「ハッ、愚弟め」

「んだよテメェ何が愚弟だふざけんな」

「事実だろーが。外でガイルと会ったんだろう?だったら俺の話は既に耳にしているはずだ。今、俺とお前の立場は天と地ほど違うんでな。お前を呼ぶ名など愚弟で十分だ愚弟」

「ハッ、仮にその愚弟とやらと同じ血を分けている時点でお前も同等なはずだろう?勝手に行方を眩ませておいて天と地だ?笑わせるな。親不孝者でもあるお前には愚兄で十分だ愚兄で」

「(プチッ)あ?…テメェ愚弟のくせに生意気な口を利きやがって。今の俺の立場を分かった上でその口きいてんのか?あ゛?」

「(ピキッ)テメェこそなんだよ愚兄の分際で図々しい面しやがって。テメェの立場がどうであれ死んでも絶対に指図は受けねーよ。お前そんな事も分かんねーのかよ馬鹿だろ?あ゛?」

「…なんだとテメェ…」

「…やんのかテメェ…」







ブチッ






「「上等じゃねーかゴルァアアアアッ!!」」















「上等じゃないだろ落ち着け白皇!!」

「ゼル様、回りの方々もいらっしゃる事をお忘れなきように」

「なにすんだゴウキ手出しすんな離せゴルァアアアッ!一発蹴る!蹴って目ェ覚まさせてやるこの愚兄がッ!!」

「ふざけんなガイル離せゴルァアアアッ!こいつに一発殴って俺が直々に説教してやんよこの愚弟の分際がッ!!」

「あんだとゴルァアアアッ!!!!」

「やんのかゴルァアアアッ!!!!」

「落ち着け二人とも!!!!」







「「「「「(唖然)」」」」」

「「「「「(茫然)」」」」」

「「「「「(硬直)」」」」」








さっきまでの雰囲気は一体何処いってしまったんだと思ってしまうくらいの幼稚な言い合いに、回りの者達は唖然と言葉を失うばかり

まるで左右対象の鏡でもあるのかと疑問に思いたくなるくらい似過ぎている。どんなに離れていたとしても、蓋を開けば双子、腐っても双子。彼等双子ならではの行動に、回りはただただハラハラと見守るばかり。先程のゼルの雰囲気は何処にいったんだと目を疑いたくなる光景だったのは間違いない



レンを後ろからはがいじめにして制止を掛けるゴウキに、ゼルの首根っこを掴むガイル。それでもなお口は言い合いを続け、暴走する二人に流石のナズナも制止を掛ける声を上げる



しかし残念ながら二人は止まらなかった










「やはりお前は此処でくたばれレンガルス!!!!テメェなんて用はねぇよ家に帰って教育テレビでも見ていやがれゴルァアアアッ!」

「誰が教育テレビなんか見るかよいい加減にしやがれゼルジース!!!!テメェこそ用はねぇんだよ家に帰って料理番組でも見てちったぁ勉強しやがれゴルァアアアッ!」

「残念だったなもう既に予約録画済みだぜバーーーカッ!!予約録画したのを見て練習したら心を込めてあの御方にプレゼントしてやんだよ羨ましいかゴルァアアアッ!!」

「知らねぇええええッ!!!!あの御方って誰だよあの御方ってええええッ!!気色悪いわテメェが誰に向かってあの御方呼ばわりすんのなんて俺には全く関係ねーよつーか気持ち悪いわ冗談は顔だけにしやがれバーーーカッ!!」

「あの御方はあの御方に決まってんだろ馬鹿じゃねーのかゴルァアアアッ!!!!やっぱりテメェにはその話を踏まえてこの俺が直々に指導してやんよ愚弟がああああッ!!!!」

「上等じゃねーかアアアッ!!!!どこぞの宗教に勧誘されたか知らねぇがこっちも頭にお花咲く電波野郎にこの俺が直々に目を覚まさせてやんよこの愚兄野郎がああああッ!!!!」




「すこぶるどうでもいいからお前達落ち着け!!!!」

「ものすごくどうでもいいから冷静になれ!!!!」

「お二方、収拾がつきません。そろそろ収まって下さい。回りの皆さんが固まっております」








ぎゃいのぎゃいのぎゃいのぎゃいの…












「ねぇ……アレ誰か止めなさいよ…」

「いや…ちょっと流石にあの中には…」

「触らぬ神になんとやら、今私達があの中に入ったらそれこそ収拾がつかなくなりますね…」

「ゴウキさんとサラツキ博士、よくあの中に入っていけましたね…」

「白銀の麗皇ってあんな人だったんだ…感情露にするの初めて見たかも…」

「Oh…チョット言葉が出まセンネ」

「この状況じゃなかったら乱闘に参戦したいところなんだがなぁ…」

「なあゲンさん、いっちょ波動でなんとかしてくれよ」

「普通に無理だ」

「ムカつく。双子だかなんだか知らんがムカつく」

「彼は一体、誰なのだろうか…」

「「……………」」













回りの者達は誰もゴウキとナズナとガイルの手助けもせず、ただただ眼前の光景を冷や汗流しながら見守るばかり







しかし、


唯一、違う目線で見ていた男が一人だけいた













「君………もしやあの、ゼルジース君か…?」

















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