がりがあるとは思わなかった…世界は狭いな(意外に身近だったのか…」

「ユリはエリートトレーナーとして素晴らしい実力者だったのよ?レンを見れば分かるでしょ?」

「そうだな」

「レン、ゴウキ。今度墓参りに行くわよ。…レン、どうせアンタ両親に顔見せていないんだろ?」

「あぁ…近い内にでも」






今はもう冷めてしまったコーヒーを口に含めながら、レンは静かに笑う

ゴウキもナズナも静かに笑みを浮かべ、同じ様にカップに手を伸ばしてコーヒーを口に含めた(そんな自分の息子達にも「アンタ達が嫁連れて来たらそれこそ喜んであげるから!」と言ってやるのも忘れない)(それは流石に引きつった




















で?、とアンナは切り出した














「結婚式はいつあげるんだい?」




「(ゴフッッッッ!!)」

「(ブハァッッッ!!)」

「(ガハッッッッ!!)」










コーヒーの飛沫が口から放出された





×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -