「中々電話に出ないと思ったらもう寝てるし!普段もっと寝る時間遅いだろ!?―――ミナキ!起きろミナキ!起きろ目を覚ませ覚醒せよ!鼻ちょうちん膨らませてないで!起きろミナキ!さあ早く!!」

「Zzz…すいくんムニャムニャ………(パァアンッ!)ハッ!?……なんだマツバか…脅かすなよびっくりした…………ん?なんで私の家にマツバがいるんだ?………ハッ!まさかお前!マツバの生霊か!?なんということだ…!ええいマツバの生霊め!悪霊退散!成仏したまえ!」

「なんでそうなるんだ!今はそんな冗談に付き合ってられないよ!さあミナキ、仕度をするんだ!今からカツラさんのところに行くぞ!






ミリちゃんが行方不明になった!!」

「―――なんだって!?」











――――――――
―――――
――










彼女には、不思議な力がある










その力の凄さは計り知れない



癒しの力、恵みの力


彼女自身も把握しきれない莫大な力は、他人に影響を与え、自身にも影響を与える







力だけではない

彼女の存在も、回りに影響を与える







誰にも囚われない高嶺の花


幻想の蝶とも表現される彼女の去った後は、優しい風と綺麗な花が咲き誇る





彼女の笑顔は人を幸せにさせてくれる









どんなに闇を抱えていても

闇をも見せつけない、皆にとって輝かしい光



彼女に憧れを持ち、目標にしている者が後を絶たず





負けを知らない実力者

美しく可憐で麗しい絶世の美女

彼女を守る強大な壁を従えて




来る者拒まず去る者追わず

聖母の笑みで慈愛の抱擁で包み込む






だからこそ、彼女は輝く


輝くからこそ―――狙われる













「お前達はどうやら14年前に鴉によって壊滅された犯罪組織『彼岸花』の調査を進めているみたいですが、私が此処で存在を現した事で疑問が確定され、断定された事でしょう。間違いはありませんよ、正解です。『彼岸花』は存在します。光在る世界の中ではなく、暗い影の中でひっそりとね」










彼女の容姿の所為か、存在力の所為か

それとも彼女が従わす屈強なポケモン達の所為か






彼女は狙われた

六年前も―――今回の事件も










嗚呼、彼女が一体何をしたというんだ














「何故彼等が聖蝶姫の存在を求めている理由は存じませんが…つまりはそういう事ですよ。彼等は彼女の存在を知った。知ったから動き出した―――…まぁ、彼等が何故彼女を狙う理由も分からなくもありませんよ。我がロケット団も、彼女を狙って何度かホウエンまで足を運びましたからね」

「「――――!!?」」

「なん、だと…!?…ロケット団はホウエンとシンオウには活動の幅は広げていなかった筈だ!」

「おや、ナズナ様、愚問な事を聞いてきますね。確かに貴方が脱走する七年前までは南の拠点は広げていませんでしたが、時の流れで人も企業も変わるものです。サカキ様は興味を持たれませんでしたが…直属に指示をしたのはこの私です」

「っ!!」

「ランス、を覚えておりますか?彼がリーダーの小部隊でホウエンまで行って彼女の身柄を抑え、ゆくゆくはその実力を我がロケット団の為、その輝かしい【三強】達を実験体へと思っていましたが―――彼女は噂通りの実力者、結局彼女を捕らえる事は叶わなかったんですがね」















奴等は何故彼女を狙うのか

彼女を使って何が目的?

何故彼女が選ばれてしまったんだ





壊滅され、存在が消された悪党集団

壊滅されてなお、14年間も身を潜めシンオウに潜り込んでいた許されざる存在

きっと世間に公になっていないだけで、その悪事は数多くあり、隠蔽され続けたのだろう









守らなければ、あの蝶を

奴等の脅威から守ってあげなければ


一体、誰があの蝶を守るというんだ











「ねえ、レン。今ふと考えたんだけど…蒼華とスイクンに乗って世界一周してみる案ってどう思う?海を走れる二匹なら簡単に見えない?楽しそうじゃない?ねえねえ楽しそうじゃない?」

「フッ、確かに次の旅にはもってこいの案だな。…けどせめて世界じゃなく地方一周にしてやれ、コイツらが疲れるだろ」

「「…」」

「あらー」

「それにお前が知らない地方がまだたくさんあるんだ、ゆっくり攻略していけばいい。……今度は、二人でな」

「フフッ、そうだね!」










「ゴウキさーん!いい天気なので一緒に組み手しましょうよー!今ならレン居ないから組み手出来ますよ!さあさあ早く!鬼が居ぬ間に!」

「いいだろう。せっかくの天気だ、身体を動かすにはもってこいだ。そうと決まったら行くぞ舞姫、鬼が居ぬ間にな」

「はい!鬼が居ぬ間に!」

《お、鬼……もしかして鬼ってレ》

「時杜ちゃんは鬼の見張りよろしくね〜」

《はーい。………行っちゃった。うーん、せめてバリアは張っておこうかな。見つからないように》










「ナーズナさん!ずっと部屋に籠っていないで、少しは外に出ましょうよ!いい天気ですよ〜、一緒にお散歩しに行きません?白亜と黒恋と説明と一緒に!」

「ブイブイ!」
「ブーイ!」
《そんなに籠ると身体に悪いぞ》

「…………そうだな。せっかく人間に戻れたんだ、生きている心地を実感するのも悪くはないな………」

「あ、安心して下さい!ナズナさんにポケモン達が飛び付いてポケモンタワーにならない様に守りますので!……あ、そうするとナズナさんの生きた心地体験が出来なくなる?……じゃあ、いっか!」

「よくない全然よくない(即答)せっかく戻れたのにまた死ぬ思いは御免だ。………ミリさん、すまないがポケモンの件は頼んだ。俺はまだ死ぬわけにはいかない(真顔)」

「フフッ、ナズナさん必死(笑)任せて下さい!」


















愛する人


大切な仲間


命の恩人





思いはそれぞれ違うけど


守りたい気持ちは、一緒だった













守ってみせる。そう決意したのに






嗚呼神よ、



なんて残酷過ぎるんだ


















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