突然振って来た声と、三つの羽ばたき音

音を辿って空を見上げれば―――頭上から降下してくる三匹の飛行ポケモンと、そのポケモンの背に乗る三つの影



彼等が一体誰かなんて、此処にいる全員はよーく分かっている人物達だった









「「「コウダイ幹部長!!」」」

「「ジンさん!」」

「アスランさんもいる!」




「すまない!遅くなった!」

「皆さん無事ですか!?」

「レンガルス君、ゴウキ君!君達もいたのか!」







ピジョットとオニドリル、ムクホークの背に乗って現れた―――シンオウ支部幹部長のコウダイとその副幹部長のジンに、元ホウエン支部幹部長のアスランの姿

彼等もまたダイゴ達が主催する歓迎会パーティーに参加する予定でいた。しかし、突如予想外過ぎる一報に驚愕し慌てて飛んでこようとするも―――リーグの指揮を取りつつも、思いのほかコウダイの飛行ポケモンの老化もあって中々スピードが出なかったという事もあり、やっとこさ到着出来たというわけだ



コウダイとジンの回りにはチャンピオンと四天王とジムリーダーが集まり、

アスランの回りにはゲンとゴウキとレンが集まった








「アスランさん!」

「ゲン君!君も参加するんだったね!…随分と疲れているみたいだ、ボロボロじゃないか」

「っ……」

「アスラン……」

「すまない…舞姫を助け出す事が、出来なかった…」

「……………今一番に辛いのは君達だ。詳しい話は後で聞こう、今は休むんだ」






三人の様子があまりにも疲弊し、その瞳は絶望しきっている。平然を装っていても明らかに違う彼等の姿を見てアスランは大いに驚いただろう

それほどまでに事態は深刻なんだと、三人の姿を見て改めて思い知らされるばかり。回りを見たらシロナもダイゴも憔悴しきっていて、瞳に力を感じない。数日前に会ったあの頃の、強い光を秘めた姿の面影は一切無い

一体、彼等に何があったというんだ








「幹部長!」

「コウダイさん!!」

「おいおっさん!なんとか許してくれよ!」

「Σばっ!おいコラ!バグ!幹部長になんつー口ををを!」

「二度は言わない。私の命令は尚更聞いてもらわねばならない。……家でお前達の帰りを待つ親御さんの気持ちを考えろ」

「「「「ッ………」」」」







やはり幹部長レベルが登場すると、一気に場の雰囲気が変わる。先程まで嫌だ嫌だと抵抗していた四人も幹部長の威圧の前ではぐうの字も出てきやしない

諦めろ、とトウガンは近くにいたリョウの頭に手を置き、がじがじと撫でる。マキシもバグの背中をバシッと叩いた。メリッサとナタネもまた、スズナとスモモに指示を従う様に促す。今日のところはひとまず大人に任せて、体調を整えて明日またこっちに戻ればいいだけの事―――

一通り落ち着いた四人の姿を見て、ジンはゴヨウに視線を送る

頷いたゴヨウはボールからフーディンを繰り出した。静かに現れたフーディンは四人に向かって自身のスプーンを向け、発動態勢に入りゴヨウの指示を待った


お前達、とコウダイは言う







「今は帰ってもらう。それは変えられん」

「「「「…………」」」」

「――――だが、明日はしっかり働いてもらう。覚悟しておけ。絶対に、聖蝶姫を救うんだ」

「!…はい!頑張ります!」

「任せて下さい!」

「兄貴!しゃーねーから先に帰ってるからな!なんか進展があったら必ず教えてくれよ!」

「未成年の底力を見せてあげるよ!明日だけど!!しょうがないから!オーバさんハゲろ!」

「なんでだよ!」







「―――では、ゴヨウさん。お願いします」

「分かりました。…フーディン、四人を自宅へテレポート!」

「フゥゥゥ!」







シュッ―――………



















「うるさい奴等が居なくなったら一気に静かになったな」

「だな」

「童顔……」

「ヒョウター、図太く生きろーポジティブにいこう」

「若いってことデスよヒョウタサン」

「ヒョウタが童顔…そうなるとその親の私もまだまだイケそうか?」

「俺は知らんぞ」








「―――これから話される話は、未成年の彼等には酷な内容になっていきますからね……」

「………」

「…?ジンさん、それはどういう意味で…?」

「「………?」」

「すぐにでも分かるさ。…すぐにでも、な」














嗚呼、また絶望の兆しが訪れる






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