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此処は最北の土地、シンオウ地方

本州から離れた、海に囲まれた一つの土地。最北もある為冬の季節になると極寒になり、積雪になる。夏は涼しいけれど冬は糞っ寒いも、シンオウ地方にある景色は見事で、特にシンオウを代表とするテンガンザンはジョウト地方にあるシロガネヤマと違った雰囲気を漂わせる


―――だが、








ビュオオオオッ…








世界は真っ白い

そう言ってもいいくらいに、そこには何もない真っ白な世界が支配していた。テンガンザン頂上付近に激しい音を立て白い吹雪きが容赦なく辺り一面に襲いかかる。普段ならばそれはそれは素晴らしいと誰もが絶賛するくらい綺麗な景色の筈なのに、今ではその面影すら無い

テンガンザンは気温の上下が激しい為、この様な猛吹雪の天候が多い。それはシロガネヤマにも劣らないくらいの激しさである







「――――――………」







豪雪の中、一人の青年がいた


真っ白い世界に彼の白銀色の髪が激しく乱れていても気にせずに、吹雪き吹き荒れる真っ白の前方を睨み付ける







「――――…………」








青年に対面する、もう一人の青年の姿もあった

高く結った黒髪も豪雪で激しく乱れるのも気にせずに、白銀の髪の青年を見据える




真っ白い世界、唯一色を飾るのは彼等の髪と瞳、それから彼等が着込む服だけ

だがしかし、猛吹雪で豪雪の中では、その色も白に溶け込みかけてしまっている











ドォオオオンッ―――










猛吹雪の中、荒れ狂う吹雪きに負けないくらいの大きな衝撃が響き渡った







彼等の頭上、真っ白い空間の中に―――"何か"がぶつかりあっていた。しかもそれは一つに収まらず、衝撃は多数にも及んだ。自然現象では聞く筈のない轟き、地響きをも思わせる衝撃は普通ならば有り得ない


真っ白い世界、真っ白い空間。目を凝らしてよく見てみると、雷が轟き、炎が燃え盛り、水が噴射され氷となり、又鋭い鈍物の刃が空を切り裂く

片や黒い影が六つ、もう片方の黒い影も六つ。それらは止まる事を知らずに、激しくぶつかりあっていた












「「―――はかいこうせん」」









最後の一手、最大の攻撃

二人の口から紡がれた言葉は静かに、そして豪雪の音で書き消される

だがしかし、彼等のパートナー達は煩い騒音や轟きにも関わらずしっかりと青年達の声が聞こえていた。躊躇する事もなく、自分と対面する敵に向かって―――渾身の一撃を、放ったのだった






















「―――今日は此処までだ」

「あぁ」







激しい衝撃が襲いかかり、山全体が震えた

今の最後の攻撃がキッカケか、大きな衝撃は天候を吹き飛ばした。アレだけ激しく吹雪いていた真っ白い世界が、空が、今では真っ青な青天へと逆転していた


攻撃の衝動で動けなくなったポケモン達が雪の中で呻く。空を飛んでいた飛行ポケモンもボスッと雪の中に落ちては埋もれる。彼等を一瞥し、ボールを取り出して赤い光線を放ち、ポケモンをボールに戻しす

戻したボールを腰ベルトに装着した青年達は、空を見上げた






雲一つもない、真っ青な空

キラキラと粒子が輝くのは、所謂ダイヤモンドダスト。太陽光に反射された雪の礫が、とても綺麗に輝いていた


















明日が丁度、一ヶ月





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