「レン達がシンオウに行ってから、もうじき一ヶ月が経とうとしている」

「時が経つのも早いものだ」

「僕とすればミリちゃんがずっとカントーに居てくれるなら全然構わない。むしろレンがシンオウ戻って清々するし、こうしてミリちゃんの手料理も食べる事が出来るし」

「むしろジョウトに移住してこのエンジュに住んでもらっても全然構わない。むしろウエルカムだ」

「しかし、レンがゴウキさんに強制送還されて『レンの奴ザマァ!僕らはこっちでミリちゃんとエンジョイしてるよあははは!』と思っていたのに…もう一ヶ月だよ?早い、いや、早過ぎだよ」

「せめて一ヶ月とは言わず半年…いや、一年にすれば良いものを…レンとミリ姫の仲を考えてのゴウキさんの配慮かもしれないが、正直言って要らないと思う」

「欠乏症だか過保護だか馬鹿だか何だか知らないけど、僕達にもミリちゃんを共有する時間を分けて欲しいよ」

「あぁ、全くもってそうだ」



「……えーっと…」



「しかも僕なんてもうじきリーグ集会があってこうしてミリちゃんとのんびりする事なんて出来ないし、集会に出す書類もまとめなくちゃいけないし…はぁ、今更だけど何で僕がジョウトリーダーになったんだろう。歳の事を考えればシジマさんかイブキさんが妥当なのに」

「こちらも色々と仕事が大変、久々に休暇が取れたと思いきやマツバはジムで忙しいし当のミリ姫だって多忙で連絡が取れない」

「本当にもう理不尽だよねこの世の中。そもそもレンだけ幸せ気分に浸るなんて許せないよ。一度地獄を見るべきだ」

「そうだそうだ。ミリ姫を独占するなんて腹立たしいにも程がある。今度本気でスイクンを…そうだレンにはスイクンの件もあるからな、ミリ姫の事を含めてマジで地獄を見せるべきだ。スリーパーのさいみんじゅつにゲンガーのうらみ、あくむ、ゆめくいで精神的に追い詰めてやる」

「それは良い案だよミナキ。あくむなんて最高じゃないか。ミリちゃんにこっぴっどくバトルに負けるのもアリだし、ピシャッとフラれてしまえばいいんだよ。それから夢と現実かの区別が分からない程に痛め付けてやればいいさ。精神的にじわじわと」




「ええぇええ…」




「それを実行する前にはまずミリ姫をどうにかしないとな。マツバ、ゴウキさんの電話番号分かるか?今から連絡して二人の再会を延長して欲しいって頼み込むんだ」

「いいねそれ。レンの修行期間が伸びてレベルアップ、ミリちゃんは僕らの所でしっかり療養。うんうん、これならゴウキさんも頷いてくれるに違いないさ!」

「だろ?ミリ姫は私達にとって大切な家族同様の、言わば妹みたいな存在だ。野蛮で狼な奴なんかにみすみす妹を渡してたまるものか!」

「可愛い妹を守る為にはお兄ちゃん達も手段を選ばないさ!」

「よーしそうと決まれば早速ゴウキさんに電話をしようではないか!マツバ!」

「あぁ!ゴウキさんは話を分かってくれるに違いないさ!」




「白亜、黒恋。あのおバカなお兄ちゃん達に向かって、ずつき一発」

「「ブイ」」

「「Σグハァッ!」」









今日は一週間振りにマツバさんとミナキさんに会いに此処、エンジュシティに足を運んでいた私達

熱烈なゴーストタイプのポケモン達の歓迎もそこそこに(こごえるかぜなのに凍付けにされたポケモン達)(ドンマイ)、ジム仕事と研究を終わらせ休憩に入った二人と再会を果たし、縁側でのーんびりとゆっくりとお茶をご馳走してもらっていた、の、だけど…







「白亜…前より威力が上がったみたいだね。それだけ強くなったんだね、おめでと(ゴホッ」

「ブイ!」

「お前も中々くる攻撃だったぞ黒恋。…せめてそれを私ではなくレンの奴にやってもらいたいものだ(ガハッ」

「ブ〜イ」

「二人共…レンにあくむやらなんやらするのは一向に構いませんが、後々倍返しに返ってきますよ?」

《構わないのか》





よほど私がシンオウに行っちゃうのが心底嫌らしく、縁側に座る私の隣りで私の両腕をそれぞれガシッとホールドされ(まさにこれぞ両手に華!)、とても素晴らしい笑顔ですんげぇ事を言っちゃう二人が末恐ろしいぜ!←

ちなみに私にツッコミしてきた刹那は相変わらず私の紅葉饅頭をつまみ食いしては頬をもごもごしている(ふぉぉぉぉ可愛いぃいいい!)。蒼華は部屋の座布団を枕代わりに静かに目を閉じていて(あれ寝てないな)、空中には時杜がマツバさんのムウマと世間話をして盛り上がっている(仲がいいなぁ

そうそう、刹那に関しては初めミナキさんすっごく驚いていたなぁ(しかも透明になれるから仰天だよねー)。でもやっぱり慣れって凄いよね。今じゃこうして私の紅葉饅頭だけでは収まらずミナキさんの饅頭にも手を伸ばしているし(こらこら






「マジで僕はレンに言ってやりたいよ。君はミリちゃんファンを、いや、カントージョウトの人間を敵に回した!ってね」

「ファン!?敵!?」

「いつぞや"三強"の姿を見た私の同じ研究トレーナー達が『白銀の麗皇はもしかしたら聖燐の舞姫にゾッコンだ!』『なにおう!?許すまじ!』『天罰じゃああ!』『地獄へ落ちろ!』と言われる位だからな、そのままボッコボコにされれば良いんだ。面白いから」

「いや、あの、酷っ、えっと…内容はともかく、多分返り討ちにされるかと思うんですが…」






最終的にはリアルファイトで幕を閉じさせようとするかもしれない





「大丈夫、それに関しては僕らジョウトジムリーダー総出でレンをボッコボコにしてあげるさ。流石の白銀の麗皇も、僕ら全員を相手にするのは酷な話だよ。何だったらカントーの皆さんにもお願いして、最終的にはゴウキさんも加われば鬼に金棒さ!」

「ひでぇ!それは流石に酷いよマツバさん!フルボッコだよ!なんかもうマツバさん色々と邪心混じってませんか!?」






笑みが素晴らしく恐ろしいです






「だって可愛い妹を取られたんだよ?お兄ちゃんは認めないよ。やっぱり妹の自立を認めなければ良かったって今でも後悔している。あーミリちゃん僕の本当の妹になればいい。そしてずっとエンジュに居ればいいさ。わざわざ寒いシンオウなんかに行かなくてもいいからさ」

「そうさ、私の妹になっても構わないんだぜ?そしてこうしてのんびりとエンジュでゆっくりすればいいのだ。レンなど知るか。爆発しちまえ」

「Σ何を!?」

「「リア充」」

「ええぇええええ…」











そもそもリア充って何ですか?←





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