「ミリさーん!」

「ゲッ!来たなツクシ君!」

「ミリさん!今日こそは可愛いイモムシポケモンを克服しましょう!」

「断る!今日はヤドンと一緒にのんびりするんだ!日頃の疲れをヤドンを見て癒されてシンオウに行くんだ!」

「ふっふっふ…甘いですよミリさん!あなたは最大な過ちを犯している!」

「む!?」

「シンオウには僕の友達がいるんですよ!その人も虫ポケモン使いでイモムシポケモンの可愛いさを知っている…!その名も四天王リョウ!バッチ制覇を目指すミリさんには切っても切れない縁でいずれは会うかもしれませんよー!リョウ君には文通でミリさんの事伝えれば、きっとリョウ君も僕の代わりにイモムシポケモンの可愛さと素晴らしさを教えてくれるはずです!」

「虫ポケモン使いの四天王リョウ…!?それは確かに盲目だ、いや、大丈夫さ今回はバッチ制覇のつもりじゃないから彼に会う事はないのさ!」

「それこそもっと甘いですよミリさん!彼は四天王でアイドルですけど、僕の敵を取ってくれる筈です…!つまり虫ポケモンの為ならたとえ火の中水の中草の中森の中!土の中雲の中ミリさんのスカートの中!彼はやってくれる!」

「Σ今の発言色々危ない!」

「とゆーわけでミリさん!今日こそ観念するんです!」

「ギャアアアアアちょっと一気にイモムシポケモン繰り出さないでぇえええええああああああいやあああああああ!!」










アアアアアアアアア……









「………………やぁん?」








今日もヒダワタウンに悲鳴が木霊した


――――――――
――――――
――――
――












私達は待っていた

シンオウからの、連絡を









「電話こないねー」

「「ブイ〜」」








マサラタウンの自宅


ポケギアを中心に、私達は円になって囲む








「電話こないねー」

「「ブイ〜」」

「電話いつくるんだろうねー」

「「ブイ〜」」

「もうそろそろ来てもいいんだけどねー」

「「ブイ〜」」







シンオウ発の準備、家の事を当に済ませ、接点があった人達に挨拶も済ませた私達

いつでもすぐに出発出来るけど、まだその日じゃない事からぶっちゃけ暇を持て余していた







「暇だなー」

「「ブイ」」







体育座りで座る私に、足を揃えてちょこんと座る白亜と黒恋

パタパタと尻尾を振って、ひたすらにポケギアを見続けている二匹。こんな状態から多分三十分は経過しようとしている(何をしているんだ

蒼華も時杜も刹那も最初は一緒にポケギアを囲んでいたけど、興味が失せた又は飽きたもしくは別の事がしたくなったのかてんでバラバラ。蒼華は日向ぼっこ、刹那はお昼寝、時杜は観葉植物の水やりをしてそれぞれ自由気儘にやっちゃってくれている






「……早く連絡来ないとグレちゃうぞ」







ツン、とポケギアに触れてそんな台詞をぼやいても、連絡なんて来るわけがない

…寂しい気持ちが、チクリと胸に差す






「ブイブイ…」

「ん、そうだね寂しいね」

「ブーイ」

「はは、疲れちゃったね」







私は辛抱強く待てるけど、まだ小さな子どもでもある白亜と黒恋にはキツい

電話が一向に来ない事でシュンとする白亜に、待ち疲れて欠伸をする黒恋

三十分もよく待っていられたよね、と二匹の頭を撫でてあげれば切ない鳴き声で擦り寄って来る。寂しいのは私だけじゃないもんね







「しょうがないからおやつにしようか」

「「ブイ!」」

《おやつ…!》

「刹那ちゃん…何時起きたの?」

《今さっき》

「そっか」







おやつの単語に反応した刹那の頭を撫でてから、膝を折って立ち上がる

向かう場所は勿論台所。足元で尻尾を振って着いて来る白亜と黒恋を従えて、私は冷蔵庫から今日のおやつを取り出すのだった









丁度一ヶ月まで、あと一日





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