「本来でしたらレンガルス様達が奴等に辿り着くまでに、こちらで対処すべきところでしたが…思いの外奴等の行動が早かった所為もあり、間に合う事が出来なかった―――皆様もご存じの通り、ミリ様はポケモンマスターであらせられます。そのミリ様が行方知れずとなった今、その不祥事の対応にゼル様御身から立ち上がったという事です。ご両親の為、故郷の為、ミリ様の為にも」






でなければ、総監のゼルがわざわざ動く事はしない。たとえ親の敵を相手にしても、総監という立場がゼルを安易に動かす真似はさせなかっただろう

ゼルのカシミヤブルーの瞳が、鋭くダイゴとシロナに向けられる






「―――騒動回避の名目で、あの御方を軟禁させた事は後になって話は聞いた。…なのにお前等は結局あの御方を守れなかった。………お前等、本当に地方を代表するチャンピオンなのか?」

「ッ…申し訳、ありません…」

「返す言葉も、ありません…」

「ッ…」

「しかし、闇雲にお前等を責めるつもりはねぇ。状況が状況なら仕方がない。現に本部も奴等の動きを読み切れずにいたのだからな。……必ずミリ様を見つけ出せ。まずはそこからだ」

「!…はい」

「必ず、ミリを見つけてみせます」






決意を新たにする二人の姿をフッと小さく笑った後、

視線はコウダイへと向けられる





「コウダイ」

「…はい」

「支部に保管されてあった情報を盗まれた責任として、お前はミリ様が見つかるまでの間、給料は無しだ。無給で働いてもらう。休みも勿論無い、そのつもりでいろ」

「!…それだけで宜しいのですか?」

「なんだ、不満か?」

「……いえ、精一杯職務に勤めたいと思います。慈悲深き采配、ありがとう御座います」






てっきりクビを覚悟に構えていたコウダイにとって、思わぬ処罰が下された

無給で無休もだいぶ酷な処罰なのだが、コウダイにはそんなの関係なかった。隣で安堵するジンとアスランを視界に入れつつ、彼もまた決意を新たに決めるのだ


絶対に、幹部長の名に掛けて、ミリを見つけ出すと―――







「お前等、今日は解散しろ。一旦家に帰れ。まずは自分達の町が安全かどうか確かめろ。後でまた指示をする。それまで自宅待機をしていろ」

「「「はい」」」

「「「分かりました」」」

「レンガルス、ゴウキ、ナズナ、あとカツラと残り二人。お前等は此処に残れ。話がある」

『!…分かりました』

「「「…………」」」

『『(残り二人…)』』










相変わらず、空は真っ暗だった









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