「まず始めに皆さんにお話すべき内容は、今日起こってしまった件についてお話しましょう」





カタカタカタ、とナズナの手はキーボードを打つ手を止めずに話を進める





「まずこの人物を見て下さい」







タン!とエンターキーが押される

カツラ達の画面が端の方に小さくなり、代わりに別の窓が現れる


新しい画面に映ったのは、二人のトレーナーだった








「ッ!!!!」

「!!!!…こいつは…ッ!」

「このトレーナーの名はランス。ポケモン達を操り、シロナさんとホウエンチャンピオンを襲ったトレーナーです。そして―――こちらは、同時刻に俺達を狙ったトレーナー、名はアポロ。彼等は解散したはずのロケット団の残党です」

「レン達のところにも、彼等の手が!?」

「えぇ。マサゴタウン付近で狙われました。結果、麗皇のスイクンの力で野生のポケモンを鎮めさせ、アポロが逃げた後に手当ての為に緊急要請をしました。コウダイ幹部長、ジン副幹部長、貴方達なら話は聞いているかと思います」

「あぁ…」

「彼は、同時刻でランスがミリさんのいる別荘に向かい、襲撃しているという証言をしていました。俺はポケモンの手当てを、ゴウキと麗皇にはミリさんのいる別荘に向かってもらいました。絶対に、ミリさんを助けろと」

「そう、だったのか…」

「―――しかし、間に合う事が出来なかった」

「俺達はアポロと戦って結果的には勝利した。…が、アポロを逃走した原因が現れた」

「それは―――ミリさんの手持ちであるスイクンとセレビィとミュウツーが現れたからだ」

「「「「「!!!!!????」」」」」








次の画面が現れた

それはミリの手持ちでもあり、聖蝶姫の手持ちのポケモン

三強と呼ばれし、強大な壁

此処にいる者達なら全員知っているポケモンだった









「蒼華!時杜に、刹那!」

「嘘!!どうして、来ていたの!?」

「アイツ一言も何も言わなかったぞ!?」

「奴等の存在のお陰で、俺達は助かったと言ってもいい。そして、刹那はテレパシーで俺達に言った。『主の身が危険だと』」

「後を追おうとしましたが、阻止されてしまいました。『この者達の手当てをしてくれ』、『私達を信じろ』、『主は私達が必ず命を懸けて守り通し、無事に帰りお前達と交わした約束を果たす』と―――」

「アイツ等は、ミリは、知っていた。全ての黒幕の存在を―――だからこそミリはアイツ等をシンオウに向かう前に解き放ち、独自に情報を収集していたんだろう。………お前等が呑気にミリを軟禁している間にな」

「「「「「―――!!!!??」」」」」







数時間前に起こった出来事

まさかリゾートエリアで起きた襲撃が別の場所で、同時刻に行われていただけでも十分衝撃的だというのに―――今まで姿が無かった蒼華と時杜と刹那の存在がシンオウ地方にあった事に驚き、またミリは全てを分かっていた上で三匹を放っていた事に誰もが皆、驚きを隠せないでいた

特に驚いていたのはこの数週間共に一つ屋根の下で生活をしていたダイゴ、シロナ、オーバ、デンジ、ゲンの五人だった。ずっと一緒にいたからこそ―――自分達の知らないところでミリが密かに動いていただなんて、到底信じられるものではなかったのだから







「な、に…それ…!全くそんな事、あの子は何も言わなかったわ!!!!」

「そんな素振り…全くしていなかった!スイクン達なんて、それこそ…!」

「ッ波動も、何も…感じなかった……そんな、事が…!」

「―――――だろうな。当然だろ?初対面のお前等相手に自分の事を易々打ち明けるわけねぇだろ、特にミリは尚更な。記憶の無いミリに聖蝶姫を押しつけ自由を奪うお前等に、どう心を開けと?」

「「「「ッ!!」」」」

「アイツは警戒心が強くて自分の心を打ち明けない。俺でさえ時間が掛かったんだ、そう易々お前等を信用出来る程安い女じゃねぇ。それは聖蝶姫だって同じだったはずだ」







記憶にある、聖蝶姫の姿

人を寄せ付ける何かを持ち、容姿性格共に万人に好かれる彼女だったが―――盲目だったが故に人に対する警戒心が強く、中々簡単に心を許す事はしなかった

しかし少なくとも自分達には心を開いてくれていた。信用してくれていた。記憶を失ったミリも、こちらに好意を持ってくれているのはゲンの波動で分かっていた

なのに、何故――――




















「(蒼華君、時杜君、刹那君……君達も此処に来ていたんだね……懐かしいよ。君達も無事でいてくれて本当によかった)」







画面に映る、三匹の姿

懐かしげに目を細める、アスラン








「(―――これで驚いている様なら、きっともっと驚く事になるだろう。彼女の裏の話を聞いて…。そして私もコウダイと同様に処分が下るのだろう、リーグの身では無くなったが、人としての、罪を……)」








横目で彼等が、五人が固まる姿を見つめて、訪れるであろう彼等の末路に―――心の中で小さな溜息が零れる

別の場所、それこそ総監であるゼルを見てみれば―――カシミヤブルーの瞳は真剣に、威圧的に、睨みを聞かせてナズナ達の話を聞いていた。彼もきっと驚くのだろう、彼女が裏で苦しんでいた、真実を――――












「それでは、今の話を踏まえて次に移りましょう」

『次は私が説明しよう。まずこの画面を見てほしい』








また新たな画面が現れた



















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