肩甲骨まである茶髪をサラリと靡かせて、スラリとした長身、特徴的な眼帯をする隻眼の男と言ったら一人しかいない


最後の来訪者はナズナだった


ナズナはフーディンとヤドキングを引き連れて現れた。フーディンとヤドキングは、機材を抱えていた。大きさ、そしてナズナの存在を知るものだったらそれがパソコン等のコンピューター系だと推測するだろう

サラツキ博士として知られている彼は、此処にいる者達は全員認知している。ナズナもまた、ゴウキとレンと同じ―――不可解な行動を起こしていた内の一人

警戒気味にナズナを見る視線が集中する中、ナズナは空いているテーブルに持参した機材のセッティングをフーディンとヤドキングに命じる。テキパキとなれた様子で念力を使って用意していく姿を見ながら、ナズナは改めて全員の前に対峙した








「改めて、俺の名はサラツキ・ナズナ。考古学の博士をしています。皆さんの事は存じていますので自己紹介は結構。これから準備に取り掛かりますので少々時間を頂きたい」






彼等の警戒する視線なんて関係ないとばかりにナズナは簡単に自己紹介をし、頭を下げる

よく来てくれた、と先に口を開いたのはアスランだった








「ナズナ君、……ミリ君が行方不明になってしまった。その話は既に耳にしていると思う」

「えぇ、ゴウキから連絡を受けました。もう我々の力だけではどうにか出来る問題ではなくなった。……本当だったら正式にお話しすべきところですが、」

「分かっている。私はもう、覚悟がついた。こういう時だからこそ―――彼等にも、知っておく権利がある」

「「………」」

「…?すみません、話がついていけないのですが…」

「「「「…?」」」」

「……来て早々申し訳ありませんが、数分だけ外に出ます。……ゴウキ、麗皇、来い。話がある」

「分かった」

「あぁ」







アスランと軽く会話をしたナズナは早々にゴウキとレンを呼び付け、誰が止めるまでもなく喫茶店から出ていってしまう



まるで嵐が過ぎ去った様な感覚。フーディンとヤドキングが動いている事以外を除けば、店内はまた沈黙が広がった

しかしすぐにでもトウガンが沈黙を破り、背を向けているコウダイとジンとアスランの三人に質問を投げ掛ける











「……些か話についていけないのですが、三人は一体何を調べていたんですか?」

「「「………」」」







三人は、無言だった







「先程幹部長が、三人の不審な行動を起こすキッカケを与えたとおっしゃいました。そのキッカケとは、一体何でしょうか。今回の件ですか?それとも彼女の件ですか?」

「また先程、ジンは未成年者の彼等に酷な内容になる、とも言っていました。……一体それは、どういう意味での酷な内容なんです?」

「アスランさん、アンタは俺達にも知る権利がある、そう言っていたな。…三人が知っていて、俺達が知らない話って一体何なんだ?」







トウガン、ゴヨウ、デンジが三人に先程の疑問を訴える

オーバ、ナタネ、メリッサ、マキシ、ヒョウタ、そしてテーブルで傷心しているダイゴとシロナとゲンも、口には出さずひたすら視線で訴える






あの三人は、一体何を調べていたのかを――――


















「――――愚問な事を聞かないでくれたまえ」






アスランが、小さく息を吐きながら言う









「彼等三人が動いている理由、至って簡単でシンプルだ。……全てはミリ君の為だ。いや、"為だった"が正しいか」

「だった…?」

「今は…ミリの為じゃねぇって事か?」

「ミリ君の為は大前提、しかし思わぬ"闇"が彼等の行く手を阻んだ。…彼等はその"闇"を追及する為に今まで誰にも相談せずに自分達の力で調べていた。奴等が、動き出す前に―――しかし、思わぬ展開の所為で台無しになってしまったがね」

「……ミリサンの、行方不明の所為デスか…?」

「「「…………っ」」」

「分かって欲しいのは、彼等はミリ君の為であり皆の為、このシンオウの為に動いていたという事だ」









ダイゴ君、シロナ君、ゲン君、デンジ君、オーバ君



アスランは特定の人の名を呼んだ









「君達はミリ君の事をよく知っている、大切に想ってくれている。一番の友人で、旅仲間で、ライバルで、後輩だからこそ、君達はミリ君の事を想い続け、守ろうとしてくれた。……義父親として、娘をずっと信じ、守ってきてくれた事には感謝したい」

「アスランさん…」

「「「「……………」」」」

「これから、彼等から話される内容は―――ミリ君を知っている君達には、一番酷な内容になっていくだろう。ミリ君を知っていて、大切に想ってくれたからこそ、ね。勿論、他の君達にも言える話だ








だからこそ、目を逸らさないで聞いて、知ってほしい」












あの子の努力を、痛みを



約束の為に身を削ってまで成し遂げようとした、彼女の姿を











(闇に葬られた真実は)(あと少しで明かされる)



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